「動物細胞」と「植物細胞」の違いとは?大きさは?簡単に解説

違いのギモン

犬や人間などの動物や、木などの植物の体は、どちらも多くの小さな細胞からできています。人間については、全部で60兆個もの細胞から成っているといわれています。

ところで、動物の持つ「動物細胞」と植物の「植物細胞」は実は異なる特徴を持っています。

そこで今回は、「動物細胞」と「植物細胞」の違いについて解説します。

結論:細胞内の構造に違いがある

どちらも、細胞としての基本的な構造は同じで、細胞を包む膜があり、遺伝情報を記録したDNAを含む核を持っています。

ですが、特に「動物細胞」には、植物細胞にはない中心体があります

そして、「植物細胞」には動物細胞にはない葉緑体、細胞壁、そして液胞を持っています

つまり、細胞内にある細胞小器官(※)に違いがあるのです。

  • 細胞小器官(※):細胞の内部にあって、ある機能を持つ構造体のこと。具体例として、エネルギー代謝の役割持っている「ミトコンドリア」など。

「動物細胞」の特徴


「動物細胞」とはその名の通り、「動物」を構成している細胞です。この「動物」には、人間含むほ乳類や鳥類、魚類などの脊椎(せきつい)動物から、昆虫などの節足動物、タコなどの軟体動物などが含まれています。

「動物細胞」にあって、植物細胞にはない細胞小器官は、「中心体」です。

中心体」は、「動物細胞」が2つに分裂する際に、DNA情報を含んだ染色体をそれぞれの細胞に分配する役割があります。

「植物細胞」の特徴


「植物細胞」とは、植物を構成している細胞のことです。タンポポなどの花を咲かせる被子(ひし)植物や、ゼニゴケなどのコケ植物が含まれています。

「植物細胞」には、動物細胞にない多くの細胞小器官が存在しています。以下の3つが植物細胞にのみある器官です。

  • 葉緑体:葉緑素を含み、光合成を行う器官。光合成により有機物を生成する。
  • 細胞壁:細胞膜のさらに外側で、細胞を囲む壁のこと。骨のない植物において、骨格の役割を持つ。
  • 液胞:細胞を充満する液体である細胞液で満たされた膜のこと。栄養物質・老廃物を貯蔵する。生長した細胞では液胞が巨大化し、細胞内の90%を占めることもある。

植物の場合は、動物のように骨や丈夫な殻がないので細胞壁のような体を支える構造があり、光合成をしてエネルギーを得るために葉緑体という器官を持っています。

このように、動物としての、また、植物としての生態が細胞の構造に深く関わっているのです。

「動物細胞」か「植物細胞」かの二元論ではない?


ここまで、動物の「動物細胞」、植物の「植物細胞」の違いを見てきましたが、実はきれいに二分割できるほど、単純なものではないのです。

特に、「中心体」と「液胞」には注意が必要です。

まず、「中心体」は動物細胞にのみあるとしましたが、シダ植物・コケ植物・裸子植物においては、中心体が存在することが確認されています。

次に、「液胞」については、植物に比べてかなり小さなものですが、動物細胞でも存在することが、顕微鏡の発達で発見されました。ただし、植物細胞の液胞のように大きくなることはありません。


[出典:http://bsj.or.jp/jpn/general/research/01.php]

また、科学技術の進歩によって、動物と植物の分類方法も変わる可能性があります。

例えば、2005年頃に話題になった「ハテナ」という生物はその名の通り、動物的か植物的かがはっきりしません。「ハテナ」は、1つの細胞から成る単細胞生物ですが、分裂すると一方は光合成を行い、もう一方は捕食を行うという、これまでに見られない生態を持っています。

これから、動物と植物がどのように枝分かれしていったのか、また新たな発見があるかもしれません。

まとめ

以上、この記事では、「動物細胞」と「植物細胞」の違いについて解説しました。

  • 動物細胞:中心体を持つ
  • 植物細胞:葉緑体、細胞壁、液胞を持つ

「動物細胞」と「植物細胞」の違いは、細胞小器官の種類だったんですね。

あまり触れる機会のない話題かもしれませんが、新たな発見などが報道された時に、基礎を分かっていると、そのニュースをより深く理解できるでしょう。