「競売」と「公売」の違いとは?わかりやすく解説

違いのギモン

「競売」と「公売」を知っていますか?「競売」は聞いたことがあっても、「公売」は聞き馴染みがない人も多いでしょう。実はどちらもオークションの1種なんです。

状況によっては、あなたの財産が「競売」や「公売」の対象になることもあるかもしれません。また、「競売」や「公売」に買い手として参加することもあるかもしれません。

今回は、なかなか違いが分からない、そんな「競売」と「公売」の違いについて解説していきます。

結論:「競売」は民間。「公売」は公的機関

法律における「競売(けいばい)」とは、民間事業者への借金が返せなくなった時などに、民間事業者が裁判所へ申し立てることにより行われるオークションです。

一方「公売」とは、国や地方自治体に対する税金を滞納した場合に、強制的に滞納分を回収するために行われるオークションです。

「競売」をもっと詳しく


「競売」は、一般的には「きょうばい」と読みます。ある出品物に対して、購入希望者が値を付けていき、最も高い金額を提示した人が買う権利を得るという販売方法です。「競(せ)り」や「オークション」とも言います。

一方、法律用語としての「競売」は「けいばい」と読みます。これは債務者(お金を借りた人)から債権の回収が困難になった時、債務者・担保提供者(他人の借金の保証として財産を差し出した人)の不動産を差し押さえ、競りにかけることで債権を回収する方法を指します。

今回は「競売(けいばい)」を中心に説明しています。

 

債権者(お金を貸した人)は、民間の人・法人です。具体的には銀行などの金融機関や個人事業者などです。債務者が期日になっても必要な分の現金がなく、直接的な債権の回収が困難な場合に、裁判所に申し立てることで行われます。

「住宅ローンを借りて不動産を買ったが、諸事情によりローンの返済が困難になり、住宅ローンを組んでいた銀行から申し立てられる」「借金が返済できなかった」というケースなどが考えられます。

「競売」の実行は地方裁判所の管轄下で行います。具体的な内容は「民事執行法」で定められています。

 

「競売」に参加して買う人のメリットとしては、通常の相当価格の7割から8割程度の値段で購入できるという点があります。また通常であれば、物件価格の3%程度かかる不動産会社の仲介手数料が、発生しないという点があります。一般消費者の他、不動産会社や企業、団体が「競売」に参加します

買い手側のデメリットとしては、「不動産の元住民が、素直に明け渡してくれない」という可能性が考えられます。法的な「競売」は、住民が自分で決めたことではなく、債権者や裁判所が決めたことなので、住民自身は納得していない可能性があります。

 

たとえば、「競売」が行われ、所有権が移転した後の不動産に前の住民が居座り続け、話し合いにも応じないケースが考えられます。

これに対して、「強制執行命令」という処理を行い、強制的な明渡しの手続を行うことができます。しかし、手続きは専門的な手続きを必要とします。そのため、「競売」に関する専門知識のない人のみで行うのは難しいです。

 

購入の判断材料としては、物件に関する詳細な資料が配布されます。しかし、実際に物件の中に入り、中を見学することなどはできません。

「競売」は各手続が民事訴訟法により詳細に規定されています。そのため、後に説明する「公売」よりも、リスクが少なく、安心感が強いといえます。

とはいえ不動産会社を仲介した一般的な不動産売買にはないトラブルの可能性は考えられるので、「競売」で不動産を購入する場合、競売コンサルタント会社などに代行を求めると安心です。

「公売」をもっと詳しく


公的機関・行政機関が法律の規定に基づき、強制的に「競売(きょうばい)」を行うことを「公売」といいます。「競り」「オークション」の形式をとりますが、法律における「競売(けいばい)」とは異なる処理です。

「公売」は税金を滞納した場合に、滞納金額を強制的に回収するために行われます。国による税(所得税や相続税など)であれば国税局や税務署、市町村による税(住民税など)であれば各自治体で行われます。裁判所は絡みません。

 

「公売」は、不動産の他に、自動車や宝石、ブランド品など、金銭的価値の高いものも差し押さえの対象となります。詳細は国税徴収法により定められています。

「競売(けいばい)」と同様に、買い手は通常の相当価格の7割から8割程度の値段で購入することができます。一般消費者の他、不動産会社や企業、団体が「競売」に参加します。

 

しかし、「競売」同様に「不動産の元住民が、素直に明け渡してくれない」という可能性が考えられます。その場合「公売」では「競売」とは異なり、「強制執行命令」を行うことができません。明渡しのためには「明渡し訴訟」をし、裁判を行う必要があります。裁判には少なくない時間とお金がかかります。

購入の判断材料としては、物件に関する簡単な資料が配布されます。また、「競売」同様に実際に物件の中に入り、中を見学することなどはできません。

 

そのため、「公売」は「競売」と比較して、「強制執行命令」がない点、資料が簡易な点においてリスクがより高いといえます。「公売」はそもそもの物件数が「競売」よりも少ないですが、入札者数も少ないです。

近年では、各地方自治体や国のホームページで情報を公開し、ネット上で「公売」を行っています。

まとめ

以上、この記事では、「競売」と「公売」の違いについて解説しました。

  • 競売:民間の事業者が裁判所に申し立てて成立
  • 公売:公的機関が税金の滞納分を改修するため開始

「競売(きょうばい)」が一般的な「競り」「オークション」のことで、「競売(けいばい)」が法律用語です。読みも意味も非常に分かりづらいと思います。現在では、ニュースでも「きょうばい」に統一されているようなので、迷ったら「きょうばい」と呼びましょう。

「公売」については、多くの市町村で行われています。リスクはあるものの、うまくいけば自宅近くの不動産を格安で購入できるかもしれません。気になる方はぜひ調べてみてください。