故事成語「怒髪天を衝く」の意味と使い方:例文付き

言葉

今回ご紹介する言葉は、故事成語の「怒髪天を衝く(どはつてんをつく)」です。

意味、由来、類義語、対義語、英語訳についてわかりやすく解説します。

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「怒髪天を衝く」の意味をスッキリ理解!

怒髪天を衝く激しく怒っている様子

「怒髪天を衝く」の意味を詳しく

「怒髪天を衝く」は、「激しい怒りで髪が逆立っている様子」から来た言葉です。

本当に怒りで髪が逆立つことがあるかはわかりません。しかし、激しく怒っている様子が伝わってきますよね。

この言葉は、古代中国の歴史書に由来する言葉です。中国の古典では、しばしば大げさな表現が使われます。他の文章では、「私は老けて、白髪が9kmにもなってしまった(かのようだ)」などという表現もあります。それに比べたら、「怒髪天を衝く」は、まだ現実的な表現でしょうか。

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「怒髪天を衝く」の使い方

  1. 何度も遅刻してくる部員に対して、主将は怒髪天を衝くといった怒り方をした。
  2. 彼を怒らせたら怖いよ。まさに怒髪天を衝くように怒鳴り散らすらしい。
  3. 怒髪天を衝く。ふだん内気な私も、痴漢にあって思わず大声で怒鳴ってしまった。

「怒髪天を衝く」の由来

「怒髪天を衝く」という言葉は、中国の歴史書に出てきます。書いた人は、漢の時代の大歴史家・司馬遷(しばせん)です。漢の時代に、さらに昔の戦国時代のことを書きました。歴史書が書かれたのは紀元前1世紀で、歴史書が描いているのは紀元前3世紀の出来事です。

現代からしたら大昔のことですね。

歴史書と言っても、物語のように生き生きと語られているので、実際にはありえないような表現が使われているのでしょう。

 

では、歴史書の中身を見てみましょう。

戦国時代の中国は、いくつもの国に分かれて互いに戦っていました。そのうちの、小国「趙(ちょう)」と大国「秦(シン)」が出てきます。

趙の王が素晴らしい玉(ぎょく:宝石)を手に入れました。それを聞いた秦の王は、それを手に入れたいと思い、趙に交渉をもちかけます。趙の王は、秦が約束を守ってくれるはずがないと考えていました。玉を渡しただけで終わってしまい、相手から何も交換してくれないだろう、と考えます。

しかし、相手は大国。交渉を断るわけにはいきません。そこで、藺相如(りんそうじょ)という人が、玉を横取りされない作戦を考え、秦に交渉に出かけました。

 

秦の王は、相手が小国だからと十分なもてなしをしませんでした。秦の王に玉を渡すと、喜んで妻たちにまわしました。

そこで、相如が出てきます。「玉に瑕(キズ)があるので、私が指し示しましょう。」

そう言って玉を取った相如は、激しく怒ります。「あなた方の失礼な態度を見て、絶対に交換などせずに玉を横取りされると確信した! 玉を手に入れようと言うなら今ここで玉を割って俺も死んでやる!」

そうです。このシーンが「怒髪天を衝く」です。実際の文章では、「怒髪冠(かんむり)を衝く」と書かれています。現在でも、「怒髪冠を衝く」とも言います。

 

相如は、「玉が欲しいのなら、儀式をとりおこなってから出直してほしい」と言います。そして、出直してきた秦の人に、交渉を断ります。

こうして無事に玉は秦のもとに渡らずに、趙に持ち帰ることができました。

 

ちなみに、ここで「玉」と書いてきた宝石は、もとの文では「璧」と書きます。壁ではありません。「完璧」の「璧」ですね。この文章から生まれたもう一つの故事成語が、「完璧」です。相如が、一度秦の王のもとに渡った璧に対して「この璧にはキズがあります」と言ったシーンから来ています。

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「怒髪天を衝く」の類義語

「怒髪天を衝く」には、以下のような類義語があります。

  • 怒り心頭に発す
  • 堪忍袋の緒が切れる
  • 頭に血が昇る

「怒髪天を衝く」の英語訳

「怒髪天を衝く」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • “boil with rage”
    (怒りでお湯が沸きそうなほど真っ赤になっている様子)
  • “hit the roof”
    (怒りが爆発し、屋根まで衝撃が届きそうな様子)
  • “fly off the handle” 
    (オノを振り上げたら刃だけ飛んでいってしまうほどカッとなっている様子)
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まとめ

以上、この記事では「怒髪天を衝く」について解説しました。

読み方怒髪天を衝く(どはつてんをつく)
意味激しく怒っている様子
由来古代中国で、奪われそうになった玉を取り返すための作戦から
類義語「怒り心頭に発す」「堪忍袋の緒が切れる」「頭に血が昇る」など
英語訳hit the roof(怒りが爆発して屋根まで届きそうな様子) など

激しく怒ることがない方がいいですが、たまには必要なときがあるかもしれません。

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