今回ご紹介する言葉は、カタカナ語の「コンセンサス」です。
「コンセンサス」の意味・「コンセンサス」がつく言葉・使い方・語源・類義語・対義語についてわかりやすく解説します。
☆「コンセンサス」をざっくり言うと……
英語表記 | コンセンサス(consensus) |
---|---|
意味 | 複数の人の間で合意すること・意見が一致すること |
語源 | 英語の名詞である“consensus” |
類義語 | アグリーメント、コンセントなど |
対義語 | 独断、裁量 |
このページの目次
「コンセンサス」とは?
「コンセンサス」の意味を詳しく
「コンセンサス」の意味は主に以下の2つです。
- 複数人の合意、意見の一致
- 事前の根回し
それぞれの意味について詳しく見ていきましょう。
意味①:複数人の合意、意見の一致
「コンセンサス」の一番メインの意味は「複数人の合意、意見の一致」です。
「複数人」の同意なので、1人に対して同意を求める時に使うのは正確ではありません。
そのため、夫婦間で意見を一致させたい時などには使えません。
また、「コンセンサス」は正確には「全会一致による合意」を示すので、1人でも反対意見を述べていたら「コンセンサスが取れた」とは言えません。
ただ、実際には、「大多数の合意」という意味で「コンセンサス」が使われていることもあります。
意味②:事前の根回し
「コンセンサス」には「事前の根回し」という意味もあります。
その語源は、事前に複数人の合意をとるには、きちんとした根回しが必要というところから来ています。
ただ、「根回し」という意味合いで使われることはめったにありません。
補足:「コンセンサス」は正しい意味がわからないカタカナ語
「コンセンサス」は正しい意味がわからないカタカナ語として有名です。
これまでに下記の調査期間・メディアで「わかりづらい言葉」として取り上げられたことがあります。
コンセンサスの意味が分かる人は国民の25%未満という調査結果(国立国語研究所)
職場で用いられる意味の分かりにくい言葉として取り上げられる(ほぼ日刊イトイ新聞)
誤解を生まないためにも、「合意」などの言葉で言い換えたほうが無難でしょう。
「コンセンサス」がつく言葉
「コンセンサス」がつく言葉には、以下のようなものが挙げられます。
- コンセンサス方式
- ネガティブ・コンセンサス方式
- ナショナルコンセンサス
- コンセンサス予想
- コンセンサスゲーム
それぞれの意味について詳しく見ていきましょう。
コンセンサス方式
「コンセンサス方式」とは、「反対者がいないこと」を決議の条件にする方式のことです。
そのため、反対意見が1人でもいた時には、決議が行われません。
国連の安全保障理事会などで使われることが多いです。
ネガティブコンセンサス方式
「ネガティブコンセンサス方式」とは、全員が反対する場合に限り否決とする方式のことです。
逆に、1人でも賛成する人がいれば採決されます。
「ネガティブコンセンサス方式」の特徴は、メンバーの中に絶対に意見を変えない反対者がいても、会議の進行が妨げられないということです。
紛争などで迅速に議決を進められるので、WTO(世界貿易機関)の紛争解決制度が採用しています。
ナショナルコンセンサス
「ナショナルコンセンサス」とは、国家の政策について国民の大多数が合意することを指します。
「コンセンサス」は通常、「全会一致の合意」のことを指しますが、国民全員が賛成するという状況は現実的ではありません。
そのため、「ナショナルコンセンサス」は国民の「大多数」の合意のことを指します。
コンセンサス予想
「コンセンサス予想」は上場企業の利益や株価などの、複数のアナリストの予想値を平均したものです。
実際の企業の業績が「コンセンサス予想」を超えていた場合は株価が上がり、下回った時には下がることが多いです。
コンセンサスゲーム
コンセンサスゲームとは、チームのメンバーと合意の形成を行うゲームです。
企業の研修などで用いられることが多く、チームで物事を決める大切さを学べるゲームになっています。
話し合う中で意見が対立しても多数決で決めるのではなく、全員が合意する状況を作る必要があります。
コンセンサスゲームにはいくつか題材がありますが、今回はその中でも特に有名な「NASAゲーム」を紹介します。
あなた方は宇宙船に乗って月面に着陸しようとしている宇宙飛行士です。
