「カオス」とはどういう意味?若者が使う言葉をわかりやすく解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、カタカナ語の「カオス」です。

「カオス」の意味・使い方・語源・対義語・似ている言葉・間違いやすい言葉・カオス理論・英語での使い方についてわかりやすく解説します。

☆「カオス」をざっくり言うと……

英語表記カオス(chaos)
意味混沌、色々混ざってよくわからないもの・状況
語源古代ギリシャ語のχάος(ケイオス)
対義語コスモス(cosmos)
似ている言葉カオス:様々なものが混ざり合って、混沌としたもの
ケイオス:カオスの由来であるchaosの別の読み方
シュール:非現実的な様子・奇抜な状況
カオス理論初期条件のわずかな誤差で結果が予想とかけ離れる現象を扱う理論

「カオス」とは?

カオス(chaos) :混沌、色々混ざってよくわからないもの・状況

「カオス」の意味を詳しく


「カオス」を一言で表すと、「混沌」という意味になります。

混沌とは、さまざまなものが混ざり合った結果、何が何だかわからない状態であることを指します。

▽何がなんだかわからない状態(=カオスな状態)

 

しかし、どのような物や状況がカオス(混沌)であるのかは、人それぞれの価値観や物の見方によって変わります。

そこで、ここからはtwitterのツイートを例に、どのような物や状況を「カオス」と呼ぶのかを解説していきます。

▽twitterでの「カオス」の使われ方

  1. カオスな状態
  2. 発想がカオス
  3. カオスな組み合わせ

①カオスな状態

人身事故が起きて、駅が大混雑した状況です。

多くの人が集まる状態を「混雑」と言いますが、上記のように特定の場所に無秩序に集まることは「混雑」を超えて「カオス(混沌)」と呼んでいいでしょう。

このように、一言ではうまく伝えられない「めちゃくちゃなもの」を「カオス(混沌)」と表現することがあります。

②発想がカオス

誰しも、他の人が考えないようなことをふと思いついてしまうことがありますよね。

そのような、普通の人では理解できない発想のことを「カオスな発想」と呼ぶことがあります。

 

なお、似たような意味合いの言葉として「イノベーション」と言いますが、「カオスな発想」と「イノベーション」はニュアンスが違います。

「イノベーション」は、革新的で独創的な発想のことを指します。

対して、「カオスな発想」は一般人には理解できなくて明らかにおかしい発想のことを指します。

③カオスな組み合わせ

上記は、本来ならば、ありえない組み合わせのように思えます。

このような組み合わせのことを「カオスな組み合わせ」と呼ぶことがあります。

私たちは、経験から物事の組み合わせを自然と予想します。

たとえば、「机」があったら側には間違いなく「イス」があるはずだと思うことが例として挙げられます。

 

しかし、この「予測する力」がある分、予測から外れた組み合わせを見たときに大きな違和感を感じます。

このような違和感を感じる組み合わせに対して、多くの人は的確な指摘ができません。

そのため、自分が感じている気持ちを伝えるために、「カオスな組み合わせ」という表現を使うのです。

ギリシャ語における「カオス」とは?

もともと、「カオス」という言葉はギリシャ人が「宇宙が誕生する前の何もかもが混ざり合った世界」のことを表すために生み出した言葉です。

つまり、古代のギリシャ人は「宇宙が成立する以前の世界は、さまざまなものが混ざり合ったよくわからない世界」と仮定し、「カオス」と表現したのです。

物理学・ニュートン力学における「カオス」とは?

物理学やニュートン力学のような特定の学問の世界において、「カオス」は限定的な意味を持っています。

上記の数学が絡む世界では、「方程式に代入する数値を変更したときにおきる予測不可能な変動」のことを「カオス」と呼びます。

「カオス」の意味を総まとめ

「カオス」の意味について下記にまとめておきます。

▽「カオス」の意味を総まとめ

  • カオスとは?
    • 混沌、色々混ざってよくわからないもの・状況
  • よく使われる表現
    • カオスな状態(=ごちゃごちゃになって、意味がわからない状況)
    • 発想がカオス(=普通なら考えつかないようなおかしな発想)
    • カオスな組み合わせ(=通常ありえないような奇抜な組み合わせ)

「カオス」の使い方

  • あなたの部屋はあまりにも散らかりすぎている!こんなにもカオスな部屋は見たことがない。
  • あの人は天才だけど、発想がカオスすぎて私には全く理解できない。
  • 飲みすぎで同僚がみんな暴れている。カオスすぎて収拾がつかない状況だ。
  • 大好きだったゲームの新作が余りにもカオスだった。正直、ファンでもついていけない。
  • コンビニにキャベツが置いてあった。カオスな組み合わせだと思うのは私だけだろうか。

上記例文のように、「カオス」という言葉は「混沌とした状況」を意味する言葉です。

それゆえに、言葉ではうまく伝えることのできない曖昧で理解不能なことを表現することができます。

 

もし、あなたが下記の3つのような状態に陥ったのなら、それはまさしく「カオスな状態」に他なりません。

▽「カオス」という表現を使うのが的確なシチュエーション

  • 状況がめちゃくちゃでどうしたらいいのかわからない状態
  • 自分では収拾がつかず、呆然とするしかない状態
  • 目の前で起こっていることが意味不明すぎて、理解できない状態

「カオス」の語源

カタカナ語の「カオス」の由来は、古代ギリシャ語の “χάος(ケイオス)” にあります。

“χάος(ケイオス)” は、ギリシャ神話において、この世が始まった時に、無の正解に最初に存在した神を指します。「空(から)の空間」という意味が “χάος(ケイオス)” には込められています。

