心理学用語「代表性ヒューリスティック」の意味と具体例をわかりやすく解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、心理学用語の「代表性(だいひょうせい)ヒューリスティック」です。

言葉の意味・具体例・英語訳・ヒューリスティックの種類についてわかりやすく解説します。

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「代表性ヒューリスティック」の意味をスッキリ理解!

代表性(だいひょうせい)ヒューリスティック:代表的・典型的であると思われる事項の確率を過大評価しやすい意思決定プロセスのこと

「代表性ヒューリスティック」の意味を詳しく


「代表性ヒューリスティック」とは、代表的・典型的であると思われる事項の確率を過大評価しやすい意思決定プロセスのことです。

簡単にいうならば、ありがちだと思われることを実際に起こる確率よりも大きく評価してしまうということです。

ヒューリスティックとは、人が判断や意思決定をする際、無意識に使っている手がかりや法則のことです。これは、ほとんどの場合それぞれの個人の経験によって形成されるため「ヒューリスティック=経験則」と解釈することができます。

つまり、代表性ヒューリスティックは、経験則によって「こういう場合はこうなることが普通だ」などという思考が生まれ、その評価が実際の確率よりも過大になることを言います。

 

・ヒューリスティックとは

「ヒューリスティック」は、すでに説明した通り、人が判断や意思決定をする際、無意識に使っている手がかりや法則のことです。

つまり、物事を考える際のヒントとなっている材料といえます。

これは、頭で考える前に無意識のうちに行動することを可能にし、意思決定や結論に至るまでの時間を短縮する役割を持っています。

しかし、ヒューリスティックは、ほとんどの場合がそれぞれの個人の経験に基づくため、個人によって一定の偏りが生じることがよくあります。そのため、確実な正確性を保証するものではありません。このような認識の偏りのことを「認知バイアス」と呼びます。

 

また、無意識的な領域による思考プロセスのヒューリスティックスに対して、論理的なプロセスで問題解決に至る一連の手順を「アルゴリズム」と言います。

・3つのヒューリスティック

ヒューリスティックには、以下の3つのパターンがあります。

  1. 代表性ヒューリスティック
  2. 利用可能性ヒューリスティック
  3. 固着性ヒューリスティック

詳しくは、後述の項目で解説します。

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「代表性ヒューリスティック」の具体例

「代表性ヒューリスティック」に関する具体例を3つご紹介します。

①リンダ問題

代表性ヒューリスティックには、アメリカの心理学者であるエイモス・トベルスキーとダニエル・カーネマンが考案した「リンダ問題」という有名な例があります。

ここで、皆さんにひとつ問題を出します。直感で答えてみてください。

「リンダは31歳の独身女性です。率直な性格の持ち主で、とても聡明な人物です。大学では哲学を専攻していました。学生時代には、人種差別や社会正義などの問題に深く関心を持ち、反核デモにも参加していました。」

現在のリンダは、以下のどちらの可能性がより高いでしょうか?

 

  1. リンダは銀行員として働いている。
  2. リンダは銀行員として働きながら、女性解放運動もしている。

 

いかかでしょうか。

多くの人は、問題文のリンダの人柄や経歴から、②を選んだのではないでしょうか。

しかし、よく考えてみましょう。一般的に見て、「銀行員として働いている人の数」と「銀行員の中で女性解放運動をしている人」の数ではどちらの方が多いでしょうか。合理的な考えのもと数学的に考えると、リンダは①である確率の方が高いのです。

リンダの特徴が女性解放運動をするフェミニストの特徴と類似するため、代表性ヒューリスティックの働きによって②を選んでしまうという例です。

②サイコロの目の出る確率

ここでもうひとつ、皆さんに問題を出します。これもまた、直感で答えてみてください。

サイコロを3回振ります。3回のうち、出た目が「5・5・5」となる確率と「2・5・6」となる確率では、どちらの方が高いでしょうか?

 

いかがでしょうか。

経験的に、「5・5・5」のように3回連続で同じ数字が揃うよりも、「2・5・6」のように3つの数字がバラバラに出ることの方がはよくあると感じませんか。そう考えると、「2・5・6」の方が確率が高いように思われます。

しかし、これはどちらも同じ1/6 × 1/6 × 1/6 = 1/216の確率です。

「同じ数字が揃うことは滅多にないことだ」という代表ヒューリスティックによって、実際の確率とは異なるように感じてしまうのです。

③日常場面での代表性ヒューリスティック

日常場面でも、代表性ヒューリスティックは起こっています。

たとえば、友人から「私の彼氏はスポーツをやってるんだ」と、彼の写真を見せてもらったとします。その写真には、背が低い男性が写っていました。

その写真を見て、まず始めに「バスケットボールかバレーボールをやっているのかな」と思う人は少ないでしょう。

「バスケットボール選手やバレーボール選手は背の高い人が多い」という代表性ヒューリスティックによって、その選択肢が無意識のうちに却下されているのです。

「代表性ヒューリスティック」の英語訳

「代表性ヒューリスティック」を英語に訳すと、 “representative heuristic” となります。

representative は「代表する」「代表的な」「典型的な」という意味です。

heuristic は「ヒューリスティック」を英語表記したものです。ドイツ語表記では、heuristik となります。

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「ヒューリスティック」の種類

前述したように、ヒューリスティックには「代表性ヒューリスティック」のほかに「利用可能性ヒューリスティック」「固着性ヒューリスティック」の2つがあります。

・利用可能性ヒューリスティック

「利用可能性ヒューリスティック」は、思い出しやすい事項や記憶情報を優先して評価しやすい意思決定プロセスのことです。「想起ヒューリスティック」ともいいます。

人は、記憶に残っているものほど頻度や確率を高く見積もる傾向にあります。

たとえば、よく知らない商品よりも、CMでよく見かける商品の方が何となく良いものだと思ってしまうことなどが例として挙げられます。

 

・固着性ヒューリスティック

「固着性ヒューリスティック」は、最初に与えられた情報を基準として、それに調整を加えることで判断するという意思決定プロセスのことです。「アンカリング」や「係留と調整ヒューリスティック」ともいいます。

同じものでも、「定価は5万円」と言われるのと「定価は8万円だが、今なら5万円」と言われるのでは、後者の方が安く感じるということなどが例として挙げられます。

まとめ

以上、この記事では「代表性ヒューリスティック」について解説しました。

読み方代表性ヒューリスティック(だいひょうせいひゅーりすてぃっく)
意味代表的・典型的であると思われる事項の確率を過大評価しやすい意思決定プロセスのこと
英語訳representative heuristic(代表性ヒューリスティック)
「ヒューリスティック」の種類代表性ヒューリスティック、利用可能性ヒューリスティック、固着性ヒューリスティック

「代表性ヒューリスティック」は、私たちの思考の節約をしてくれる機能ですが、時に物事の見え方を歪ませてしまうこともあります。

何か大事なことを決めるときは、「代表性ヒューリスティック」による感覚だけでなく、客観的な事実と自分自身の価値観とをよく照らし合わせることが大切ですね。

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