防衛機制とは?「反動」や「代償」など、具体例や心理も解説!

言葉

防衛機制(ぼうえいきせい)とは「ストレスを軽減するために起こる心理メカニズム」です。

意識的に働かせることもできますが、無意識化で働くことも多く、自分でも気がつかないうちにストレスから逃れている場合もあります。

防衛機制の仕組みを知ることで、より効果的なストレス軽減ができたらいいですよね。

この記事では、防衛機制の意味や種類、働いている心理なども解説します。

「防衛機制」の意味

防衛機制ぼうえいきせい

ストレスを軽減するために起こる心理メカニズム

例:失恋の悲しみを仕事に打ち込んでごまかす。

防衛機制とは、心がストレスを感じたときに、それを軽減するために起こるメカニズムのことです。

意識的に働かせることもありますが、無意識的に起こる場合もあります。以下のような例が挙げられます。

意識的な防衛機制と無意識的な防衛機制
  • 意識的
    好きな人にふられた悲しみを仕事に打ち込んでごまかす
  • 無意識的
    好きな人にふられた記憶を無意識のうちに閉じ込め、忘れる
防衛機制がないと心はストレスを負ってしまいますが、起きている内容や頻度によっては、社会への適応が難しくなることもあります。以下のような例が挙げられます。
社会への適応が難しい防衛機制の例
  • 嫌なことが起きるとその場で赤ちゃん返りしてしまう
  • アイドルが自分を好きだと思い込みストーカー化する
このように、防衛機制にはさまざまな種類や段階があり、より社会に適応的である防衛機制を意識的に行うことができると生きやすくなります。

「防衛機制」の種類と具体例


防衛機制には、以下のような種類があります。

適応度名称意味
非常に低い(治療が必要な場合も)否認現実を認識しないふられたことを認めず接する
投影自分の抑圧された願望を相手が持っていることにするアイドルが自分のことを好きだと思い込む
解離大きな苦痛から自分を守るために意識や思考などを切り離すいじめられているときの記憶が全くない
転換(身体化)抑圧された感情や葛藤が身体症状として表現されること学校に行きたくなくて、家を出る時間になると腹痛がする
途絶(途断)感情を意識に上らせないように一時遮断する一過性の記憶障害
低い退行葛藤から逃れようと子ども返りする人とけんかしたときに地団駄を踏む
逃避ストレスから逃れて違うことを考える/するテスト間近に片付けを始めてしまう
反動形成自分の抑圧された感情と反対の行動をとる嫌いな相手にこそ丁寧に接する
分裂ものごとを善悪で判断し、悪を無視したり断罪してしまう自分の持っている欠点を認めない
衝動の自己への向き変え相手に対する強い衝動を自分に対して向ける部下への怒りを自分の管理能力のなさへの怒りに変える
転倒相手に対する感情が正反対の感情に置き変わること好きな人が振り向いてくれないことで激しい怒りを覚える
歪曲事実を自分の考える通りにねじ曲げてしまう高い熱が出ていても無視して自分は病気ではないと考える
躁的防衛苦痛から逃れるため、異様にハイになってしまう仕事ができないということが認められず、自分はなんでもできると思いこんで振る舞う
行動化社会的に認められない行動に依存してしまうアルコール依存症など
受動的攻撃行動マイナスな感情を消極的な態度や行動で表し、相手を攻撃する怒られた子どもがずっと黙ることで親を困らせようとする
病気不安症自分の些細な身体症状を重病だと思い込むただの寝冷えによる熱をインフルエンザだと思い込む
理想化状況や対象を全て良いものだとして信じ込む自分の組織のリーダーを盲目的に信奉する
統制周囲を過度に管理しようとする恋人を過度に束縛する
置き換え怒りなどの負の感情を他の対象に向け変えるかつて元恋人にひどい目にあった人が同じことを今の恋人にする
中程度合理化不合理なことに何か理由をつけて納得するふられたのは相手の見る目がなかったのだと思う
代償抑圧された欲求を他の欲求に置き換えるテレビゲームが禁止されているので代わりにボードゲームをする
打ち消し過去の行動に関しての罪悪感や恥を、反対の行動で埋めようとする相手に反抗したあとにゴマをする
外在化自分の問題を他人事のように捉え、客観的に見る締め切りに追われているのは、自分が悪いのではなく、サボった過去の自分が悪いと考える
知性化知識を取り入れることで今の状況を納得しようとするダイエットができないのは、心理的なメカニズム上当たり前だと考える
高い取り入れ(同一視)相手の良いところを自分自身と重ねて自己評価を高める芸能人と同じ服を着る
昇華抑圧された欲求を社会的に望ましい欲求に置き換える暴力をふるいたい衝動を歌にぶつける
補償失敗や劣等感を他のことで成果を出すことで埋めるふられた悲しみを仕事に打ち込んで埋める

フロイトにより最初に提唱されてからさまざまな人により整理されているため、防衛機制にはさまざまなものがあります。

注目すべきは、「社会への適応度合い」と「頻度」です。社会に適応するのが困難な防衛機制が頻繁に働いている場合は、治療も視野に入れることが多いです。

逆に、ある程度社会に適応している防衛機制が適切な頻度で発露している場合は、特に心配はいりません。

また、適応度の高い「同一視」「昇華」「補償」などの防衛機制を意識的に実行することで、ストレスを大きく軽減することができます。

「防衛機制」の提唱者


防衛機制の提唱者は、ジークムント・フロイトです。

その後、娘のアンナ・フロイトや、フロイトの弟子であり児童分析家のメラニー・クラインによって概念がより整理されました。

フロイトは、人間の心は以下の3つの要素により構成されると考えていました。

  • イド(エス)
    人間が根源的に抱いている本能的欲望
  • スーパーエゴ
    イドを止める理性
  • エゴ(自我)
    イドとスーパーエゴの間で適切な道を探る機能
イドは本人にとっても認めがたく、意識に上らせたくないものであるとフロイトは捉えました。防衛機制は、エゴがイドに対して抵抗する手段です。

フロイトが最初に唱えた防衛機制は「抑圧」でしたが、アンナ・フロイトはそこに「反動形成」「分裂」「投影」などを加えて発展させました。

さらに、フロイトの弟子であるメラニー・クラインは「原始的防衛機制」という概念を提唱しました。これは生後5か月くらいまでの乳幼児でも用いることができる、基礎的な防衛機制のことです。

「防衛機制」のまとめ

以上、この記事では防衛機制について解説しました。

読み方防衛機制(ぼうえいきせい)
意味ストレスを軽減するために起こる心理メカニズム
提唱者ジークムント・フロイト

繰り返しとなりますが、重要なのは、働いている防衛機制の種類と頻度です。

社会生活において苦労するほどなんらかの防衛機制が働いてしまっている場合は、適切な治療で改善する場合も多いです。今苦しさを抱えている人は、本記事を参考に一度振り返ってみてはいかがでしょうか。

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Rie
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日英バイリンガル東大生。 10年間小説を書き続けているため、文章力には自信があります。 いくつかの小説投稿サイトで掲載/連載している他、教育系NPOでもライターをしています。