真っ白い羽根にオレンジ色のくちばしでペタペタ歩いてる鳥がいます。
それを見て、「あれ、あの鳥はアヒルだったっけ? それともガチョウ?」と思ったことがありませんか?
このように、動物を見分けられらなくなってしまう経験は意外と多いですよね。
この記事では、見た目が似ている「アヒル」と「ガチョウ」の違いについて説明します。
結論:アヒルの原種はマガモ、ガチョウの原種はガン
ガチョウは、ガンを家禽化したカモの一種です。
「アヒル」をもっと詳しく
アヒルは、マガモを家禽化したカモの一種です。家禽(かきん)とは、肉や卵、羽毛などを利用するために飼育された鳥の総称のことです。英語では、 “duck” または野生のカモと区別するために “domestic(家庭の)” という単語をつけて、 “domestic duck” と言います。
マガモとは、カモの仲間の代表種です。オスは緑色の頭が特徴で、メスは前身茶褐色で目立たない色をしています。ユーラシア大陸北部から北アメリカ大陸まで広く分布しており、日本では主に冬に渡ってくる冬鳥です。
「アヒル」が使われているところ
アヒルは主に食用肉や卵、羽毛を得るために飼育されています。
中国料理では、下処理したアヒルを丸ごと炉で焼く北京ダックやアヒルの卵を強いアルカリ性の条件で熟成させて作るピータンなどが有名です。
アヒルの羽毛は、ダックダウンと呼ばれ、衣類やクッションに用いられています。
有名な『みにくいアヒルの子』という童話では、白いアヒルの子の中で、一羽だけ灰色のヒナが主人公です。みにくい姿だといじめられてしまいますが、灰色だったヒナは実はハクチョウの子供で、大きくなって見事な美しい姿に変身するという話です。
生まれたばかりのアヒルのヒナは黄色ですが、2、3週間で白色の羽に変わります。一般的にアヒルは白い色をしていますが、種類によっては他の色がついたものもいます。
「ガチョウ」をもっと詳しく
ガチョウとは、ガンを家畜化したカモの一種です。英語では、単に “goose(グース)” または “domestic goose” と言います。複数形では “geese(ギース)” と変化します。
ガンは、カモ目カモ科のうちハクチョウ類を除いた大型のものの総称を指します。ヨーロッパのガチョウの祖先はハイイロガンというヨーロッパや北アメリカに生息する大型のガンで、全体的に灰褐色をしています。また、中国で家禽化されたガチョウの原種はサカツラガンと言います。
「ガチョウ」が使われているところ
ガチョウもアヒルと同じように食用の肉や卵、羽毛を得るために飼育されています。
フォアグラは、ガチョウにたくさんの餌を与えて肝臓を肥大させることによって得られる食材のことです。世界三大珍味の一つでもあります。
グースダウンは、ガチョウの羽毛という意味です。ガチョウはひとつひとつの羽が大きく高品質なため、布団やダウンコートなどの羽毛に使われています。
マザー・グースは、英米を中心に親しまれている伝承童謡です。その中の一つ『Old mother goose (ガチョウ婆さん)』という歌では、ガチョウの背中に乗ってどこへでも飛んでいく魔女が出てきます。
また、イソップ童話の『ガチョウと黄金の卵』やグリム童話の『黄金のガチョウ』などの有名な話もあります。このように、ガチョウは古くから欧米を中心に親しまれている鳥です。
「アヒル」と「ガチョウ」の見分け方
最後に、「アヒル」と「ガチョウ」の見分け方について説明します。
上で述べたように、アヒルの祖先はマガモで、ガチョウの祖先はガンです。体型もマガモとガンからそれぞれ受け継いでいるため、体が小さく上から下まで同じように太いのがアヒル、体が大きく首が長くてスラリとしているのがガチョウと見分けられます。
アヒルとガチョウは、くちばしでも見分けられます。アヒルのくちばしは、つるりとしていて口角が上がっています。一方、ガチョウのくちばしはギザギザした歯が生えており、くちばしの先が曲がっています。
また、ガチョウのくちばしには特徴的なコブがありますが、アヒルにはありません。ガチョウのコブは個体差があり、全くコブがないガチョウもいれば、大きくできるもの、性別でも異なります。
以上のことを踏まえると、上の写真では左がアヒル、右がガチョウということが分かります。
まとめ
以上、この記事では、「アヒル」と「ガチョウ」の違いについて解説しました。
- アヒル:マガモを家禽化したカモの一種
- ガチョウ:ガンを家禽化したカモの一種