古代ギリシャ人は、宇宙という存在についても、「成立以前は、さまざまなものがごちゃごちゃになった空間」と認識していました。

そのため、ギリシャ語では「さまざまな要素が複雑に混ざり合った、宇宙成立以前の世界」を「カオス」と定義していたのです。

 

現在では「理解できず、言葉で伝えるのが難しいもの・状況」のことをカオスと呼びます。

この考え方は、古代のギリシャ時代から受け継がれているということですね。

「カオス」の対義語

意外なことに「カオス」という言葉には、対義語が存在します。

「カオス(chaos)」の対義語は「コスモス(cosmos)」です。

「コスモス」には花の名前以外にも、「秩序があり、全体の調和が取れた宇宙観」という意味があるのです。

▽「花のコスモス(写真左)」と「宇宙観という意味のコスモス(写真右)」

 

実は、「秩序」という言葉の由来自体がギリシア語の “κόσμος” にあり、「混沌」の由来である “χάος(ケイオス)” と対をなす概念として存在するのです。

日本において「コスモス(cosmos)」という言葉は、主に鮮やかなピンクや白の花が魅力の「キク科コスモス属の植物」のことを指します。

しかし、英語圏ではむしろ宇宙を意味する「ユニバース(universe)」の同義語として、「コスモス(cosmos)」という言葉は使われます。

 

なお、余談になりますが “FF(ファイナルファンタジー)” というゲームでは、「調和の神コスモス」と「混沌の神カオス」が登場します。

有名な登場人物であるクラウドは、調和の神コスモス陣営の主人公として。

そして、人気キャラであるセフィロスは、混沌の神カオス陣営の敵として活躍をします。

“FF(ファイナルファンタジー)” をやったことがある人からすれば、カオスの対義語は簡単にわかったかもしれませんね。

「カオス」と似ている言葉・間違えやすい言葉

ここからは、「カオス」とよく似ていて、意味を間違えやすい言葉について取り上げます。

「カオス」とよく似た言葉として、「ケイオス」と「シュール」が挙げられます。

どのような違いあるのかをしっかりと理解して、「カオス」の意味をより詳しく理解していきましょう。

「カオス」と「ケイオス」の違いとは?

「ケイオス」とは、 “chaos” という英語の別の読み方です。

日本では英語はカタカナ読みするので、 “chaos” は「カオス」と読むのが一般的です。

しかし、英語圏ではむしろ “chaos” のことを「ケイオス」と発音するのが一般的なのです。

つまり、「カオス」と「ケイオス」は意味はまったく同じですが、由来となった “chaos” の読み方が国によって異なるということですね。

「カオス」と「シュール」の違いとは?

ここからは、このような疑問を持っている人のために「カオス」と「シュール」の違いについてまとめていきます。

一般に、「カオス」と「シュール」の間には、以下のような違いあります。

▽「カオス」と「シュール」の違い

カオス:世界が始める前の混沌とした世界

シュール:非現実なこと、奇抜な様子

シュールとは、フランス語のシュルレアリスム(surréalisme)の略語です。

一般的には、シュールは「超現実主義」を訳されますが、日常会話で使われる場合は「非現実なこと」「奇抜な様子」という意味で使われます。

たとえば、漫画やアニメなどにおいて、「シュール」は反応が難しいおかしな状況に対して使われることが多いですね。

 

ただ、シュールは「おかしくて理解不能」といったようなマイナスなイメージの言葉ではありません。

普通の人が思いつかないような「ひねりのある発想」だったり、大多数の人は理解できないけれど一部の人には大受けする「奇抜なファッション」。

このような「奇抜ではあるけれど一定のプラスの評価を与えられるもの」に対して使われる言葉なのです。

 

多くの場合、シュールは「シュールな〇〇」とかたちで使うことができます。

もし、あなたに奇抜なファッションをする友人がいるのなら、「おかしなファッション」というのではなく、「シュールなファッション」と褒めてあげるといいでしょう。

カオス理論とは

力学の世界では、「カオス理論」という理論が存在します。カオス理論とは、初期条件が少し実際とずれているだけで、予測とかけ離れた結果が出でしまうような事態を扱う理論です。

カオス理論が適用される具体例として、気象現象が挙げられます。気象は、複数の因子が絡み合って作られるものであるため、何とか予想を立てることは出来ても、完璧な結果になることはありません。

「カオス」の英語での使い方

英語訳 “chaos” を用いた例文は以下の通りです。

例文
  • The street was in chaos after the earthquake.
    (地震の後、その通りはカオスとなった。)
  • As soon as Tom, who was the leader of our team, was arrested, we were in chaos.
    (リーダーが逮捕されるやいなや、我々は混乱に陥った。)
“be in chaos” で「混沌の中にいる」という意味を表します。覚えておきましょう。

まとめ

以上、この記事では「カオス(chaos) 」について解説しました。

英語表記カオス(chaos)
意味混沌、色々混ざってよくわからないもの・状況
語源古代ギリシャ語のχάος(ケイオス)
対義語コスモス(cosmos)
似ている言葉カオス:様々なものが混ざり合って、混沌としたもの
ケイオス:カオスの由来であるchaosの別の読み方
シュール:非現実的な様子・奇抜な状況
カオス理論初期条件のわずかな誤差で結果が予想とかけ離れる現象を扱う理論

既存のものをうまく組み合わせると、画期的なイノベーションを引き起こすことができます。

しかし、イノベーションは滅多に起こるものではないため、大抵の場合はカオスな組み合わせとなってしまうでしょう。

もしかすると、カオスな組み合わせの成功例こそがイノベーションの正体なのかもしれないですね。