「併せて」と「合わせて」は、どちらも「あわせて」と読み、似た意味を持ちますが、ニュアンスが異なる言葉です。
今回は「及び」と「並びに」の違いについて解説します。
結論:「併せて」は同時に進める、「合わせて」はひとつにまとめる
「併せて」は「二つ以上あるものを、同時に進めていくこと」を指します。
一方、「合わせて」は「二つ以上あるものを、一つにまとめること」または「基準となる物事と一致すること」を意味します。
「併せて」をもっと詳しく
「併せて」は「二つ以上あるものを、同時に進めていくこと」を意味します。他と共に用いることや、同時に使うことを指しています。
「◯◯と△△を併せて」という形で使われます。使い方は大きく分けて二つあります。
- 文と文をつなぐ言葉として「同時に、ともに」
- 状態を説明する言葉として「並行して」
公用文での「併せて」の意味
公用文において、「併せて」は「並列して」という意味を持ちます。これは、並行してある物事とある物事を進めることを表しています。
たとえば、「スライドの準備と原稿の作成を併せてお願い申し上げます。」というように使用します。「スライドの準備と原稿の作成を同時に進めて欲しい」という意味になります。
「併せて」の類義語
「併せて」には以下のような類義語があります。
- それと共に:その物事と一緒に、同時に
- ついでに:ある物事を行う機会を利用して、それには関係のない物事を行うこと
- 傍ら(かたわら):ある物事を行いながら、ある物事をする一方で
「併せて」の英語訳
「併せて」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- and
(~と~) - at the same time
(同時に)
「併せて」の使い方の例
「併せて」を使用した例文を以下に示します。
- 部長には乾杯の音頭と、併せて一発芸の披露をお願いしたく存じます。
- 僕は今、部活の練習と受験勉強を併せてやっているのだから、家の手伝いなんかできないよ。
- 先日はOB訪問にご対応いただきまして、併せて御礼申し上げます。
①の「併せて」は「同時に、ともに」という意味で使われています。
②は「並行して」という意味で「併せて」が使われています。
③の「併せて御礼申し上げます」は「同時に、お礼を言わさせていただきます」という意味です。公用文などのフォーマルな場で使える言葉です。
「併せてお願い」と「重ねてお願い」の違い
「重ねて(かさねて)」は「同じことを繰り返すさま」という意味です。
つまり、「重ねてお願い」は「同じことについて、もう一度お願いをすること」を指します。一度お願いしたことを、確認の意味を含めて再度お願いする場合に用います。
一方、「併せてお願い」は「あることに追加してお願いをすること」を指します。ある要件を伝えた後で、関係のないことをお願いする場合に用います。
「合わせて」をもっと詳しく
「合わせて」には二つの意味があります。
- 二つ以上あるものを、一つにまとめること
- 基準となる物事と一致すること
実在するものだけでなく、時間や相性など、形のないものにも使うことができます。
「合わせて」の使い方の例
「合わせて」を使用した例文を以下に示します。
- 君と僕の所持金をすべて合わせても五千円に満たないから、贅沢な晩御飯を食べるのはやめておこう。
- ここ最近、知り合いのカップルが、価値観が合わないという理由で立て続けに別れている。
- 次回の定例会議は、今後のわが社の方針を決める重大な議題を扱います。万障(ばんしょう)繰り合わせてご参加ください。
①の「合わせて」は「二つ以上あるものを、一つにまとめること」を指します。所持金を合算していることを表しています。
②は「基準となる物事と一致すること」という意味で「合わせて」が使われています。
③の「合わせて」は「万障繰り合わせてご参加ください」で「いろいろと不都合があるかもしれないですが調整してご参加ください」という意味で使われています。催し事へ招くにあたって、「是非に」と参加を促す丁寧な言い回しです。
まとめ
以上、この記事では、「併せて」と「合わせて」の違いについて解説しました。
- 併せて:二つ以上あるものを、同時に進めていくこと
- 合わせて:二つ以上あるものを一つにまとめること、基準となる物事と一致すること