月面には母船が待っているのですが、機械の故障で母船から約200マイル(約320km)離れた所に不時着してしまいました。
不時着時の衝撃で宇宙船はほとんど壊れ使用不能となりました。
しかし、次の15アイテムは破損を免れて完全なまま残っていました。
「まずは、重要なアイテムを見極めよう」ある宇宙飛行士が言いました。
「冷静に判断するため、まずは各自で考え、最後は全員で話しあおう」
母船に無事たどりつくため、以下の15アイテムの中で必要なものから重要度の高い順に1番から15番までの順位をつけなさい。(最も優先度が高いものが1となります)
- マッチの入った箱
- 宇宙食
- ナイロン製ロープ(15m)
- 落下傘の布(パラシュート)
- ソーラー発電の携帯用暖房器
- 45口径ピストル(2丁)
- 粉ミルク(1箱)
- 酸素ボンベ45kg(2本)
- 月からみた星座表
- 救命いかだ(救命ボート)
- 磁石コンパス
- 水(19リットル)
- 信号用照明弾
- 注射器入りの救急箱
- ソーラー発電式FM送受信機
「コンセンサス」の使い方
「コンセンサス」は以下のような言い回しで使われることが多いです。
- コンセンサスを取る・図る
- コンセンサスを得る
- コンセンサスの形成
それぞれの言い回しでの使い方を、例文とともに見ていきましょう。
「コンセンサスを取る・図る」の使い方
会議で全会一致を獲得するために、事前に根回しをすることを「コンセンサスを取る」「コンセンサスを図る」と表現します。
- 昨日は役員のコンセンサスを取るだけで1日が終わってしまった。
- 会議の重要人物には、あらかじめコンセンサスを図っておくべきだ。
「コンセンサスを得る」の使い方
会議で全会一致が達成され、反対者がいない状態を「コンセンサスを得る」と表現します。
「コンセンサスの形成」の使い方
全員の意見が一致している状態にすることを、「コンセンサスの形成」と表現します。
「コンセンサス」の語源
カタカナ語の「コンセンサス」は、英語の名詞である “consensus” が語源です。
“consensus”は、「意見の一致・総意」という意味です。
ちなみに、英語の “consensus” はラテン語の “consentio” という単語に起源があります。
“consentio” は「お互いを同じように感じる」という意味を持っています。
「コンセンサス」の類義語
「コンセンサス」には以下のような類義語があります。
- アグリーメント:合意
- コンセント:同意
- 合意:意志が一致すること
- 同意:意見などに対して賛成すること
「コンセンサス」と「アグリーメント」の違い
「コンセンサス」と「アグリーメント」では、合意をとる対象者の人数が違います。
- コンセンサス:複数の人の同意
- アグリーメント:単なる「同意」
つまり、「アグリーメント」は1人だけに合意をとる時にも使えます。
一方、「コンセンサス」は複数人に合意をとる時にしか使えないのです。
「コンセンサス」と「コンセント」の違い
「コンセンサス」と「コンセント」には以下のような違いがあります。
- コンセンサス:コミュニケーションを通して相互に納得済みの合意
- コンセント:多数決の結果や単なる賛成意見への投票といった同意
簡単に言うと、「コンセンサス」では議決されたことに対してお互いに深く納得していますが、「コンセント」では納得の程度が低いのです。
「コンセント」は多数が賛成した場合や、表面上だけ賛成した場合にも使うことができます。
「コンセンサス」の対義語
「コンセンサス」には以下のような対義語があります。
- 独断:自分だけで判断すること
- 裁量:自分の意見で判断すること
まとめ
以上、この記事では「コンセンサス(consensus)」について解説しました。
英語表記 | コンセンサス(consensus) |
---|---|
意味 | 複数の人の間で合意すること・意見が一致すること |
語源 | 英語の名詞である“consensus” |
類義語 | アグリーメント、コンセントなど |
対義語 | 独断、裁量 |
大学生になると、やたらと「コンセンサス」という言葉を使いたがる人が出てきます。
しかし、意味がわからない人が多いので、うまく伝わらないことがほとんどです。
コンセンサスを使う際には、相手が理解できるかどうかをまず考えましょう。