「認可保育園」と「認証保育園」の違いとは?わかりやすく解説

違いのギモン

「保育園」には、「認可保育園」と「無認可保育園」があります。違いは明白で、国が定めた基準を満たし、特別な認証を受けているかどうかです。「認可保育園」は保育料が安く、人気もあります。

一方「保育園」には、「認可保育園」とは別に、「認証保育園」というものもあります。認可も認証も似たような意味ですが、この2つに違いはあるのでしょうか。

今回は、「保育園」を選ぶ時には知っておきたい、「認可保育園」と「認証保育園」の違いを解説していきます。

結論:「認可保育園」は国の基準。「認証保育園」は東京都の基準。

「認可保育園」は、国が定めた基準を満たした「保育園」のことです。一方「認証保育園」は、東京都が独自に定めた基準を満たした「保育園」のことです。「認証保育園」は「無認可保育園」です。 

そもそも「保育園」とは?

保育園は、親の労働などにより、一時的に児童の保育ができないこと理由として、児童を適切な環境の下で養護・教育する施設です。「保育園」は通称であり、正式には「保育所」といいます。施設名には「保育所」の場合と「保育園」の場合がありますが、概念的な違いはありません。

「認可保育園」をもっと詳しく

「認可保育園」とは、「保育園」の中でも一定の基準を満たし、都道府県知事によって認可された施設のことです。児童福祉法に基づいています。基準は対象年齢、定員、職員数、開園時間、職員資格、保育室の設備、給食、衛生管理など多岐に渡します。

例えば「認可保育園」の開園時間は1日につき11時間、保育時間は8時間を原則としています。また、保育士は「0歳児数×1/3 + 1・2歳児数×1/6 + 3歳児数×1/20 + (4歳以上児数×1/20)」人が最低限必要で、さらに定員90人以下の保育所については、加えてもう1人必要です。

「認可保育園」は、このような厳格な基準をクリアしているため、一定の保育の質が保証されている安心感があります。また、国、都、区市町村からの公費による補助金を受け取っているため、保育料は「無認可幼稚園」と比べ、大幅に安いです。

 

そのため、「待機児童」が発生する多くの保育園が「認可保育園」です。

「認可保育園」の中にも、市区町村が経営する公立の施設と、民間事業者が経営する私立の施設があります。公立の施設は、市区町村により作られるため、施設の内容に大きな差異は出づらいです。しかし、私立の施設は、施設の方針により、個性が強く出る場合があります。

 

例えば、英語に力を入れている「保育園」や、音楽に積極的に触れさせる「保育園」もあります。

「保育」という言葉には、養護すること、教育することの2つの意味があります。今までの「保育園」は前者中心の施設でしたが、近年ではより後者を重要視することで、他の「保育園」と差別化を図ろうとすることがあります。

 

児童の受け入れ時間は、朝7時30から夕方6時くらいまでが一般的です。「認可保育園」としての規定が厳しいため、延長保育や一時保育などを行えず、保護者のニーズに柔軟に対応しきれない場合があります。

保護者は「認可保育園」がある区市町村に自宅がある、在学している、または職場がある場合に申し込むことができます。しかし、二世帯住宅の場合など、「保育が必要ではない」場合には、申請できないことがあります。

 

保育料は、世帯所得や自治体、子供の年齢や利用時間によって変化します。同じ区市町村であれば、どの保育所に入ったとしても、原則として料金は同じです。平均は、子ども一人当たりで月2万円程度です。

「無認可保育園」に比べると、公費による補助金を受け取っている分、値段は非常に安いです。自治体によっては、兄弟姉妹の同時通園により、安くなる場合などもあります。

申し込む場所は市区町村の窓口です。仮に「認可保育園」の希望者が定員よりも多い場合には、選考により決定します。

「認証保育園」をもっと詳しく


「認証保育園」は、東京都が独自に設定した基準を満たした「保育園」のことです。「認可保育園」とは別の基準を満たしており、都と市区町村から補助金を受け取っています。A型とB型の2つに分けることができます。

A型は駅前に設置するタイプで、運営は主に民間企業です。B型は小規模で家庭的なタイプで、運営は主に個人事業者やNPO法人です。対象年齢はA型が0から5歳、B型が0歳から2歳です。

 

「認証保育園」の特徴は2つあります。1つは、0歳児の保育を行うこと、もう1つは13時間以上の受け入れです。これらは、「認可保育園」ではできないことであり、解消できないニーズが反映されています。

「無認可保育園」の1種であるため、運営は各施設ごとに行っています。入園申し込みなども保護者と各施設で直接行います。料金は一律で、世帯所得による変化はありません。経営者が自由に設定することができますが、料金に上限があります。

 

保育料は原則として、月220時間以下の利用で、1月あたり、3歳未満児の場合80,000円、3歳以上児77,000円が上限となっています。この値段には、給食代やおやつ代、保育材料費、光熱水費、年会費、消費税なども含まれています。

「認可保育園」とは異なり、自宅、仕事場などがない地域の施設も申し込むことができます。

「認証保育園」は東京都の制度ですが、横浜市の「横浜保育室」や仙台市の「せんだい保育室」のように、自治体で同様の基準を設け、認証する制度は他の地域にもあります。

まとめ

以上、この記事では、「認可保育園」と「認証保育園」の違いについて解説しました。

  • 認可保育園:国が定めた基準を満たした保育園
  • 認証保育園:東京都が定めた基準を満たした保育園

東京都は、日本の首都であるが故に、女性の多くが労働し、核家族化が進んでいます。保育園に利用できる土地が限られてくる上に、長時間子どもを預ける需要は高いです。「認証保育園」はそのような東京の事情を背景に作られた制度といえるでしょう。

それぞれ一定の認可・認証の基準はあります。国が定めた基準だからといって、絶対的に「認可保育園」の質が良いとも言い切れませんし、値段が高いからと言って「認証保育園」の方が保育士の数が多いとは限りません。

「保育園」を決める際には、実際に評判などを調べることも重要かと思います。