今回ご紹介する言葉は、熟語の「便宜(べんぎ)」です。
言葉の意味・使い方・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「便宜」をざっくり言うと……
読み方 | 便宜(べんぎ) |
---|---|
意味 | ある目的にとって好都合なこと。また、特別なはからいのこと |
類義語 | 好都合 |
英語訳 | convenience(好都合)、facilitate(容易にする) |
「便宜」の意味をスッキリ理解!
「便宜」の意味を詳しく
「便宜」には、主に2つの意味があります。
一つ目に、「好都合なこと」です。ある目的を達成するのに、都合の良いものや便利なもののことを表します。
次に、「特別な計らい」という意味です。「計らい」とは「取扱」や「処置」のことです。つまり、相手にとって都合の良いような扱いのことをいいます。
ちなみに、あまり使われませんが、「便宜」には「音信」「たより」という意味もあります。また、通常は「べんぎ」と読みますが、「びんぎ」と読まれることもあります。
「便宜」の使い方
「便宜」という熟語は、単独で用いられることは少なく、他の言葉と組み合わせた形で使われることが多いです。
以下に、代表的な用法の意味とその語を用いた例文を挙げます。
- 便宜的:その場の都合に合わせて、一時しのぎをすること。
例)時間があまりなかったので、便宜的な処置を取った。 - 便宜上:その方が都合が良いという事情。
例)この組織にはさまざまな名称があるが、便宜上ここではAに統一する。 - 便宜を図る:ある人やことの利益になるように計らうこと。
例)彼らが無事に脱出できるように便宜を図る。
「便宜を図る」という言葉は、「わいろ」に関する事件の報道でよく登場します。
例えば、ある県において一定の基準を満たした老人ホームが補助金を受けられるという法律ができたとします。この補助金を出す基準を決めるのは、議員や職員などです。そこである老人ホームが、有力な議員に対してわいろを渡すことで、そのホームに有利な条件を設定してほしいと頼みます。
これが、議員にお金を渡す代わりに法律面で「便宜を図ってもらう」ということです。ただし、「便宜を図る」という言い回し自体にはネガティブな意味はありません。
また、「便宜」は目上の人に対して使うべきではない言葉です。立場が上の人に便宜を図ってもらった場合は、「ご配慮」や「お取り計らい」という言葉で表現しましょう。
「便宜」の類義語
便宜には以下のような類義語があります。
- 好都合:あることが条件などに合っていて、都合がいいこと
「便宜」と「好都合」は、「物事を行うにあたって具合がよいこと」という同じ意味を持っています。
しかし、「特別な計らい」という「便宜」の意味は、「好都合」にはないことを注意しておきましょう。
「便宜」の英語訳
便宜を英語に訳すと、次のような表現になります。
- convenience
(好都合) - facilitate
(容易にする)
英単語に「便宜」と全く同じ意味を持つ表現はありません。似た意味の単語を使って「便宜」のニュアンスを表しましょう。
まず「便宜上」を表現したい場合は、「好都合」や「便利」という意味の convenience を用います。 “for convenience of ~” といえば、「~の便宜上」という意味となります。
次に、動詞の形で「便宜を図る」という意味を表したい場合は、facilitate を使いましょう。
まとめ
以上、この記事では「便宜」について解説しました。
読み方 | 便宜(べんぎ) |
---|---|
意味 | ある目的にとって好都合なこと。また、特別なはからいのこと |
類義語 | 好都合 |
英語訳 | convenience(好都合)、facilitate(容易にする) |
「便宜」には主な意味が2つあり、様々な言葉と組み合わせて使われます。いざ使う場面が来た時のために、意味や使い方をきちんとおさえておきましょう。