「焼く」と「燃やす」。「焼」と「燃」の漢字の左側を見ても分かるように、どちらも火と関係がある動詞です。また、日常生活の中で頻繁に使う言葉でもあります。
例えば「焼肉」という言葉があるように、肉に対して火で熱を加える時には、大抵「焼く」という言葉を使います。一方「薪(たきぎ)」を燃やして、炎を大きくするような時には、薪を「燃やす」と表現するでしょう。
このような「焼く」と「燃やす」の違いとは一体何なのでしょうか。今回はあなたの知的好奇心に火をつけるであろう、「焼く」と「燃やす」という言葉の意味の違いについて解説していきます。
結論:「焼く」は対象の性質を変化。「燃やす」は火をつけ、灰にする。
「焼く」は対象の味・形状・衛生状態などの性質を変化させるため、熱を加えます。
「燃やす」は対象に直接火つけ、灰にすることを目的にします。
「焼く」をもっと詳しく
「焼く」とは、対象を火に当てることで、温度を上げ、元のものとは違った性質のものに変化させることです。多くの場合、熱を加えた後のものを何らかの用途で利用しようとする意思があります。そのため、目的に応じて火加減や加熱時間を調整します。
「焼く」という言葉には、多くの意味があります。下記の 6 つはその中でも代表的なものです。
- 肉、魚、野菜などの食材を火にかけることで、食事に適した状態にすること
- 火に近づけ、熱を加えることで、製品をつくること
- 光に当てることで、変色すること
- 悩み、苦しむこと
- 扱いに困ること
- CD・DVD に映像・音声・写真などのデータを書き込むこと
英語では「焼く」という言葉が複数あります。料理においては、直火で肉を焼く場合は “broil” 、パンを焼く場合は “toast” となります。また、CD・DVD にデータを書き込むことは “burn” となります。
「焼く」の使い方の例
→石焼き芋、焼き芋、焼肉など、「焼く」は調理の基本といえます。
→瓦や炭など、製品にも頻繁に「焼く」という言葉が用いられます。
→実際に火を使っていなくても、光で変色する場合は「焼く」と表現します。
→「身を焦がす」とも表現されます。
→「焼く」を使った慣用表現です。他に「世話を焼く」などもあります。
→データを書き込む、と言い換えることができます。
「燃やす」をもっと詳しく
「燃やす」とは、対象に火をつけ、燃焼させることで、対象を灰にしたり黒焦げにしたりすることです。通常はものが火をあげ、燃焼している過程から、燃え切って火が消えるまでの間のことを表現します。
通常「燃やす」という行為は、物を灰にして体積を減らすことやものの機能を失わせることに重点が置かれます。また、「焼く」のように火に近づけて熱を加えるのではなく、対象に直接火がついてます。
また、愛や情熱など感情に突き動かされ、気持ちが高揚している場合にも「燃える」という言葉を使います。
英語では “burn” となります。 “burn” は他に「物が焦げる、体が火照る、CD・DVD にデータを書き込む」などの意味があります。
「燃やす」の使い方の例
→証拠隠滅やいらないものの処理をする場合は「燃やす」を使います。
→感情に突き動かされている場合にも「燃やす」を使います。
まとめ
以上、この記事では、「焼く」と「燃やす」の違いについて解説しました。
- 焼く:熱を加えた後の利用目的がある
- 燃やす:ものに直接火をつけ、灰にする
このように「焼く」と「燃やす」には明確な違いがあり、たいていは場面によって使い分けることができます。今まで感覚的に使い分けることは出来ても、きちんと違いを理解していた人は実は少ないのではないでしょうか。
また、状況によっては使い分けが難しい場合や、どちらでも使える場合があると思います。きちんと違いを理解し、正しい日本語を使えるようにしましょう。