「毒薬」と「劇薬」と「毒物」と「劇物」の違い?具体例まで解説

違いのギモン

皆さんは、毒物、劇物、毒薬、劇薬の違いを分かっていますか。この記事では、とても危険なこれら4つの違いを解説します。

結論:医療用であるかないかと効果の度合いが違う。

毒薬・劇薬は医療用です。

毒物・劇物は医療用ではないです。

また、劇薬より強いのが毒薬、劇物より強いのが毒物です。

毒薬・劇薬をもっと詳しく

毒薬・劇薬とは、服用したり、注射をしたりした時など体内に吸収された場合に、副作用などが起こりやすい、毒性・劇性の強い「医薬品」のことです。薬事法に基づき厚生労働大臣が指定します。法律の定めるところにより、調剤薬局であれば特別な申請などせずに取り扱うことができます。

毒薬と劇薬では致死量が違います。内服したときの致死量が、30mg/kg(体重)以下であるのが毒薬、300mg/kg(体重)以下であるのが劇薬です。毒薬は劇薬の約10倍効力が強いです。

毒薬・劇薬の販売について

毒薬・劇薬は、14歳未満の人や、安全な取り扱いに不安がある人への販売が禁止されています。ただし、医師などの処方せんにより「調剤された医薬品」は「毒薬・劇薬」に当たらないので、14歳未満に対しても販売することができます。

薬局が一般の人へ毒薬・劇薬を販売する際には、購入者の氏名、住所、使用目的などを記載しなければいけません。

毒薬・劇薬の例

毒薬の例としては、塩酸モルヒネ、硫酸アトロピンなどがあります。

劇薬の例としては、インスリン注射液、インドメタシン、カフェインなどがあります。

毒薬・劇薬に指定されているものの中には、意外と身近なものもあるのです。

毒物・劇物をもっと詳しく

毒物・劇物は医療用ではなく、化学合成の材料などとして使われます。厚生労働省が毒物・劇物を認定し、毒物及び劇物取締法で規制されています。取り扱いには薬剤師などがなることができる、毒物劇物取扱責任者が必要となります。

毒物と劇物に関しても致死量が違います。内服時の致死量が、50mg/kg(体重) 以下であるのが毒物、300mg/kg(体重) 以下であるのが劇物です。

毒物・劇物の販売について

毒物・劇物は、18歳未満の人や、覚せい剤、麻薬、大麻、あへんの中毒者への販売が禁止されています。また、心身の障害により適切な扱いができない人に対しても販売はできません。

毒物・劇物は販売業者のみが販売することができ、その際には氏名や住所などを記載しなければなりません。

毒物・劇物の例

毒物の例としては、青酸カリ、水銀などがあります。

劇物の例としては、アンモニア、塩素、硫酸などがあります。

理科の授業や実験でおなじみのものが毒物・劇物に指定されていることも多いです。

毒薬、劇薬、毒物、劇物の表示方法の違い

これら4つはそれぞれ違った表示方法が決められています。

  • 毒薬:黒地に白枠、白文字でその品名および「毒」と記載する
  • 劇薬:白地に赤枠、赤字でその品名および「劇」と記載する
  • 毒物:容器又はパッケージには「医薬用外」の文字、さらに赤地に白文字で「毒物」と記載する
  • 劇物:容器又はパッケージには「医薬用外」の文字、さらに白地に赤文字で「劇物」と記載する

このようにそれぞれ細かく規定があります。

まとめ

以上、この記事では、毒物、劇物、毒薬、劇薬の違いについて解説しました。

  • 毒薬・劇薬:医療用。劇薬より毒薬の方が強い。
  • 毒物・劇物:医療用ではない。劇物より毒物の方が強い。

それぞれの違いが分かっていただけたでしょうか。違いを覚えて、安全に暮らしましょう。