「同族嫌悪」とは?意味と使い方を例文付きでわかりやすく解説

言葉

同族嫌悪とは「自分と同じような人に抱く嫌悪感」という意味です。

さまざまな理由から、自分の家族や、自分と似ている人に嫌悪感を抱く人は多いです。

自分が同族嫌悪を抱えているかもと感じ、不安になる方もいるのではないでしょうか。

この記事では、同族嫌悪の意味や使い方に加え、同族嫌悪にいたる心理や克服法なども紹介します。

「同族嫌悪」の意味

同族嫌悪どうぞくけんお

自分と同じような人に抱く嫌悪感

同族嫌悪とは、自分と似ている人や、同じ性質を持つ人に対して抱く嫌悪感のことです。

同属嫌悪」とも表記することがあります。どちらが適切かは諸説ありますが、現在では「同族嫌悪」と書くことの方が多いです。

同族嫌悪の意味は、構成している二字熟語に着目するとわかりやすいです。

「同族嫌悪」を構成する二字熟語
  • 同族
    系統や血筋などが同じもの
  • 嫌悪
    ひどく嫌うこと

この同族は、もとは親族のことを表す言葉ですが、広義では「自分と似ている部分のある人」という意味でも使われます。

そのため、同族嫌悪は、家族や親族などに抱く嫌悪感にも使います。

「同族嫌悪」の使い方


上記のように、同族嫌悪はネガティブな文脈でよく使われます。

例文
  1. 私も人見知りだから同族嫌悪だってわかっているけど、人前で緊張しがちなA先輩を好きになれない。
  2. グチをこぼしていたら、「同族嫌悪じゃん」って言われてしまった。
  3. 親が私に似ているとイライラしてしまう。同族嫌悪だ。
①は、自分の先輩に好感がもてず悩んでいる人についての文です。自分と似ているからこそ好きになれないだけだとわかっていても、やはり好きになるのは難しい、という意味です。

②では、話し手はグチをこぼしていたものの、自分では同族嫌悪であることに気づいておらず、それを指摘されてしまいました。

同族嫌悪から誰かを嫌っていても、自分ではただ相手のことを嫌いなだけだと思っていることもあります。

 

③では、同族嫌悪を「親族への嫌悪感」という意味で使っています。親が自分と似ているとなんとなく嫌だ、と感じる人もいるのではないでしょうか。

このように、同族嫌悪という言葉には「どうしても好きになれない」というようなニュアンスが含まれることが多いです。

「同族嫌悪」の類義語


同族嫌悪には以下のような類義語があります。

  • 同属嫌悪
    自分と似ている人に抱く嫌悪感
  • 近親嫌悪(きんしんけんお)
    血縁(けつえん)関係など、極めて近い間柄の人に抱く嫌悪感
  • 近親憎悪(きんしんぞうお)
    血縁関係など、極めて近い間柄の人に抱く嫌悪感
  • 自己憎悪
    自分に対して抱く嫌悪感
  • 骨肉(こつにく)の争い
    血縁者同士が激しく対立すること
  • 骨肉相食(こつにくあいは)む
    血縁者同士が激しく対立すること
  • 同担拒否(どうたんきょひ)
    同じアーティストなどを好きな人を嫌うこと

それぞれの意味合いの違いを押さえましょう。

「同族嫌悪」と「同属嫌悪」の違い

同族嫌悪と同属嫌悪には、以下の違いがあります。

「同族嫌悪」と「同属嫌悪」の違い
  • 同族嫌悪
    親族などに抱く嫌悪感についても使える
  • 同属嫌悪
    基本は似ている人への嫌悪感に使う
意味としてはほぼ同じであり、どちらを使うべきかは決まっていません。

しかし、親族に対する嫌悪感は、同族嫌悪を使う方が好まれるようです。

「同族嫌悪」「同属嫌悪」「近親嫌悪」「近親憎悪」の使われている数

同族嫌悪、同属嫌悪、近親嫌悪、近親憎悪はいずれもほぼ同じ意味となりますが、どれくらいメジャーな表現かどうかは単語によります。

それぞれGoogleで完全一致の設定でヒット数を調べると(2021年6月29日現在)、以下の通りになります。

単語Googleのヒット件数
同族嫌悪約561,000件
同属嫌悪約78,900件
近親嫌悪約1,230件
近親憎悪約282,000件

このように、それぞれの単語の使われやすさには大きな違いがあります。この中では、同族嫌悪が最もよく使われています。

「同族嫌悪」の対義語


同族嫌悪には以下のような対義語があります。

  • 同気相求(どうきそうきゅう)
    似た性質の人は自然に仲良くなる
  • 同気相求む(どうきあいもとむ)
    似た性質の人は自然に仲良くなる
  • 同気相求める(どうきあいもとめる)
    似た性質の人は自然に仲良くなる
  • 同類相求(どうるいそうきゅう)
    似た性質の人は自然に仲良くなる
  • 同声相応(どうせいそうおう)
    似た性質の人はよく調子が合う

