心理学用語「協調の原理」とは?意味と具体例をわかりやすく解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、心理学用語の「協調の原理(きょうちょうのげんり)」です。

言葉の意味・具体例・提唱者・英語訳についてわかりやすく解説します。

「協調の原理」の意味をスッキリ理解!

協調の原理(きょうちょうのげんり):会話を相手に伝達するために人が守っている原理のこと

「協調の原理」の意味を詳しく

協調の原理とは、従うことによって、協調的な会話が可能になると考えられている原理のことです。

協調の原理は、質の公理量の公理関連性の公理様態の公理という、4つの公理が組み合わさったものとなっています。

質の公理

質の公理とは、正直に、真実だけを述べなければならないというものです。

そのため、嘘をつくことは質の公理を守っていないことになります。また、根拠に欠ける情報について話すことも、質の公理が守られていないということになります。

量の公理

量の公理とは、伝える情報量を適切なものにせよというものです。

必要な情報をすべて与えていない会話は、量の公理が守られていないという会話ことになります。また、必要以上に余分な情報を伝えているのも、量の公理が破られています。

 

量の公理が意味する「量」とは、会話をしている人同士の関係性によって変化します。

たとえば、初対面の人同士が話す場合には、相手を気遣い、いつもより情報を多く話す傾向にあります。一方、友人と話すときなどは、お互いが当然のように分かっている事柄に関しては、省略して話す傾向があります。

このように、量の公理は会話をする人によって、少しずつ変わります。

関係性の公理

関係性の公理とは、関係ないことを言ってはいけないというものです。

いきなりまったく話の流れに関係ないことを言うのは、関係性の公理に反しています。

様態の公理

様態の公理とは、不明瞭な表現を使ってはいけないというものです。

「様態」とは、物事のあり様を表す言葉です。そのため、望ましい様態であること、つまりわかりやすい会話のあり方を指して、「様態の公理」と呼んでいます。

聞き手によって解釈が分かれる曖昧な表現を使用することは、様態の公理に反します。また、順序立てて離されていない話というものも、様態の公理が守られていないということになります。

「協調の原理」の具体例

ここでは、4つの公理それぞれにおいて、公理が守られていない例を紹介します。

質の公理が守られていない例

A:「明日の集合時間って何時?」
B:「明日は11時集合だよ」(Bさんは、本当は何時に集合したらいいかを知らない)
このような場合は、Bさんは十分な証拠に基づく発言をしていません。そのため、Bさんは質の公理を守っていないということになります。

量の公理が守られていない例

A:「明日の集合時間って何時?」
B:「明日は10時30分00秒、地球が〇〇回回った時に集合だよ」
この場合、Aさんは翌日の集合時間を聞いています。それに対し、Bさんは余計な情報もAさんに伝えています。そのため、Bさんは量の公理を守っていないということになります。

関連性の原理が守られていない例

A:「明日の集合時間って何時?」
B:「私の好きな食べ物はハンバーグです」
この場合、Aさんが翌日の集合時間を聞いているのに対し、Bさんは好きな食べ物を答えています。そのため、Bさんは関係のないことを答えており、関連性の原理が守られていません。

様態の原理が守られていない例

A:「明日の集合時間って何時?」
B:「明日の集合時間は10時と11時の間くらいの時間だよ」
この場合、Aさんは10時30分と受け取る可能性もありますが、集合時間は10時10分だと認識する可能性もあります。そのため、表現が曖昧であるとされ、Bさんは様態の原理を守っていないということになります。

「協調の原理」の提唱者

協調の原理は、イギリスの哲学者・言語学者であるポール・グライス氏によって証明されました。

彼は、会話とは基本的に協調的な行為であると仮定し、言葉にこめられた含意についての体系を記述しようとしました。

その際に作られた理論が、協調の原理であるとされています。

「協調の原理」の英語訳

協調の原理を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • The cooperative principle
    (協調の原理)

また、4つの公理にもそれぞれ英語訳があります。

  • maxim of quality
    (質の公理)
  • maxim of quantity
    (量の公理)
  • maxim of relevance
    (関連性の公理)
  • maxim of manner
    (様態の公理)

含意について


A:「明日の集合時間って何時?」
B:「いつもの時間だよ」
上記のような場合には、Bは具体的な時間を言っていません。このような場合、基本的には量の公理に反していると考えられます。

しかし、恐らくこの場合には、Bは直接的に答えてはいないものの、Aには意図が伝わっていると考えることが出来ます。

このように、協調の原理に従っていないが、会話の意味的には強調の原理に従っていることになる、言葉に込められた意味のことを、含意と言います。

まとめ

以上、この記事では「協調の原理」について解説しました。

読み方協調の原理(きょうちょうのげんり)
意味会話を相手に伝達するために人が守っている原理のこと
提唱者ポール・グライス氏
英語訳The cooperative principle(協調の原理)

協調の原理は、会話を成り立たせている重要な要素の1つです。これによって、相手が理解しやすいような話をすることを心がけていきましょう。