「軋轢」と「確執」の違いとは?意味から使い方までわかりやすく解説

違いのギモン

今回は「軋轢」と「確執」の違いを説明します。

「軋轢」と「確執」、どちらも日常会話の中ではあまり登場しないような、少し難しい言葉です。

この2つの言葉は似た場面で使われますが、意味が違います。意味の違いを説明できる人は少ないでしょう。

使いこなすことができれば、表現の幅が広がります。

結論:「軋轢」は関係が悪化すること 「確執」は意見の対立

「軋轢」は人と人の関係が悪くなることを表します。一方、「確執」は意見の対立そのもの、または対立による不仲を表します。

「軋轢」をもっと詳しく

「軋轢」は、人と人の関係が悪くなることを表します。また、もつれやいざこざなどの意味合いを持ちます。

本来「軋轢」とは、車輪が軋(きし)む音を表す語でした。それぞれの漢字の意味を、以下にまとめました。

  • 軋(あつ):車輪がこすれ、音をたてる。
  • 轢(れき):車でひく、きしむ。

車輪が軋む音は、耳ざわりで不快感をかき立てます。これが転じて「人と人の関係が悪くなること」を指すようになりました。

 

「軋轢が生じた」という言い回しで、不仲になったことを表します。「軋轢となる」や「軋轢を作る」などとは使わないため、注意しましょう。

「軋轢」の使い方の例

軋轢」を使った例文を以下にまとめました。

  1. 彼の意中の人と付き合ってから、彼と僕の間に「軋轢」が生じた気がする。
  2. 監督は自分勝手な人なので、新しいコーチと「軋轢」を生みそうだ。
  3. 気が合わない人には近づかないようにすることが、「軋轢」を避けるコツだ。
  4. ライバル企業との「軋轢」は、そう簡単に解消できないのではないか。
①は、「軋轢が生じた」という使い方で不仲になったことを表現しています。

②のように、「軋轢」には”生む”や”生じる”といった動詞を使います。

③は、気が合わない人と不仲になる可能性を懸念して、「軋轢」を避けるという表現を使っています。

④は、組織を人に例えて「軋轢」を使っています。

「確執」をもっと詳しく


「確執」は意見の対立そのもの、または対立による不仲を表します。

「軋轢」では、単に不仲であることを表していましたが、「確執」は意見の対立による不仲に限定している点が大きな違いです。

本来、「確執」は自分の意見を主張するという意味の言葉でした。これが転じて、主張を譲らないため不仲になるという意味で使われるようになりました。

基本的に、「軋轢」と似た使い方をします。ただ、「軋轢」では使わない表現もあり、そのひとつが「確執が深まる」です。「確執」がより大きくなることを意味します。

「確執」の使い方の例

確執」を使った例文を以下にまとめました。

  1. あの一件から、オーナーと店長の間には「確執」が残っている。
  2. きのこが好きという友人にたけのこの良さを小一時間説明したが、「確執」は深まるばかりだった。
  3. 彼氏と同棲を始めてから、些細(ささい)なことで「確執」を生むようになった。
①の「確執が残る」という表現は、意見の対立による不仲が続いていることを表します。

②は意見の対立が解消されず、より不仲になった様子を「確執が深まる」と表しています。

③は、小さなことで意見の対立が起こっているという意味で確執が使われています。

まとめ

以上、この記事では、「軋轢」と「確執」の違いについて解説しました。

  • 軋轢:人と人の関係が悪くなること
  • 確執:意見の対立そのもの、または対立による不仲
仕事や学校などで、多数の人と付き合っていれば、馬が合わない人もいるでしょう。

そのようなときは、”嫌い”や”仲が悪い”ではなく「軋轢」や「確執」と表現しましょう。

説明したように、「軋轢」と「確執」は、何らかの原因がある不仲を表します。感情論だけの不仲でないことが伝わるため、トラブルが起こりにくくなります。

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シェスカ
公的文章に詳しい大学院生。 学術論文や特許の執筆を得意としています。 スッキリではその知識を活かし、専門用語の解説を担当しています。