コングロマリットの意味は?企業例も挙げてわかりやすく解説!

言葉

コングロマリットとは「業種の異なる企業間の合併や買収で生まれた多業種間にまたがる巨大企業」という意味です。

コングロマリットはビジネスの用語なので、その意味や類義語との違いをきちんと理解している人は少ないでしょう。

この記事では、コングロマリットの詳細な意味と、類義語などを詳しく解説します。

☆「コングロマリット」をざっくり言うと……

英語表記コングロマリット(conglomerate)
意味業種の異なる企業間の合併や買収で生まれた多業種間にまたがる巨大企業
語源「集団になった」という意味の英単語 “conglomerate”
類義語複合企業
グループ会社など
対義語単一企業など

「コングロマリット」の意味

コングロマリット

業種の異なる企業間の合併や買収で生まれた多業種間にまたがる巨大企業
例:あの会社は合併を繰り返してコングロマリットとなった。

コングロマリットとは、関連のない複数の業種に参入している企業体のことです。

通常は、ある程度業種や事業に関連性のある企業同士が合併を行って、ひとつの企業やグループになります。

しかし、業種が大きく異なり、それぞれの業種にまったく関連性のない企業同士が合併することがあります。

このような経緯を経てできるグループ会社や複数の企業が集まった企業体をコングロマリットと言います。

異業種で構成された複合企業体のなかでも特に巨大なグループ会社を「コングロマリット」と表現するのが一般的です。

「合併」「買収」の意味

合併とは、ふたつ以上の企業がひとつの企業になることです。

一方がもう一方の他の企業を完全に吸収してひとつの企業となる「吸収合併」と、まったく新しく会社を設立する「新設合併」があります。

また、買収とは、一方の企業がもう一方の企業を買い取ってひとつの企業になったり傘下に置いたりすることです。

コングロマリットのその他の意味

コングロマリットには、「冬の暗い北大西洋で船を海底に引き込む大タコ」という意味もあります。

この意味のコングロマリットの類義語は「八足海獣(はっそくかいじゅう)」です。

「コングロマリット」の使い方


コングロマリットは名詞として使われます。

また、コングロマリットを日常会話で使うことはほとんどなく、多くはビジネスの場面で使われます。

  1. 携帯で有名なあの企業はコングロマリットです。
  2. 弊社は来年から、コングロマリットとして経営を続けていくことになりました。
  3. あの会社の買収が終われば、我が社はコングロマリットになる。

「コングロマリット」の語源

コングロマリットの語源は英語の “conglomerate” です。

英語の “conglomerate” は、以下のような意味持っています。

  • 集団になった
  • 密集的な
  • 複合企業の
  • 凝集する

また、英単語 “conglomerate” の語源をさらにさかのぼると、「巻き付ける」という意味を持つラテン語に由来します。

“conglomerate” には集合体、集塊などの意味もあり、カタカナ語のコングロマリットよりも広い意味を持っていることがわかります。

英単語 “conglomerate” はもともと地質学で用いられていましたが、1960年代に入ると経済学や経営学の分野で用いられるようになりました。

“conglomerate” は形容詞

カタカナ語の「コングロマリット」は名詞ですが、英語の “conglomerate” は形容詞なので注意しましょう。

また「凝集する」という意味の動詞で使われることもあります。

「コングロマリット」の類義語

コングロマリットには、以下のような類義語があります。

  • 複合企業
    業種の異なる企業間の合併や買収で生まれた多業種間にまたがる巨大企業
  • グループ会社
    業種の異なる企業間の合併や買収で生まれた多業種間にまたがる巨大企業
  • 多業種企業
    業種の異なる企業間の合併や買収で生まれた多業種間にまたがる巨大企業
  • コンツェルン
    多くの子会社、孫会社を持つ持ち株会社

「コングロマリット」と「コンツェルン」の違い

コンツェルンとコングロマリットは、非常に近い意味を持っています。

しかし、厳密には以下のような違いがあります。

コングロマリットコンツェルン
定義一つの巨大企業多くの子会社を傘下に持つピラミッド型の企業
目的事業の多角化を目的市場支配を狙った独占形態を目的

コンツェルンには「多くの子会社、孫会社を持つ持ち株会社」という定義があります。

そのため、企業体としての形が、ひとつの親会社が多くの子会社を持っているという形になります。

それに対して、コングロマリットは買収や合併を経て形成されるものなので、必ずしもピラミッド型になっているとは限りません。

「コングロマリット」の対義語

コングロマリットには以下のような対義語があります。

  • 単一企業
    あるいはある一つの事業しかもたない企業

「コングロマリット」の関連語

コングロマリットには、以下のような関連語があります。

  • コングロマリットプレミアム
    コングロマリットによって企業価値が向上する効果
  • コングロマリットディスカウント
    コングロマリットによって想定していた効果を発揮できず、企業価値を低下させてしまう効果
  • コングロマリット型M&A
    新規事業への参入を目的としたM&Aの手法