いずれも古代中国の書物『易経』の中の、以下のフレーズを元にした言葉です。

子曰、同声相応、同気相求、水流湿、火就燥。
(孔子は言った。同じ意見や考え方の者同士が応じ合い、同じ気質の者同士が求め合うように、水が流れるところは潤(うるお)い、火が燃えるところは乾燥する。)

「同族嫌悪」の英語訳


同族嫌悪を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • do not like people who are similar to you/me
    (自分に似ている人は好きではない)
  • dislike those who behave like you/me
    (自分と同じ振る舞いの人は好きではない)

ただし、そもそも同族嫌悪は比較的新しい言葉である上に、特に海外では「似ている人は惹(ひ)かれ合うもの」という印象を持っている人も多いです。

そのため、使う場合は理由や背景などもセットで説明する方が良い場合もあります。

「同属嫌悪」を抱く理由


同属嫌悪を抱く理由としては、以下のようなものがあります。

  1. 相手の嫌な部分を見ると、自分の嫌な面を思い出して恥ずかしくなるから
  2. そもそも自己嫌悪が強いから
  3. 相手への嫉妬心に襲われるから
  4. 生活リズムや過ごす環境が近く顔を合わせる機会が多いから
①②は根底に自分への嫌悪感があり、相手にそれを投影して嫌悪感を抱いています。

それに対し、③は、自分に似ていることそのものに「自分のキャラクターと被っている」という危機感を感じ、嫉妬の感情を抱いています。

④は他の3つと少し異なります。自分と似ている相手だと、生活リズムや過ごすコミュニティがかぶることで顔を合わせる機会が増え、必然的に嫌な部分が目につくことが多くなります。

こういった要因からも、自己嫌悪は生まれます。

「同属嫌悪」の克服法


同族嫌悪の克服法としては、以下のようなものがあります。

  1. 相手の立場に立って考えてみる
  2. 相手のいいところに目を向けてみる
  3. 自分の嫌な部分を認めてみる
  4. 自分の嫌なところを改善する
  5. 成功体験を積み重ねる
それぞれ詳しく見ていきましょう。

克服法①:相手の立場に立って考えてみる

1つめの克服法は、「相手の立場に立って考えてみる」です。

相手のことを嫌いだと感じたときに、相手はなぜそのように行動しているのかを推測してみましょう。

そのことで、嫌悪感が和らぐ場合があります。

また同時に、自分の、相手に似ている部分に対する嫌悪感を和らげることもできます。

克服法②:相手のいいところに目を向けてみる

2つめの克服法は、「相手のいいところに目を向けてみる」です。

嫌悪感を抱き始めると、どうしても相手の悪いところにばかり目が向いてしまいます。

さらには、自分にもそのような部分があることを感じ、自己嫌悪にも陥(おちい)るかもしれません。

そこで、相手のいいところを探してみることで、相手への嫌悪感が和らぐほか、間接的に自分のいいところにも気がつくことができます。

克服法③:自分の嫌な部分を認めてみる

3つめの克服法は、「自分の嫌な部分を認めてみる」です。

自分の嫌いな部分に対しての嫌悪感が落ち着くと、相手への嫌悪感も落ち着くでしょう。

また、心に余裕が生まれることで、そもそも他人に対して苛立(いらだ)つことが減ります。

嫌な部分を認めるというのは難しいことですが、本心から思えなくても、自分を認める言葉を口に出したり書いてみたりすることで、徐々に受け入れることができるようになります。

克服法④:自分の嫌なところを改善する

4つめの克服法は、「自分の嫌なところを改善する」です。

自分の嫌なところが改善されることで、相手に同じような嫌な部分があっても気にならなくなります。

このように、時に同族嫌悪は、自分を向上させる機会にもなります。

克服法⑤:成功体験を積み重ねる

5つめの克服法は、「成功体験を積み重ねる」です。

同族嫌悪は、嫉妬などの感情から生まれることもあります。また、自分への嫌悪感が強いと同族嫌悪は強くなります。

成功体験を積み重ね、自分への自信や肯定感を積み上げることで、自分と似ている人に対して嫌悪感を抱かなくて済むようになります。

課題を期日までに提出した、丁寧(ていねい)に家事をした、など、小さなことでも構いません。自分をたくさん褒めてあげることで、同族嫌悪を減らすことができます。

「同族嫌悪」のまとめ

以上、この記事では同族嫌悪について解説しました。

読み方同族嫌悪(どうぞくけんお)
意味自分と同じような人に抱く嫌悪感
類義語同属嫌悪
近親嫌悪
近親憎悪など
対義語同気相求
同声相応など
英語訳dislike those who behave like you/me(自分と同じ振る舞いの人は好きではない)など

理由や克服法などもあわせて理解すると、自分が同族嫌悪で苦しくなったときに役に立ちます。

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日英バイリンガル東大生。 10年間小説を書き続けているため、文章力には自信があります。 いくつかの小説投稿サイトで掲載/連載している他、教育系NPOでもライターをしています。