みなさんは「関わる」と「係わる」の違いをご存知でしょうか。
「生死にかかわる」「仕事にかかわった人々」、「関わる」と「係わる」のどちらを使うかご存知でしょうか。
今回は、そんなよく知らないまま使っていた「関わる」と「係わる」の違いについて詳しく解説していきます。
結論:語源は異なるが、明確な意味や用途の差はない
ただ、「関わる」は常用漢字(一般的に用いられる漢字)であるのに対し、「係わる」は常用漢字ではありません。
つまり、「関わる」のほうが一般的ということですので、迷ったら「関わる」を使うのが無難ということです。
「関わる」についてもっと詳しく
「関わる」には「関係を持つ」「こだわりを持つ」という意味があります。
「関わる」という言葉が持つニュアンスを知るために「関」という漢字の意味について説明していきます。
「関」が持つ意味
- かんぬき(門を閉めたままにするためにつっかえとして用いる横棒)
- しきり、へだて
- 入口
- 有機的(多くの部品が互いに影響を及ぼしながら繋がり全体を構成していること)につながっている仕組み
- つながりを持つ、かかわり
一番上に記した「かんぬき」が「関わる」の語源だとされています。
「かんぬき」の左の門と右の門をがっしりと繋ぎとめるイメージから派生し「関係を持つ」「こだわりを持つ」という意味が出来上がっていったと言われています。
つまり、「関わる」という言葉が示す「かかわり」は 「かんぬき」によって繋がったものということになります。
「関わる」は常用漢字
冒頭に記したように「関わる」は常用漢字として定められています。
常用漢字とは、公的な文章や一般の社会生活で用いる漢字の目安として定められたものです。
1981年に初めて定められ、2010年に時代の流れを受けて改訂されました。
つまり、新聞や雑誌、放送、法令、公的文書、学術的文章、テストなどで「関わる」という言葉を使うことには問題がないということです。
「係わる」についてもっと詳しく
「係わる」には「関係を持つ」「こだわりを持つ」という意味があります。
「関わる」と同じ意味ですね。
「係わる」という言葉が持つニュアンスを知るために「係」という漢字の意味について説明します。
「係」が持つ意味
- つなぎとめる、つながる
- かかわる
- 担当の人
「係」という漢字は「人」(にんべん)と「系」とが組み合わせってできています。
「人」(にんべん)は当然「人」(ひと)を意味し、「系」は「つながる糸をかける」ことを意味します。
つまり、「係」という漢字にはもともと「人と人を糸で繋げる」という意味があるということです。
この「人と人を糸で繋げる」という意味から派生し、上に記したような意味が出来上がっていきました。
したがって、「係わる」という言葉が示す「かかわり」は「糸」によって繋がったものだということです。
「係わる」は常用漢字外
「係わる」は「関わる」とは違い常用漢字ではありません。
よって、「係わり」を新聞や雑誌、放送、法令、公的文書、学術的文章、テストなどで用いることは適切とは言えません。
そのときは、「係わる」ではなく「関わる」を使うようにしましょう。
まとめ
以上、この記事では「関わる」と「係わる」の違いについて解説しました。
- 関わる:「かんぬき」が語源
- 係わる:「糸」が語源
語源は異なりますが、意味はほとんどと言っていいほど同じです。
「関わる」と「係わる」に明確な意味や用途の差はありません。
ただ、「関わる」は常用漢字、「係わる」は常用漢字外ですので、基本的には「関わる」を使えば問題はないでしょう。