ことわざ「大は小を兼ねる」の意味とは?類義語から英語まで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、ことわざの「大は小を兼ねる(だいはしょうをかねる)」です。

言葉の意味や使い方、由来、類義語、対義語、英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「大は小を兼ねる」をざっくり言うと……

読み方大は小を兼ねる(だいはしょうをかねる)
意味大きいものは小さいものの役割を果たすことができるということ
由来董仲舒(とうちゅうじょ)の著作である論文集、『春秋繁露(しゅんじゅうはんろ)』の中の記述
類義語大は小を兼ねる、大きな物は細う使われる
対義語材大なれば用を為し難し、長持枕にならず、長持は弁当箱にならぬなど
英語訳The greater embraces the less. (大は小を包含する)

「大は小を兼ねる」の意味をスッキリ理解!

大は小を兼ねる(だいはしょうをかねる):大きいものは小さいものの役割を果たすことができるということ

「大は小を兼ねる」の意味を詳しく


「大は小を兼ねる」とは、大きいものは小さいものの役割を果たすことができるということを意味することわざです。

つまりは、大きいものは小さいものの代わりになり、幅広く役に立つということを表しています。

 

実際に身の回りにも、大が小を兼ねているものは数多くあります。例えば、1L の水をペットボトルに入れるとします。この場には、500ml のペットボトルと2L のペットボトルの二種類があります。

この場合、小さな 500ml のペットボトルには 1L の水を入れることはできません。しかし、大きな 2L のペットボトルには入れることができますよね。

この例を見れば、大きいものは、小さいものよりも汎用性(はんようせい)が高いということが想像しやすいと思います。

 

また、逆に、「大は小を兼ねる」で、小さいものは大きいものの代わりはできないという意味も含んでいます。こちらもペットボトルで考えてみれば理解できるはずです。

500ml のペットボトルと 2L のペットボトルの二つで考えます。2L のペットボトルは、500ml はもちろん入るので、500ml のペットボトルの代わりをすることはできます。しかし、500ml のペットボトルは、2L を入れることはできません。

このように、大きいものは小さいものの代わりをできる一方で、小さいものは大きいものの代わりはできないという意味を表すのが「大は小を兼ねる」ということわざです。

「大は小を兼ねる」の使い方

  1. スパゲッティを作っているがどれぐらいの量になるか分からない。大は小を兼ねるというから大きめの皿を用意しよう。
  2. 大は小を兼ねるというように、迷ったら大きいスーツケースを買えば基本的に何でも入る。
  3. スマートフォンの容量をどれぐらいにすればよいか分からなかったので、大は小を兼ねるということで、一番大きいものにした。

➀~➂は、どれも、大きいものは小さいものの代わりになるということで、大きいものを選択したという結果となる例文です。➂のように、物理的な大きさだけでなく、データの容量の大きさにも使います。

そして、どれも、小さいものは大きいものの代わりはできないだろうという考えに基づいています。

「大は小を兼ねる」の由来

「大は小を兼ねる」の由来は、中国の漢の時代の学者、董仲舒(とうちゅうじょ)の著作である論文集、『春秋繁露(しゅんじゅうはんろ)』の中の記述にあります。

「夫已有大者、又兼小者、天下能是之、況人乎」という記述があります。これを訳すと、「大人(賢者)は小人(愚者)の振る舞いもすることができる。だから、天下で役に立つことができるのは賢者だけだ」という意味になります。

賢者は愚者の振る舞いをすることができる一方で、愚者は賢者の振る舞いをすることができないということから、現在のような意味になったとされています。

「大は小を兼ねる」の類義語

「大は小を兼ねる」には以下のような類義語があります。

  • 大は小を叶える:「大は小を兼ねる」に同義
  • 大きな物は細う使われる:大きなものは小さくして使うことができるということ

「大は小を兼ねる」の対義語

「大は小を兼ねる」には以下のような対義語があります。

  • 材大なれば用を為し難し(ざいだいなればようをなしがたし):材木は加工して使うにしても大きすぎると持て余してしまうということ
  • 長持枕にならず(ながもちまくらにならず):大は小を兼ねると言えども大きすぎては意味がないということ
  • 長持は弁当箱にならぬ(ながもちはべんとうばこにならぬ):大は小を兼ねると言えども大きすぎては意味がないということ
  • 搗き臼で茶漬け(つきうすでちゃづけ):大きいものは、細かい作業では使えないということ
  • 杓子は耳掻きにならず(しゃくしはみみかきにならず):大きいものは必ずしも小さいものの代わりにはならないということ

「材大なれば用を為し難し」は、転じて、立派すぎる人は世の中になかなか受け入れられないということも意味します。

「大は小を兼ねる」の英語訳

「大は小を兼ねる」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • The greater embraces the less.
    (大は小を包含する。)
  • The greater serves for the lesser.
    (大は小に役に立つ。)
  • Store is no sore.
    (たくさんあるには苦にならない。)

まとめ

以上、この記事では「大は小を兼ねる」について解説しました。

読み方大は小を兼ねる(だいはしょうをかねる)
意味大きいものは小さいものの役割を果たすことができるということ
由来董仲舒(とうちゅうじょ)の著作である論文集、『春秋繁露(しゅんじゅうはんろ)』の中の記述
類義語大は小を兼ねる、大きな物は細う使われる
対義語材大なれば用を為し難し、長持枕にならず、長持は弁当箱にならぬなど
英語訳The greater embraces the less. (大は小を包含する)

「大は小を兼ねる」の意味や使い方など、理解することはできたでしょうか。

確かに、大きなものは小さいものの代わりを果たすことができることは多いかもしれません。しかし、対義語が多く存在するように、どのような場面でも必ずしもそうとは限らないのです。

小さいサイズやちょうどよいサイズを選ぶべき場面も多くあるはずなので、そこは心得ておきたいところですね。