「よける」と「さける」の違いとは?意味から使い分けまでわかりやすく

違いのギモン

「避ける」という言葉がありますが、読み方は 2通りあります。「よける」と「さける」です。実は、この 2つの言葉のニュアンスは違うのです。

今回は「よける」と「さける」の違いを解説します。

結論:「よける」は動作が中心、「さける」は意識が中心

「よける」とは、物理的に接触しないように身をかわすことです。

一方、「さける」とは、自分に不都合な結果をもたらす事態を事前に意識して回避することです。

「よける」をもっと詳しく


「よける」とは、物理的に接触することを回避するために身をかわすことを指します。英語では “dodge” と言います。接触しないようにしようとする動作が意味の中心にあります。裏を返すと、ある程度接近した状態が前提になります。

例えば、「水たまりをよける」と言う場合には、ある程度の近距離に水たまりがあり、そこを踏まないようにすることを指します。

 

また、具体的な動作を伴いませんが、前もって何かを準備した上で被害を防ぐことも「よける」と言います。避雷針を設置することで雷を回避することは「よける」に当たります。

さらに、何かを除外することも「よける」と言いますが、この場合は「除ける」と表記することが一般的です。

「よける」の使い方の例

  1. 水たまりをよけながら歩く。
  2. 相手のスライディングをよける。
  3. 岩場で風をよける。

「さける」をもっと詳しく


「さける」とは、自分に不都合な結果をもたらす何かを事前に意識して、それにそもそも近づかないようにすることを指します。英語では “avoid” と言います。事前に不都合な事態に出会わないようにする意識が意味の中心にあります。

例えば、「水たまりをさける」と言う場合は「水たまりをよける」とは違い、事前に水たまりのある場所を意識していて、その上でその周辺にそもそも近づかないようにすることを指します。

 

「さける」は、「よける」と違い、「人目をさける」や「ラッシュをさける」などのように、抽象的な事柄を回避する場合にも用いることが出来ます。この場合は「よける」という表現はしません。

また、悪い結果に至らないように言動を差し控えることも「さける」と言います。「明言をさける」はその 1例です。具体的な動作は伴っていないため、この場合も「よける」と言い換えることは出来ません。

「さける」の使い方の例

  1. 人通りの多い道をさける。
  2. 彼は私をさけている。
  3. はっきりしたことはわからないので断定的な表現はさけた。

➋は、彼が私を事前に意識して近づかないようにしているという意味です。「よける」と表記すると、彼が私にある程度接近した状態が前提で、そこから逃げようとするというニュアンスになるため、不自然な表現になります。

➌の「さける」は、差し控えるという意味です。

まとめ

以上、この記事では、「よける」と「さける」の違いについて解説しました。

  • よける:物理的な接触をしないように身をかわすこと
  • さける:不利益をもたらすものを事前に意識してそれに近づかないようにすること

「よける」は具体的な動作が伴い、一方、「さける」は意識が意味の中心にあります。両方とも使える場合もありますが、対象が抽象的な場合や何かを差し控える場合に使えるのは「さける」のみです。注意して使い分けてくださいね。