「土偶」と「埴輪」の違いとは?読み方は?時代から見た目まで解説

違いのギモン

「土偶(どぐう)」と「埴輪(はにわ)」の違いは何かと聞かれたら、あなたは何と答えますか。「日本史の授業で習ったものの、両者の特徴を忘れてしまった」と思う方が多いのではないでしょうか。

どちらも土から作られていて、何かの形を表している点も共通しているため、一見同じもののように見えますね。

そこで、この記事では「土偶」と「埴輪」の相違点を解説します。

結論:時代と目的が異なる

「埴輪」と「土偶」の違いは以下の通りです。

  • 土偶縄文時代に作られた人形。用途は不明だが、安産や健康を祈るものという説が有力。
  • 埴輪古墳時代に作られた。筒や生き物の形をしている。故人を弔う(とむらう)ためのもの。

「土偶」をもっと詳しく

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土偶は、縄文時代(紀元前131世紀頃~紀元前4世紀頃)に作られたもので、動物や人間の形をしています。

「土偶」が何のために使われていたのかという点は、明らかになっていません。ただし、女性像が多いということから、多産や安産を祈願するための人形だったと考えられています。

また、多くが破損された状態で出土しているため、「土偶」は壊すためのものだったという説もあります。具体的には、人々が自分の身代わりとして「土偶」を壊すことで、健康維持を祈ったいう考えが有力です。

「埴輪」をもっと詳しく

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「埴輪」は、古墳時代(4~7世紀)に作られました。つまり、「埴輪」は「土偶」よりもあとの時代に作られたものなのです。

この時代、権威ある人物の墓の上には、土や岩が丘のように盛られました。このような墓を「古墳(こふん)」といいます。「埴輪」は、古墳の周りに置いて、故人を弔うものだったのです。

埴輪には、「円筒埴輪(えんとうはにわ)」と「形象埴輪(けいしょうはにわ)」の2種類があります。

円筒埴輪

はじめ、「埴輪」は筒(つつ)の形をしたものが主流でした。これを「円筒埴輪」といいます。

円筒埴輪は、古墳の周りにおかれ、柵の役割をしていました。また、葬られた人物に対する供え物としての役割もありました。

形象埴輪

5世紀頃から、埴輪には、犬や猪などの動物を表したものや、武人(ぶじん)や巫女(みこ)などの人間の形をしたものが生まれました。また、刀や盾のような武器の形をした埴輪も作られました。

これらのように、何かの形を模した埴輪を「形象埴輪」といいます。

「形象埴輪」には、墓に葬られた人物の生前の暮らしを再現する役割がありました。

まとめ

以上、この記事では、「土偶」と「埴輪」の違いについて解説しました。あらためて、両者の違いをおさらいしましょう。

  • 土偶:縄文時代の人形。用途は不明だが、安産や健康を祈るものという説が有力。
  • 埴輪:古墳時代に作られた。筒や生き物の形をしている。故人を弔うためのもの。

「土偶」と「埴輪」の違いがわからなくなったら、時代と目的を考えて整理することが大切なのです。