「コングロマリット型M&A」の意味

コングロマリット型M&Aとは、新規事業への参入を目的としたM&Aの手法のことです。

M&Aの意味

M&Aとは「合併と買収」という意味を持つ言葉です。

より広義的な意味としては、複数の企業が一つの目標に向けて協力するというものもあります。

これまでのM&Aでは、以下のような形が一般的でした。

  • 水平型M&A
    既存事業の強化を図るため同業者同士で行う経営統合
  • 垂直型M&A
    製造~流通~販売といった縦に並んだ事業を垂直的に統合するM&A

「コングロマリット型M&A」では、水平型と垂直型のどちらも行う場合が多くなっています。

「コングロマリット」の代表例


代表的なコングロマリットとして、以下のような企業グループが挙げられます。

  • 楽天グループ
  • DMM.comグループ
  • GMOインターネット
  • 日立製作所
  • LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)
  • ゼネラル・エレクトリック(General Electric Company、略称: GE)

上記のグループはどれも、複数の異なる事業を運営しているという特徴があります。

「コングロマリット」のメリット

「コングロマリット」のメリットには、以下のものがあります。

  1. リスク分散
  2. 他業種の相乗効果
  3. 事業再編を行いやすい

メリット➀:リスク分散

通常、ある企業が自分の業種と異なる業種に参入するためには、知識や技術、資本をゼロから用意しなければなりません。

しかし、異業種の企業と合併してコングロマリットとなることで、資本や技術をある程度持った状態で異業種に参入することができます。

参入のためにかける初期費用が少ない分、リスクが少なくなります。

 

また、複数の業種を運営するコングロマリットは、経営のリスクを分散することができます。

たとえば、ひとつの業種の市場が混乱して経営悪化したとしても、別の業種の利益で損失をカバーすることができるのです。

メリット➁:他業種の相乗効果

コングロマリットでは、異なる業種同士の相乗効果を狙うことができます。

異なる商品・サービス事業から新しい技術やアイデアを得ることできる場合があるのです。

一見関係のないように見える業界にも、ビジネスチャンスは転がっているのです。

メリット➂:事業再編を行いやすい

コングロマリットのグループ内には多業種事業が多く存在するため、持株会社を設立しグループ企業の一部として独立させることが多いです。

これにより経営環境が変化しても、それに対して迅速に事業再編やM&Aが行うことができます。

「コングロマリット」のデメリット


コングロマリットには、以下のようなデメリットがあります。

  1. グループ内のコミュニケーションの不和
  2. コーポレートガバナンスの低下
  3. 企業価値の低下

デメリット➀:グループ内のコミュニケーションの不和

コングロマリットでは、まったく異なる業種の企業がひとつのグループとなります。

業種が異なることで企業の文化が異なったり、専門的な知識の共有ができないためコミュニケーションがうまくいかないことが多くあります。

デメリット➁:コーポレートガバナンスの低下

コングロマリットでは、コーポレートガバナンスが低下することがあります。

コーポレートガバナンスの意味

コーポレートガバナンスとは、企業経営を管理監督する仕組みのこと

コングロマリットで買収される企業の多くは、それぞれの独立性が高いです。

そのため、専門知識のない企業が異業種の企業を買収してしまうと、適切に経営を監視できないことがあるのです。

コーポレートガバナンスが低下すると、子会社や関連会社での不正会計や品質低下などの問題が起こりやすくなります。

デメリット➂:企業価値の低下

コングロマリットによって、企業は事業同士の相乗効果や企業価値の向上を狙っています。

しかし、実際には企業同士の相乗効果が得られず、合併したことによってむしろ企業の価値が下がってしまうことがあるのです。

「コングロマリット」のまとめ

以上、この記事ではコングロマリットについて解説しました。

英語表記コングロマリット(conglomerate)
意味業種の異なる企業間の合併や買収で生まれた多業種間にまたがる巨大企業
語源「集団になった」という意味の英単語 “conglomerate”
類義語複合企業
グループ会社など
対義語単一企業など

コングロマリットは少し難しい意味の言葉でした。

しかし、近年非常に重要になってきている言葉なので、この機会にしっかりと理解しておきましょう。