「代理」と「代行」の違いとは?法律用語としての使い方まで解説

違いのギモン

「代理」と「代行」、この2つの言葉はどのように使い分けるかご存知ですか?日常的に頻繁に使われる言葉ではないですが、意味をしっかり覚えて正しく使えるようにしておけると良いですよね。

この記事では、「代理」と「代行」の違いについてわかりやすく解説していきます。

記事の後半では、法律用語として使われる「代理」と「代行」の意味についても解説しています。

結論:「代理」は本人に代わること、「代行」は本人の支障で代わること

「代理」は当事者に代わって物事を処理すること、またはその人のことを指します。

「代行」は当事者に支障がある時に代わって物事を処理すること、またはその人のことを指します。

「代理」をもっと詳しく


「代理」とは、本人に代わって職務を行うこと、またはその人のことを指す言葉です。広い意味で、当事者の職務や役割を他人が代わることを意味します。

「代理」の使い方の例

  1. 父の代理で来客の対応をした。
  2. 上司の代理で資料を作成した。
  3. 先程の会議では進行役として部長の代理をつとめた。

①では、父の代わりで来客対応という職務を行っています。

②では、上司の代わりに資料作成という職務を行っています。

③では、会議における部長の役割を代わっています。

どの例文でも、当事者に代わって職務を行っていますね。

「代行」をもっと詳しく

「代行」とは、本人に支障があって職務を代わること、またはその人のことを指す言葉です。「代理」とほとんど同じ意味ですが、当事者に”何らかの支障があって”代わるという意味が含まれています。「代理」よりも狭い意味や、限定した場面で使うことができます。

「代行」の使い方の例

  1. 友人に急用ができた為、イベントの買い物を代行した。
  2. 病気の後輩の代行として打ち合わせに出席する。
  3. 風邪を引いてしまい、上司に仕事を代行してもらった。

①では、支障の出た友人の代わりに買い物という職務を行っています。

②では、支障のある後輩の代わりに打ち合わせという職務を行っています。

③では、自分に支障があり、上司に職務を代わってもらっています。

どの例文でも、本来職務を行うべき当事者に支障がある場合に、当事者に代わって職務を行っていますね。

法律用語としての「代理」と「代行」

「代理」と「代行」は、法律用語としても使われています。ここでは、法律用語としての意味も確認しておきましょう。

法律用語としての「代理」

民法の規定において、「代理」は次のように定義されています。

たとえば、ある人物Aと一定の関係がある人物Bが、人物Cとの間で意思表示を行ったとします。この時、その意思表示による法的な効果(権利や義務)が、Aに直接生じます。以上が「代理」です。

この場合にはAを本人、Bを代理人、Cを相手方と言います。

また、「代理」では、代理人が与えられた代理権の範囲内で「自らの意思決定」に基づいて代理行為を行うことができます。

法律用語としての「代行」

民法上では「代行」という言葉は定義されていません。しかし、”使者”の行為がこれに当たると考えられます。”使者”とは、お使いをする人のことです。

「代行」では、代行者が自ら意思決定をすることはできず、「本人の決定した意思を伝達、表示」することしかできません。

法律用語としての「代理」と「代行」は”意思決定の権限の有無”で判断しましょう。

まとめ

以上、この記事では、「代理」と「代行」の違いについてわかりやすく解説しました。

  • 代理:本人に代わって職務を行うこと、またはその人のこと
  • 代行:本人に支障がある場合に代わって職務を行うこと、またはその人のこと

広い意味で使える「代理」と、より限定した場面で使える「代行」、どちらの意味もしっかりおさえて正しく使えるようにしましょう。