みなさんの「出生地」はどこでしょうか。
産婦人科の病院で生まれたという人もいれば、自宅で生まれたという人もいるかもしれません。また、中には車の中など移動中に生まれた人もいるのではないでしょうか。
ところで、「出生地」と似た意味の言葉として「出身地」がありますよね。両者は、同義ではありません。「出生地」と「出身地」が同じという人もいれば、違う人もいるのです。
そこで、今回は「出生地」と「出身地」の違いについて、英語訳も含めて解説していきます。
結論:「出生地」は生まれた場所、「出身地」は育った場所
一方、「出身地」とは、一定期間を過ごし、また人格形成に大きな影響を与えた土地のことです。
「出生地」をもっと詳しく
「出生地」とは、生まれた場所のことです。「出生」という言葉は、命が誕生することを意味します。つまり、「お生まれはどちらですか」という質問に対しては「出生地」を答えることになります。
そして、出生地は戸籍謄本(こせきとうほん)にも記されるため、法的な観点からも、「生まれた場所が出生地である」という明確な基準があります。
戸籍謄本には生まれた場所の住所が記載されるため、通常は生まれた産婦人科の病院の住所が「出生地」になります。
もし、家で生まれた場合には、自宅の住所になりますし、移動中に生まれた場合は、その場所が出生地ということになります。
ちなみに、日本では赤ちゃんが生まれたら14日以内に役所へ「出生届(しょっしょうとどけ)」を提出する必要があります。
そして、出生届の項目に「出生の年月日時分及び場所」の項があり、そこに記された住所がその人の「出生地」になります。
「出生地」の英語訳
「出生地」を英語で表すと、birthplace となります。
以下、birthplace を用いた例文です。
(彼は大阪生まれだが、一切関西弁を発しない。)
また、「~生まれである」と動詞形で表現する場合は、be born in ~ を使います。
以下、be born in ~ を用いた例文です。
(私は1996年に千葉で生まれた。その翌年、家族は大阪へ引っ越した。)
「出身地」をもっと詳しく
「出身地」とは、一定期間を過ごし、人格形成に大きな影響を及ぼした場所です。
「出生地」に比べて、「出身地」の方が基準が不明確で、いささか感覚的に定義されることになります。というのも、「出身」という言葉は、「生まれる」ことの他に、「育つ」という意味を含んでいるためです。
「生まれ」は「どこで生まれたか」という事実によって1つに定義できます。一方、「育つ」には成長するという意味合いがありますが、何をもって「成長」ととらえるかには人それぞれの基準があります。
たとえば、「〇〇高校出身」と学校を基準にすることもあれば、「文系出身」と学問を基準にする表現もあり、「育つ」には多様な観点があることがわかります。
以上の点を踏まえると、「出身地」を定義する際には、主に3つの解釈を考えることができます。
- 生まれた土地
- 育った土地
- 生まれ育った土地
「出身地はどちらですか。」時と聞かれた際には、①~③のどのニュアンスで聞かれているかを押さえておく必要があります。聞く場合も同様です。
①については、「出生地」と同じです。
③についても、もし生まれてから引っ越しをせず、同じ場所で育った場合には「出生地=出身地」となるため、話は簡単です。
「出生地」と「出身地」の使い分けに慎重になるべきケースは、②です。もし、親の転勤などで住む場所を転々としていたりして、生まれた場所と育った場所が異なる場合には、「出生地=出身地」とはならないため注意が必要です。
一般的には、最も長い期間過ごした場所や、小中学生時代といった多感な時期を過ごした土地を指すことが多いです。ある場所で長く過ごすほど、その環境の影響を受けると考えられますし、また小中学生時代は人として著しく成長する期間だからです。
ただ、②のケースの根幹にあるのは、「どこで過ごした時に人間的に成長したか」という観点です。その点を押さえて「出身地」を相手に伝えるようにしましょう。その際、成長の経緯を同時に伝えるとより丁寧です。
もし、「出身地」という言葉を使わずに相手に伝える場合は、「〇〇生まれ、××育ち」と表現することが多いです。
「出身地」の英語訳
「出身地」を英語で表すと、以下のようになります。
- birthplace
(生まれた土地) - hometown
(故郷、住み慣れた場所)
「育った場所」もしくは「生まれ育った場所」という意味で「出身地」を用いる場合は、hometown を用いるようにしましょう。
それぞれを用いた例文は以下の通りです。
- She speaks the Kansai dialect because her birthplace was Kyoto.
(彼女の生まれは京都なので、彼女は関西弁を使って話す。) - Though I have lived in Hokkaido for a long time, I still have the strong memory in my hometown, Osaka.
(北海道に長いこと住んでいるが、生まれ育った大阪への思いはいまだに強い。)
また、動詞形で「~出身です」という場合には以下の英語訳を用いましょう。
- be from ~
(~生まれである、~から来た) - come from ~
(~生まれである、~から来た) - be brought up in ~
(育つ) - be raised in ~
(育つ) - grew up in ~
(育つ)
「育った」というニュアンスを強く伝えたい場合には、be brought up in ~・be raised in ~・grew up in ~ のいずれかを用いるようにしましょう。
それぞれを用いた例文は以下の通りです。
- where are you originally from?
(もともとはどちらのご出身ですか。) - I’m Sato. I come from Saitama.
(佐藤と言います。埼玉出身です。) - The town is a place I was brought up in.
- She was born in Fukuoka and raised up in Tokyo.
(彼女は福岡で生まれて東京で育った。) - Because I grew up in Osaka, I am not used to Tokyo dialect yet.
(大阪で育ったので、東京の言葉にまだ慣れてないです。)
①のように、originally をつけることで、「現在はそこに住んでいるが、生まれ(育ち)はどこなのか」というニュアンスを出すことができます。
まとめ
以上、この記事では、「出生地」と「出身地」の違いについて解説しました。
- 出生地:生まれた場所のこと
- 出身地:一定期間を過ごし、また人格形成に大きな影響を与えた土地のこと
頻繁に引っ越しをしていると、「出生地」と「出身地」が異なる場合があります。自己紹介等で「出生地」や「出身地」に言及する場合は、「生まれ」と「育ち」のどちらを強調したいのか、注意して使い分けましょう。