誰もが感じる!心理学用語「認知的不協和」の意味と具体例を解説

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今回ご紹介する言葉は、心理学用語の「認知的不協和(にんちてきふきょうわ)」です。心理学用語であるこの言葉は、日常生活で誰もが経験することであり、また企業が行うマーケティングにも使われる概念です。ぜひとも意味を知っておきたいところですね。

以下では、「認知的不協和」の意味・具体例・提唱者・英語訳について解説します。

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「認知的不協和」の意味をスッキリ理解!

認知的不協和(にんちてきふきょうわ):自分が知った2つの情報の間に不一致が生じること

「認知的不協和」の意味を詳しく

「認知的不協和」とは、自分の頭の中にある2つの情報に、食い違いや矛盾が生じている状態を指す心理学用語です。また、それによって不快感を覚えることもニュアンスに含みます

「認知」は、見たり触れたりした対象がどのようなものかを頭の中で解釈することを意味します。また、「不協和」は、協和しない、つまり双方が上手く打ちとけないことを指します。

「認知的不協和」を感じた人は、なんとかその不快感を解消しようと、どちらか一方の認知を改めようとします。具体的には、それまでの自分の考え方を否定するか、新しく入ってきた考え方を否定するかのどちらかを行うのです。

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「認知的不協和」の具体例

以下では、「認知的不協和」に関する有名な具体例を3つご紹介します。

①タバコと「認知的不協和」

よく取り上げられる「認知的不協和」の例は、喫煙についてです。

Aさんが、「タバコを吸いたい」と思っているとします。ただし、Aさんは、「タバコは肺がんリスクを高める」等の健康に関わる新たな情報も認知します。

つまり、Aさんは、「タバコを吸いたい」と思いながらも、「タバコは肺がんリスクを高めるから気軽には吸えない」という食い違う気持ちも抱えることになるのです。これが、「認知的不協和」です。

 

以上の「認知的不協和」を解消するためにAさんが取りうる対応は2つあります。

1つ目は、タバコを吸わないことです。つまり、「タバコを吸いたい」という認知を改めるのです。そうすることで、「タバコは肺がんリスクを高めるから気軽には吸えない」という認知と、自分の行動が合致します。ただ、タバコを吸いたいという気持ちが強い人は、2つ目の対応を取るでしょう。

2つ目は、「タバコは肺がんリスクを高める」というマイナスな認知を、少しでも和らげる情報を探すことです。たとえば、「喫煙していても、長生きの人はいる」または「喫煙よりも死亡率の高い生活習慣はある」などです。要するに、喫煙を上手く正当化して、「認知的不協和」を解消するのです。

 

このように、「認知的不協和」は、自分の都合を否定して新たな事実を受け入れるか、もしくは自分の都合を肯定して不都合な事実を和らげるかのどちらかによって解消が図られます。

どちらの対応が正しくてどちらの対応が悪いのかを一概に論じることは出来ません。ただ、どちらかの認知を変えてしまう以上、そのことが及ぼす影響を考える必要はあるでしょう。

続いては、自分の都合を肯定して不都合な事実を和らげる例として、イソップ物語より2つのお話をご紹介します。

イソップ物語:動物を主人公として、教訓を説いた物語のこと。古代ギリシャ人のイソップが紀元前3世紀に作ったとされています。

②『すっぱい葡萄』と「認知的不協和」

『すっぱい葡萄』はイソップ物語中に収められている話です。キツネが木に生(な)っている葡萄を取ろうとするも、木が高くて届かず、しまいには「あの葡萄はすっぱくてまずいに決まっている」というセリフを吐くのです。

この時、キツネの頭の中には、「葡萄を食べたかった」という気持ちと、「葡萄を取ることができなかった」という事実が真っ向からぶつかっています。これが「認知的不協和」です。

そこでキツネは、「葡萄を取ることができなかった」という悔しい現実から目を背けようと、葡萄そのものの価値を下げたのです。葡萄をきれいに諦めきれないキツネは、葡萄を取れないという受け入れがたい事実を否定して、「認知的不協和」を解消したのでした。

ちなみに、葡萄を食べたい気持ちを改める場合は、他の果物を探すという対応をキツネは取るでしょう。

③『甘いレモン』と「認知的不協和」

『甘いレモン』も、イソップ物語中に収められているお話です。主人公は、甘い果物を捜していたものの、レモンしか手に入れることができませんでした。しかし、当然すっぱいそのレモンを甘いに違いないと決めつけ、満足感を得ようとするというお話です。

