知ってるようで知らない!「アルツハイマー」と「認知症」の違い

違いのギモン

最近、ニュースなどでも認知症が話題にのぼることが多いですよね。

例えば、2016年には愛知県で認知症男性が徘徊(はいかい)中に線路に立ち入り、電車にはねられ死亡しました。そして、これにより電車が運転を見合わせたため、JR東海はこの男性の家族に対して損害賠償を求めて裁判を起こし、話題となりました。

ところで、みなさんは「アルツハイマー」という言葉も聞いたことがあると思います。そして、みなさんの中には「アルツハイマー」と「認知症」の違いがよくわからない人も多いのではないでしょうか。

そこで、今回は「アルツハイマー」と「認知症」の違いについて解説していきたいと思います。

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結論:アルツハイマーは認知症の一種

「認知症」とは、認識力・記憶力・判断力が障害をうけ、社会生活に支障をきたす状態のことです。

そして、「アルツハイマー」は、認知症の種類の1つです。

「アルツハイマー」をもっと詳しく

「アルツハイマー」は認知症の一種です。そのため、アルツハイマー型認知症と呼ばれることもあります。認知症の原因としては最も多く、認知症の約6割がアルツハイマー型認知症です。

そして、女性のほうがなりやすく、遺伝する場合もあるので、アルツハイマー型認知症の家族がいる場合には注意が必要です。また、他の認知症の患者数があまり変動していないのに対して、アルツハイマー型認知症は増加傾向にあります。

そして、2018年3月現在ではまだ、根本的な治療法はありません。そのため、アルツハイマー型認知症になった場合は、抗認知症薬で進行を遅らせるしかありません。

原因

アルツハイマー型認知症の原因の1つは、脳の中にβアミロイドというたんぱく質がたまることです。このたんぱく質は通常、脳のごみとしてすぐに排出されます。しかし、通常のβアミロイドよりも大きくて異常なたんぱく質ができてしまうと、排出されずに脳に蓄積されてしまいます。

そのため、アルツハイマー型認知症の患者の脳には「老人斑(ろうじんはん)(※1)」というシミが見つかったり、脳の神経細胞に糸くず状の「神経原線維変化(しんけいげんせんいへんか)(※2)」が見つかったりします。

 

そして、蓄積されたβアミロイドは脳の健康な細胞を変化させたり壊したりしてしまいます。すると、脳細胞や脳の神経細胞などが減少し、脳の働きを低下させてしまいます。そして、脳が萎縮(いしゅく)してしまうのです。

この萎縮は海馬を中心に起こり、全体も萎縮してしまうと言われています。なお、海馬は脳の中で、記憶などに関わる部位です。

  • 老人斑(※1):βアミロイドが脳に沈着してシミのようになっている状態。 参考画像
  • 神経原線維変化(※2):タウたんぱく質が細胞質の中で繊維化して沈着している状態。 参考画像

症状

アルツハイマー型認知症の主な症状は記憶障害と判断力の低下と見当識障害です。

まず、記憶障害について解説します。通常の物忘れでは、忘れていることを指摘されると思い出すことができます。しかし、記憶障害では体験がそもそも記憶できてないので、忘れていることを指摘されてもまったく思い出すことができません。

次に、判断力の低下です。例えば、ごみの捨て方や料理の仕方などを忘れてしまいます。すると、部屋がごみだらけになったり、料理ができなくなったりします。また、どの服を着たら適切かを判断することもできなくなるため、ちぐはぐな服を着てしまうこともあります。

そして、見当識障害です。これは、場所・時間・人物などが認識できなってしまう症状です。例えば、時計を見ても時刻がわからなくなったり、道がわからなくなって迷子になったりします。

他にも、身体機能が低下することで動きが不自由になっていきます。

 

ちなみに、症状の進行スピードには個人差があります。そのため、数年で寝たきりになる人もいれば、10年たっても自立して暮らしている人もいます。

予防

アルツハイマー型認知症は初期症状がわかりにくく、気づきにくいのが特徴です。そのため、少しでもおかしいと思ったら病院を受診して、早期発見をするのが重要です。完治はできませんが、早期発見すれば、進行を遅らせ、より長く健康的な生活を送ることができるようになります。

また、睡眠不足の人は十分に睡眠が取れている人の5倍アルツハイマー型認知症にかかりやすいといわれているので注意が必要です。

なぜなら、脳は夜に老廃物を排出しているため、睡眠不足だと、十分に老廃物を排出できなくなるからです。これがβアミロイドの蓄積につながることがあります。

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「認知症」をもっと詳しく

認知症とは、認識・記憶・判断力が障害を受け、社会生活に支障をきたす状態のことです。上記のアルツハイマー型のほかにも脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などがあります。

ここからはこれらの主な認知症について解説していきたいと思います。

脳血管性認知症

脳血管性認知症は認知症の中で2番目に多く、認知症の患者の20%強を占めると言われています。そして、脳梗塞などと併発しやすいのが特徴です。

ちなみに、脳血管性認知症はアルツハイマー型認知症を併発する場合があります。

原因

脳血管性認知症の原因は動脈硬化により脳の血管が詰まったり、出血したりすることです。

すると、その部分の脳細胞に十分な酸素や栄養が送られなくなります。これによりその部分の脳細胞が壊れてしまい、その部分が担っていた脳機能が失われてしまうのです。

症状

症状は壊れてしまった部位により異なります。しかし、多くの人に共通する症状もあります。

例えば、意欲の低下や自発性の低下です。つまり、すべてのことに対するやる気が低下し、自分から行動を起こすことが少なくなってしまうのです。他にも、脳血管性認知症の患者は不眠に悩まされることが多いです。また、ちょっとしたことに過敏に反応して怒り出してしまう「不穏」という症状もよく見られます。

