「丁稚奉公」の意味とは?使い方から英語や類義語まで例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「丁稚奉公(でっちぼうこう)」です。

言葉の意味・使い方・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「丁稚奉公」をざっくり言うと……

読み方丁稚奉公(でっちぼうこう)
意味幼少期から下働きとして勤めること
類義語見習いなど
英語訳to serve as apprentice(弟子として働く)など

「丁稚奉公」の意味をスッキリ理解!

丁稚奉公(でっちぼうこう):幼少期から下働きとして勤めること

「丁稚奉公」の意味を詳しく

かつて商人や職人の家で下働きする年少者のことを「丁稚」と呼んでいました。丁稚奉公とは、その「丁稚」が、主人の家に衣食住を保証してもらう代わりに下働きをすること、つまり「奉公」という働き方をすることです。

丁稚奉公は昭和22年以降は違法とされており、今は存在しません。丁稚奉公に似た働き方としては、職人の見習いなどがあげられます。また、過酷な雇用条件を「丁稚奉公」と比喩的に表すこともあります。

「丁稚」について

丁稚は10歳前後から始まります。奉公に行った丁稚は、主人のお供や雑用などの下働きをさせられ、閉店後に日常生活の常識や勉強を教えてもらっていました。明治後期になると、店単位で社員旅行などに連れて行ってもらえることも多くありました。

面倒を見てもらって勉強もさせてもらっているのだからと、給料は支給されなかったが、少なくとも生活が保証されており、将来的に出世ルートに乗れる可能性もあったため、丁稚奉公にいけるのは基本的にはいいこととされていました。

10年ほど丁稚として働いたあとは、「手代(てだい)」と呼ばれる役職になります。手代は番頭(ばんとう)の指示にしたがって働き、丁稚たちの面倒も見ていました。手代からは給料が出るようになり、また、閉店後は自由時間として与えられました。

 

さらに10年ほど働くと「番頭(ばんとう)」になります。番頭は主人の代理として働く存在であり、営業のほぼ全てを取り仕切りました。結婚するのも、ほとんどが番頭になってからでした。

優秀だと店の暖簾分けがされ、店のオーナーとなることができました。ただし、「暖簾分け」を受けた場合でも、本店と全く同じ商売をやることは許されていなかったそうです。

 

このように、丁稚は下働き中の下働きです。丁稚奉公というシステムが廃れた今でも、「丁稚」という単語一語で「使いっぱしり、雑用係」を意味したり、平社員が「まだ丁稚です」などと謙遜したりするのに使われています。

「滅私奉公」との違い

「滅私奉公」は「丁稚奉公」と音が似ているため、混同されやすい単語です。

しかし、意味としては大きく異なるので注意しましょう。「滅私奉公」とは、自分の欲などを殺して公のために働くことで、「丁稚奉公」という労働システムとは全く関係がありません。

「丁稚奉公」の使い方

  1. かつて、大規模な商店は、多くの丁稚奉公を受け入れていたという。
  2. 今は丁稚奉公のように、店の雑用をこなしながら、師匠の後について技術を学んでいる。
  3. 普通に暮らしていても余らない程度の給料でこんなに働かされるなんて、まるで丁稚奉公じゃないか。

「丁稚奉公」は現在は存在しない雇用システムのため、上記の例文のように、多くの場合は「丁稚奉公のように」「まるで丁稚奉公だ」などと使われます。

①は歴史的な事実について述べた文です。昔、大きな商店では、丁稚奉公という形で年少者がたくさん働いていました。手代などになるための出世競争も過酷だったそうです。

②は、職人見習いに関しての文章です。自分が店の雑用をやりながら師匠の技を学んでいる様子を、「丁稚奉公のよう」と形容しています。

 

③はより比喩的に「丁稚奉公」を使用した文章です。普通に暮らしていても余らない程度の給料、つまり衣食住などの必需品に消えてしまう程度の給料しかもらえないのにこき使われていることを、無給で働かされていた丁稚に例えています。

このように、「丁稚奉公」という言葉の持つニュアンスは使い方によって異なります。

「丁稚」の類義語

丁稚には以下のような類義語があります。

  • 見習い:職人などに付き従って勉強している身分の人のこと

「見習い」と「丁稚」の違いは、「見習い」は給料をもらっていて、「丁稚」はもらっていない点にあります。

「丁稚」の英語訳

丁稚を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • apprenticeship
    (丁稚奉公)
  • to serve as apprentice
    (弟子として働く)

もともと”apprentice”という単語には「弟子」という意味があります。それに「制度」などを意味する接尾語”ship”がくっついたのが”apprenticeship”で、動詞をつけて「働く」という意味をもたせたのが”to serve as apprentice”です。

まとめ

以上、この記事では「丁稚奉公」について解説しました。

読み方丁稚奉公(でっちぼうこう)
意味幼少期から下働きとして勤めること
類義語見習いなど
英語訳to serve as apprentice(弟子として働く)など

当時は比較的高待遇とされていた「丁稚奉公」ですが、時代の流れとともに廃止され、現在では悪いイメージとして使われることもある点に注意しましょう。

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Rie
日英バイリンガル東大生。 10年間小説を書き続けているため、文章力には自信があります。 いくつかの小説投稿サイトで掲載/連載している他、教育系NPOでもライターをしています。