「文」と「文章」は、しばしば意味が混同されがちです。しかし、文法上の言語単位で見ると、それぞれ意味は異なります。
今回はその意味の違いについて解説していきます。
結論:「文章」は、複数の「文」から成り立つ
「文」とは、句点から句点までの、まとまった内容を表すひと続きの言葉のことです。
「文章」とは、文を連ねてまとまった内容を表したもののことです。
「文」をもっと詳しく
「文」は、「。(句点)」から「。(句点)」までの、まとまった内容を表すひと続きの言葉のことです。
文は、最後に「。(句点)」で終わる必要がありますから、「こんにちは」「そうだよ」といったやりとりは文ではありません。
「今日は午後から雨が降るらしいので、傘を持って行こう。」
このように、句点で終わるひと続きの言葉を「文」といいます。
「私は話した。」のように、主語と述語があれば「文」は成り立ちます。
しかし、それだけでは読み手に状況を伝えるには不十分な気がします。
誰と、何について話したのか、などより詳しい情報が無いためです。
「文」は、修飾語や接続語などがつくことで、より意味を多く含み、読み手に伝わりやすくなります。
「私は幼なじみと、昔の思い出について話した。」
このようにすると、読み手にとって状況がイメージしやすくなります。
「幼なじみと」「昔の思い出について」などという修飾語が加わることで、意味が補われるためです。
こういった文が複数集まることで、最終的に「文章」となっていきます。
「文章」をもっと詳しく
「文章」とは、文を連ねて、まとまった内容をあらわしたものです。
1つの文であっても、まとまった内容を表していれば文章ということがありますが、通常は複数の文からできています。
1つ1つが関連し合い、全体的に意味の通る内容で、まとまった感情、思想、話題を表しているものが「文章」です。
「文章」は、文章、段落、文、文節、単語の5層から成っています。
「文章」は「段落」が合わさってできたもので、「段落」は「文」が合わさってできたものです。
さらに「文」は「文節」に分解でき、「文節」は「単語」に分解できます。
記号で表すと、文章 > 段落 > 文 > 文節 > 単語のようになります。
つまり、「単語」が最小単位で、「文章」が全体を表しているというイメージです。
「文章」とは、言葉の中で最も大きい単位であり、単行本でいうと最初から最後までを含みます。
まとまった内容をあらわすものであれば小説や論文、詩、短歌なども全て文章に含まれます。
一つの文から疑問が生まれ、さらにその不完全さを補うために、次の文が連なっていきます。
これらが合わさってまとまった意味を持つと、「文章」となるのです。
文の前後の繋がりがわかりづらかったり、支離滅裂な文の並びでは、自然な文章にはなりません。
つまり、「文章」とは「文」を自然な流れで連ねて、伝えたい内容を論理的に説明したものです。
まとめ
以上、この記事では、「文」と「文章」の違いについて解説しました。
- 文:句点から句点までの、まとまった内容を表わすひと続きの言葉
- 文章:文を連ねてまとまった内容を表したもの
このような文法の知識を覚えておくことで、より伝えやすい文章が書けるようになるかもしれません。