「認可保育園」と「無認可保育園」の違いとは?料金からメリットまで

違いのギモン

近年都市部では、保育士不足や保育施設の不足により、保育施設に入ることのできない「待機児童」が問題視されています。

平成29年4月1日の段階で、データ上は東京だけで8586人の待機児童がいました。今後も女性の社会進出・都市部の人口集中・核家族化が進めば、さらに深刻化する可能性もあります。

 

さて、「待機児童」問題に関連して、よく話題に挙がるのが、「認可保育園」と「無認可保育園」です。なんとなく「認可保育園」がちゃんとした保育園、「無認可保育園」がちゃんとしていない保育園というイメージがあるかもしれません。しかし、具体的な違いはあまり知らないのではないでしょうか。

今回はそんな「認可保育園」と「無認可保育園」の違いを解説していきます。

結論:国の認可を受けた「認可保育園」は、入園条件が厳しいが、安い

「認可保育園」は一定の条件を満たし、特別な認可を受けた「保育園」です。国から補助金が出る分保育料は安いですが、入園のためには一定の条件があります。

一方「無認可保育園」は特別な認可こそ受けていない施設です。保育料は高いですが、入園は「認可保育園」よりも簡単な場合が多いです。

そもそも「保育園」とは?

保育園は、親の労働などを理由として、一時的に児童を預り、適切な環境の下で養護・教育する施設です。「保育園」は通称であり、正式には「保育所」といいます。施設名には「保育所」の場合と「保育園」の場合がありますが、基本的に名称ごとに違いはありません。

「認可保育園」をもっと詳しく

「認可保育園」とは、児童福祉法に基づき、特別の基準を満たして都道府県知事から認可を受けた「保育園」です。市区町村が経営する公立の施設と、民間事業者が経営する私立の施設がありますが、どちらも公費による補助金を受け取っています。公費は国、都、区市町村から出ています。

公立の施設は、市区町村により作られるため、施設の内容に大きな差異はありません。しかし、私立の施設は、施設の方針により、個性が強く出る場合があります。しかし、規定が厳しいため、延長保育や一時保育などを行えず、柔軟に対応しきれない場合があります。

認可を受けるための基準としては、対象年齢、定員、職員数、職員資格、保育室の設備、給食などがあります。児童の受け入れ時間は、朝7時30から夕方6時くらいまでが一般的です。

 

保護者は「認可保育園」がある区市町村に自宅がある、在学している、または職場がある場合に申し込むことができます。しかし、二世帯住宅の場合など、「保育園」に優先的に入る必要性が認められない場合には、申請できない場合もあります。

申し込む場所は市区町村の窓口です。仮に「認可保育園」の希望者が定員よりも多い場合には、選考により決定します。

 

保育料は、世帯所得や自治体、子供の年齢や利用時間によって変化します。同じ区市町村であれば、どの保育所に入ったとしても、原則として料金は同じです。平均は、子ども一人当たりで月2万円程度です。自治体によっては、兄弟姉妹の同時通園により、安くなる場合などもあります。

「保育園」の中には、国の認可とは別に、都道府県で独自の認可を受けている施設もあります。例えば、東京都の設けた基準を満たし、認可を受けた「保育園」は「認証保育園」と呼ばれますが、これは「認可保育園」とは異なります。

「無認可保育園」をもっと詳しく

「無認可保育園」とは、児童福祉法に基づく、特別の認可を受けていない「保育園」です。「認可外保育園」とも呼ばれます。「認証保育園」のように、都道府県で独自の認可を受けている施設も含みます。

「認可保育園」よりも経営にバリエーションがあり、夜間保育、休日保育などを行っている場合もあります。

「無認可保育園」に入りたい場合は、施設に直接申し込み、契約することになります。「認可保育園」の利用は、親の仕事や病気で子供を保育できない場合に限られますが、「無認可保育園」ではそのような制限はありません。入所にかかる制限が少ないため、手続きや手続き書類も簡素な場合が多いです。

定員よりも希望者が多かった場合の選考方法は、認可外保育施設ごとに異なります。

 

保育料は経営者が自由に設定することができるため、施設によって大きく異なります。自治体によっても相場は異なりますが、大体5万円から6万円程度の施設が多いです。料金は一律で、世帯所得による変化はありません。しかし、自治体によっては「無認可保育園」に通う家庭に補助金が出るケースもあります。

保育料が「認可保育園」に比べて高いのは、一部の補助対象施設(東京都認証保育所など)以外の運営経費を、保護者からの保育料のみで賄っているためです。保育料が高い分、「認可保育園」よりも、空きがある場合が多いです。

開設や運営の際には、「認可外保育施設に対する指導監督要綱」という「無認可保育園」の基準を満たしている必要があります。また、都道府県による立入調査などの対象にもなります。

まとめ

以上、この記事では、「認可保育園」と「無認可保育園」の違いについて解説しました。

  • 認可保育園:国が定める基準を満たし、認可を受けた保育園
  • 無認可保育園:国からの認可を受けていない保育園
「無認可保育園」は決して違法な「保育園」ではありません。保育料が高いというデメリットはありますが、「保育園」としての設備や職員はそろっている施設です。夜間保育を行えたり、入園基準が厳しくないという点で、多いな意義があります。

保護者の仕事が夜の場合には、多少高くても夜間保育を希望する人はいるでしょう。一方、出来るだけ安く保育料を抑えたい人も多いでしょう。「認可保育園」と「無認可保育園」には、それぞれのニーズがあります。

自分の家庭に合った保育園を見つけ、早めに応募しておきましょう。