今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「土木形骸(どぼくけいがい)」です。「形骸を土木にす」などのように書き下して用いられることもある表現です。意味をご存知でしょうか。
言葉の意味・使い方・由来・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「土木形骸」をざっくり言うと……
読み方 | 土木形骸(どぼくけいがい) |
---|---|
意味 | 自然のままに、飾らずに生きることのたとえ |
由来 | 『世説新語』「容止」 |
英語訳 | plain(飾らない、あるがまま) |
「土木形骸」の意味をスッキリ理解!
「土木形骸」の意味を詳しく
「土木形骸」とは、自然のままに、飾らずに生きることのたとえです。特に、容姿や身の回りを飾らないことを言います。
「土木」とは、読んで字のごとく、土と木のことです。「形骸」は、人の体を表す言葉です。
「土木形骸」は、自然の土や木のように、飾らずありのままの姿でいることという意味から生まれた四字熟語です。語順を入れ替えて「形骸土木」と言うこともあります。
また、「形骸を土木にす」と読み下し、慣用句としても使われています。
「土木形骸」の使い方
「土木形骸」は、以下のように使われます。
- 気取らず着飾らず、彼女は土木形骸な生活を送っている。
- 以前は濃いメイクをしていたが、最近は土木形骸なナチュラルメイクがお気に入りだ。
- 土木形骸する人は、自然体でとても素敵に見える。
②の例文を見て、「メイクをすることは自然体なのか」と疑問に思う方もいるかもしれません。しかし、ナチュラルメイクは、メイクでありながらも、自然体でなるべく素材を生かすようなメイクの方法ですので、「土木形骸」の概念に当てはまると言えます。
③の「土木形骸する」とは、自然体で飾らないことや飾らずに生活していることを言います。
「土木形骸」の由来
「土木形骸」は、『世説新語(せせつしんご)』という中国の文言(ぶんげん)小説集に由来しています。
文言小説とは、俗語で書かれた小説のことです。
『世説新語』のうちの「容止」という篇の内容が元になっています。原文は、以下の通りです。
(劉伶は、身長が180cmであり、顔つきは極めて醜かったが、土木のように悠然であった。)
劉伶は、中国の晋(しん)の時代において、詩文などに親しんだ人物です。
「土木形骸」の英語訳
「土木形骸」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- plain
(飾らない、あるがまま) - artless
(ありのままの、素朴な) - austere
(飾り気のない)
これらの英単語は、以下の例文のように使うことができます。
- “She is the condition of being plain.”
(彼女は飾り気のない様子だ。) - “She is an artless woman.”
(彼女は作り飾りのない女性だ。) - “She is an austere character.”
(彼女は飾らない人柄だ。)
まとめ
以上、この記事では「土木形骸」について解説しました。
読み方 | 土木形骸(どぼくけいがい) |
---|---|
意味 | 自然のままに、飾らずに生きることのたとえ |
由来 | 『世説新語』「容止」 |
英語訳 | plain(飾らない、あるがまま) |
「ああなりない」「こうなりたい」という願望は、向上心の種になるのでとても大切な気持ちです。しかし、今の自分も十分魅力的であることを認めてあげることも大切です。飾らずとも、ありのままの自分の素材の良さが必ずあります。
たまには楽な格好で、アクセサリーを外し、腕時計を外し、メイクをせずに軽装な自分のまま出かけてみると、何か新しい発見があるかもしれませんね。
「土木形骸」の意味や使い方を覚え、正しく使えるようにしましょう。