ここでは、「レモンを手に入れた」という認知と、「(本命ではない)レモンしか手に入れることができなかった」という事実がせめぎ合いをします。そこで、苦労を無駄にしたくない心理から、「手に入れたレモンは甘いのだ」と半ば強引に納得して「認知的不協和」を解消しています。

『すっぱい葡萄』のケースでは、手に入らなかったものの価値を落としているのに対して、『甘いレモン』のケースでは手に入れたものの価値を高めています。

ちなみに、「レモンを手に入れた」という認知を改める場合、主人公は他の甘い果物を探しに行くでしょう。

④マーケティングと「認知的不協和」

企業が行うマーケティングにおいても、人々の「認知的不協和」を活用することがあります。マーケティングとは、需要の調査・販売戦略・宣伝等を行い、商品を効率よく市場に流通させることを指します。

商品を売るにあたって「認知的不協和」を活用する際は、次のような流れが一般的です。まず、顧客が感じている何らかの「認知的不協和」を整理します。続いて、商品を購入することで「認知的不協和」を解消できる、という流れを作るのです。

たとえば、ダイエットしたい顧客Aがいたとします。食欲が旺盛なAさんの中では、「痩せたい」という気持ちと「食べたい」という気持ちがせめぎ合って「認知的不協和」が起きています。

そこで、もし「食べながら痩せるダイエット法」というダイエット本が売られたとしたら、顧客の気持ちに強く訴えかける商品となるでしょう。これまで通りに「食べる」という行動を取りながら痩せることができるためです。

「認知的不協和」の提唱者について

「認知的不協和」は、アメリカの心理学者であるレオン・フェスティンガーが唱えた理論です。フェスティンガーは、次のような実験から「認知的不協和理論」を導きました。

 

まず、学生を集め、単調な(つまらない)作業を一定時間させます。そして、次に同じ作業をする学生に対して、その作業の楽しさを伝えさせます。フェスティンガーは、以上2つの仕事をした学生のうち、一方には1ドルを、他方には20ドルを報酬として支払いました。

その結果、1ドルを報酬として受け取る学生の方が、作業に対する満足度が高いということがわかりました。

 

以上の実験結果について、フェスティンガーは次のように解釈します。

20ドルを報酬として受け取る学生は、その報酬の高さをもって、不本意な仕事との折り合いをつけることができます。

一方、1ドルをもらう学生にとって、つまらない作業の楽しさを伝えなければならないという仕事は、あまりにも割に合いません。つまり、仕事に関しても報酬に関しても損ばかりをしていて、「認知的不協和」を抱えるのです。

そこで、低い報酬を変えられない学生は、仕事に対する認識を「本当は楽しい仕事だったのだ」と変え、自分にとっての損失を減らそうとしたのだとフェスティンガーは考えたのです。

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「認知的不協和」の英語訳

「認知的不協和」を英語に訳すと、cognitive dissonance となります。cognitive は認知に関わるさま、dissonance は一致しないことを指します。理論を表す theory を後ろにつけることもあります。

cognitive dissonance を用いた例文は以下の通りです。

例文
Though I had to show a good result in that exam, I couldn’t. This caused cognitive dissonance and as an excuse for failure to get a high score I said the exam was not so important.
(その試験でよい成績を取らねばならなかったが、結果は悪かった。そのことで認知的不協和が生じた私は、その試験がさほど重要なものではないと言い訳を言った。)

上記の例文では、「試験でよい成績を取らなければいけない」という認知と、「結果が悪い」という認知が真っ向からぶつかるため、「認知的不協和」が生じています。文中の私は、試験の重要性を下げることで、結果が悪いという事実から目を背けようとしています。

まとめ

以上、この記事では「認知的不協和」について解説しました。

読み方認知的不協和(にんちてきふきょうわ)
意味自分の頭の中にある2つの情報に、食い違いや矛盾が生じている状態
提唱者レオン・フェスティンガー
英語訳cognitive dissonance

「認知的不協和」は、日常生活のあらゆる場面で見出すことができます。ただ、人は往々にしてそれまでの思考を変えない方が楽であるため、新しい考え方や情報を否定することから始まってしまいがちです。

「認知的不協和」の解消にはどの対応が適切なのか、考えながら行動するようにするとよいでしょう。

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