今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「益者三友(えきしゃさんゆう)」です。
言葉の意味・使い方・由来・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「益者三友」をざっくり言うと……
読み方 | 益者三友(えきしゃさんゆう) |
---|---|
意味 | 正直な人・誠実な人・博学な人こそが、友達としての価値があるということ |
由来 | 『論語』 |
対義語 | 損者三友 |
英語訳 | three kinds of beneficial friends: straightforward, sincere, and well-informed ones (3種類の有益な友達。つまり、正直な人・誠実な人・知識の豊富な人) |
「益者三友」の意味をスッキリ理解!
「益者三友」の意味を詳しく
「益者」は、「有益な人物」を指します。また、「三友」は、「3種類の友達」のことです。ですから、「益者三友」は「3種類の友達が、有益な人物といえる」ということを表すのです。
それでは、3種類には、どのような特徴の友達が含まれるのでしょうか。
1種類目は、正直な人物です。2種類目は、誠実な人物です。そして、3種類目は、多くの知識をもつ人物です。
したがって、「益者三友」の意味は、「正直な人・誠実な人・多くの知識をもつ人こそが、友達として関わる価値がある」となります。
「益者三友」の使い方
- 益者三友という言葉もあるので、今回のプロジェクトメンバーには、正直に話してくれる人や、誠実に働く人、物知りな人を選抜しよう。
- 私の周りには、益者三友がそろっている。
- 彼女は私にとって、益者三友だ。
しかし、実際に使うときには、2つ目・3つ目の例文のように、単に「良い友達」のことを「益者三友だ」と表すことが多いのです。
「益者三友」の由来
中国に、『論語(ろんご)』という書物があります。この書物では、儒教という宗教について書かれています。
このなかの「季氏(きし)」篇に、次のようなエピソードがあるのです。
儒教の創始者である孔子が、「益者三友」という言葉を使って、「交流することが有意義である友達には、3つの種類がある」と説きました。
そして、3つの種類に関する説明として、「直き(なおき)を友とし、諒(まこと)を友とし、多聞(たもん)を友とするは、益なり」と言います。これをわかりやすく言い換えると、「正直な人・誠実な人・知識の多い人を友達にすれば、自分のためになる」となります。
「直き」は、正しいことを「正しい」と明確に言えることです。また、「諒」は誠実であることを表します。そして、「多聞」は「多くの知識をもっていること」を指します。
このように、「益者三友」は、孔子の教えから生まれた言葉なのです。
「益者三友」の対義語
「益者三友」には以下のような対義語があります。
- 損者三友(そんしゃさんゆう):媚(こび)を売る人・態度は良いものの誠実でない人・口先だけの人と友達になると、損をする
「損者三友」は、「益者三友」と同じく、『論語』の「季氏」篇から生まれた四字熟語です。
孔子は、交流する価値のある友達について説くと同時に、交流することで損になる友達についても説明したのです。
「損者三友」は、「交流すると損をするような友人は、3種類存在する」ということを表します。その3つの種類について、孔子は「便辟(べんぺき)を友とし、善柔(ぜんじゅう)を友とし、便佞(べんねい)を友とするは損なり」と説明しています。
「便辟」とは、媚を売ることです。また、「善柔」とは、「人当たりが良いものの、誠実さには欠ける」ということです。さらに、「便佞」には、「口先だけで良いことを言う」という意味があります。
これら3つの特徴は、「益者三友」が表す3つの人物像とは正反対ですね。ですから、「損者三友」は「益者三友」の対義語となります。
「益者三友」の英語訳
「益者三友」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- three kinds of beneficial friends: straightforward, sincere, and well-informed ones
(3種類の有益な友達。つまり、正直な人・誠実な人・知識の豊富な人)
まとめ
以上、この記事では「益者三友」について解説しました。
読み方 | 益者三友(えきしゃさんゆう) |
---|---|
意味 | 正直な人・誠実な人・博学な人こそが、友達としての価値があるということ |
由来 | 『論語』 |
対義語 | 損者三友 |
英語訳 | three kinds of beneficial friends: straightforward, sincere, and well-informed ones (3種類の有益な友達。つまり、正直な人・誠実な人・知識の豊富な人) |
良い友達を見つけるだけでなく、自身も相手にとって大切な存在になれるように、心がけましょう。