今回ご紹介する言葉は、カタカナ語の「コンセンサス」です。
「コンセンサス」の意味・使い方・語源・「アグリーメント」「コンセント」との違いについてわかりやすく解説します。
「コンセンサス」とは?
「コンセンサス」の意味を詳しく
「コンセンサス」とは、「複数の人の合意や意見の一致」のことです。
正しい意味がわからないカタカナ語として有名で、これまでに下記の調査期間・メディアで「わかりづらい言葉」として取り上げられたことがあります。
ほぼ日刊イトイ新聞:職場で用いられる意味の分かりにくい言葉として取り上げられる
そこで、ここからはコンセンサスの意味をより詳しく解説していきます。
コンセンサスはビジネスや政治の場面で使われる言葉ですが、その意味は大きく分けて2つあります。
- 複数人の合意、意見の一致
- 事前の根回し
一般に、ビジネスの場面で「明日の会議までにコンセンサスとっておいて。」などと言われたら、①の「合意」の意味で使われています。
会議が円滑に進むために、あらかじめ参加者の合意をとっておいてほしいということですね。
そして、この「合意」が転じてかたちとして、②の「根回し」の意味があります。
その語源は、事前に複数人の合意をとるには、きちんとした根回しが必要というところから来ています。
ただ、「根回し」という意味合いで使われることはめったにありません。
基本的には、「コンセンサス」は「複数人の合意、意見の一致」という意味で使われることが多いので、注意が必要です。
「コンセンサス」の使い方
- 課長に「明日の会議までにコンセンサスとっておいて」と言われた。
- 原発削減を推進する動きは、日本人のナショナルコンセンサスです。
- 今年の国連会議も、コンセンサス方式で議決していくことになっている。
前述した通り、一般的に使われるコンセンサスは、「複数人の合意、意見の一致」という意味です。
しかし、「ナショナルコンセンサス」「コンセンサス方式」というかたちで使われる場合は意味が異なります。
「ナショナルコンセンサス」とは、国家政策について国民の過半数以上が合意することを指します。
通常のコンセンサスよりも、かなり限定的な意味を持っているということですね。
そして、「コンセンサス方式」とは、会議の議決方式の1つです。
投票による過半数の獲得ではなく、「参加者に反対するものがいないこと」を決議の方針としています。
「コンセンサス」の語源
日本でよく使われる「コンセンサス」は、英語の名詞である“consensus”から来ています。
“consensus”は、「意見の一致・総意」という意味です。
よって、日本でよく使われる「コンセンサス」も同じような意味を持っています。
ちなみに、補足になりますが英語の“consensus”はラテン語に起源があります。
ラテン語において「コンセンサス」とは、「お互いを同じように感じる」という意味を持っているのです。
ラテン語から英語に、そして日本語へ。
このような流れを踏んで、「コンセンサス」は「意見の一致・総意」という意味で日本に広まったということですね。
「コンセンサス」と「アグリーメント」「コンセント」の違い
コンセンサスと似た言葉として、「アグリーメント」と「コンセント」があります。
ここからは、これらの言葉がどう違うのかについて解説していきます。
まずは、コンセンサスと同じ「合意」という意味を持つ「アグリーメント」についてです。
この2つの言葉は、合意をとる対象者の人数に違いがあります。
「アグリーメント」は単なる「合意」ですが、コンセンサスは「複数の人の合意」という限定的な意味になっています。
よって、会社の会議のように参加者の人数が絞られているときには、「アグリーメント」よりもコンセンサスが相応しいといえます。
次に、「コンセンサス」と似た英語表記をされる「コンセント(consent)」の違いについてです。
一般に、「コンセンサス」は「合意」、「コンセント」は「同意」と訳されます。
そして、専門的な話にはなりますが、両者は下記のような違いがあるとされています。
単なる多数決投票の結果や契約書への調印といった現象を通常は同意と呼び,コミュニケーション過程と相互了承を伴う合意とは必ずしも同じ意味ではない。
長くなりましたので、ここまでの話をまとめていきます。
- コンセンサス:複数の人の間での合意
- アグリーメント:(単なる)合意
- コンセント:同意(実は、反対者がいる可能性あり)
まとめ
以上、この記事では「コンセンサス(consensus)」について解説しました。
英語表記 | コンセンサス(consensus) |
---|---|
意味 | 複数の人の間で合意すること・意見が一致すること |
語源 | 英語の名詞である“consensus” |
「アグリーメント・コンセント」との違い | アグリーメント:対象者の人数が違う
コンセント:相互了承がされているかどうかで違う |
大学生になると、やたらと「コンセンサス」という言葉を使いたがる人が出てきます。
しかし、意味がわからない人が多いので、うまく伝わらないことがほとんどです。
コンセンサスを使う際には、相手が理解できるかどうかをまず考えましょう。