そして、症状の変動が激しく、急に悪化したり、良くなったりします。また、脳の血管に原因があるので、脳梗塞などの発作が起こるたびに症状は重くなります

予防

動脈硬化は生活習慣病により起こるので、生活習慣病の予防をすれば、脳血管性認知症の予防にもつながることになります。

具体的には、ストレスをため込みすぎず、バランスのよい食事をとって、適度な運動をすれば、発症の可能性は大きく下がるでしょう。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は認知症の中で3番目に多いタイプで、20%程度と言われています。また、男性のほうが発症しやすいという特徴があります。

原因

レビー小体型認知症の原因は、「レビー小体」というたんぱく質が脳にたまることです。これにより、脳の萎縮が起こってしまいます。この点はアルツハイマー型認知症と似ていますよね。

そして、「レビー小体」というたんぱく質はパーキンソン病の原因にもなります。そのため、このタイプの認知症はパーキンソン病(※3)を併発することがあります。

そして、なぜこのタンパク質が脳にたまってしまうのかはよくわかっていません。

  • パーキンソン病(※3):発症すると体を動かすのがだんだん難しくなっていく病気。病名は発見者名。

症状

レビー小体型認知症の症状はパーキンソン病と似ています。動きが緩慢(かんまん)になり、体が硬くなって歩くのが難しくなっていきます。そのため、転倒してしまうことも多く、注意が必要です。

そして、幻視により本当は見えないものが見えたり、幻聴により本当は聞こえない音が聞こえたりします。そして、寝ている時に夢に合わせて手足を動かしたり、夢遊病のように歩き出したりします。

ちなみに、レビー小体型認知症にも認知機能(※4)の障害が起こりますが、その症状は変動しやすく、良い時には普通に話が通じますが、悪い時には自分の回りがどうなっているのかもわからなくなってしまいます。

その他にも、気分や態度や行動などがころころ変わるようになってしまいます。

  • 認知機能(※4):ものごとを正しく判断して適切に行動するための脳の機能

予防

レビー小体型認知症に予防法はありません。根治もできません。しかし、薬物治療により進行を遅らせることができます。

そのため、異変に気付いたらすぐに病院を受診し、早期発見に努めましょう。早く見つければ見つけるほど、より長く健康的な生活を続けることができます。

前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症の患者は約12000人で、男女差はあまりないとされています。45才~65才の初老期に発症することが多いです。そして、10年以上かけてゆっくり進行することが多いのが特徴です。

原因

前頭側頭型認知症の原因は大きくわけて2つあります。「ピック球」という異常構造物が脳の神経細胞の中にたまる場合と、「TDP-43」というたんぱく質がたまる場合です。

しかし、なぜこれらの物質がたまってしまうのかなど、詳しいことはよくわかっていません

症状

前頭側頭型認知症の症状は大きくわけて4つです。

まず1つ目の症状は、人格・性格の極端な変化です。例えば、柔軟な思考ができなくなったり、反社会的な行動が増えたりすることが知られています。

2つ目は、決まった時間に決まった行動を繰り返さないと不機嫌になるという症状です。例えば、朝ご飯の時間が1分ずれただけで怒鳴ったり、散歩で側溝の30㎝横をまっすぐ歩き、人とすれ違っても絶対に道を譲らなかったりします。

3つ目は状況と関係ない言葉が繰り返し出てくる症状です。例えば、「電車が来た」という言葉を状況に関係なく口にし続けることがあります。

4つ目は物の名前が意味することが分からなくなってしまう症状です。例えば、電話と言ってもそれが何を指すのかわからず、電話の前に来てはじめて意味がわかるということがあります。

予防

前頭側頭型認知症に予防法・有効な治療法はありません。

その他の認知症

主な認知症の原因はこれまでに解説した4つですが、その他の原因でも認知症になることがあります。

例えば、肝硬変(※5)により血液中のアンモニア濃度が増えることが認知症の原因になることがあります。なぜなら、アンモニアには毒性があり、これが血管を通じて脳に到達すると、脳細胞を破壊してしまうからです。

他にも、重い貧血、心疾患などが認知症の原因になることがあります。

何らかの形で脳細胞が破壊されてしまうことで認知症は起こるのです。

  • 肝硬変(※5):肝臓が硬く小さくなり、その機能が低下してしまう病気のこと

まとめ

以上、この記事では、「アルツハイマー」と「認知症」の違いについて解説しました。

  • アルツハイマー:認知症の一種
  • 認知症:認識力・記憶力・判断力が障害をうけ、社会生活に支障をきたす状態のこと

アルツハイマーは一番有名で患者数も多い認知症なので、認知症と間違えられやすいのですね。しかし、認知症にはいろいろなタイプがあるのです。これからは使い分けに気をつけていきたいですね。

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