「庇護」と「保護」の違いとは?意味から使い方の例まで解説

違いのギモン

傷ついた人や弱い立場にいる人を守る際、よく「保護」という言葉が使われます。しかし、同じような意味の日本語として「庇護(ひご)」があり、似たような使われ方をしていることがあります。

今回は、「庇護」と「保護」の違いについて解説をしていきます。

結論:使われる対象が違う

庇護も保護も、主に対象を守るといった意味で使われます。

しかし、庇護は弱いものを守るという意味合いが強いのに対して、保護は庇護に比べて様々な対象に使われる言葉です。

「庇護」をもっと詳しく


庇護の広義的な意味は、「対象のものをかばって守ること」です。庇護は、主に立場が弱いものをかばって守ることに対して使われるという特徴があります。

ここで言う「立場が弱いも」のとは、赤ちゃんなど、自力で行動することが難しかったり、自分の意見を他人に伝えることが出来ない人のことを指します。こうした人々を、大人や家族が守るといった意味合いで多く使われています。

庇護の庇は「ひ」「かばう」と読みます。この漢字には、「覆い隠す」「かばう」「保護する」という意味があります。また、別の読み方で「ひさし」という読み方があります。これは、建物の屋根や、帽子のつばを指す言葉です。

このように、強者が弱者を覆うという意味が漢字に備わっているため、庇護も「弱者をかばって守る」という意味を表すのです。

 

また、庇護は、主に人を対象に使われる表現です。そのため、「環境を庇護する」などと使うことはめったにありません。ただし、世間的に認められていない思想などに対しては「庇護」という表現が使われる場合があります。

「庇護」の使い方の例

「庇護」は、以下のように使うことができます。

  • 子供の頃は両親の庇護のもとに育てられた。
  • 神仏の庇護を受ける。
  • 王がその考え方を庇護したため、社会的に受け入れられるようになった。
例文全てに、親や神仏といった立場が上の存在が、自分より立場が弱いものをかばって守るというニュアンスが含まれています。

「保護」をもっと詳しく


保護の基本的な意味は、「ある対象を外からの危険や脅威などから守ること」です。保護は、庇護と比べてより広い事物に対して使われるという違いがあります。

また、庇護は主に弱い立場の人に対して使われますが、保護は相手の立場に関係なく使える言葉です。

 

また、応急の救護を必要とする時に、警察署に留め置くことにも「保護」という言葉を使います。具体的には、酔っぱらった人や迷子を警察署に留めておくことを指します。

さらに、保護は人だけでなく、形が無いものに対しても広く使われます。たとえば、パソコンのデータが消えないようにデータを保存したり、自然環境を環境破壊から守るといった際にも、保護という言葉が使われます。

「保護」の使い方の例

「保護」は、以下のように使うことができます。

  • 買い物をしていたら迷子がいたので、一時的に保護した。
  • ゲームの電源が落ちても大丈夫なように、データを保護する。
  • 密猟者の手から野生のシカを保護する。
例文にもあるように、人間以外に対しても「保護」は幅広く使われます。

「庇護」と「保護」の英語の違い

庇護と保護は意味が非常に似ている言葉ですが、英語に直したときの単語も違います。

庇護は、英語に直すとAsylumになります。それに対し、保護は英語でProtectionとなります。

まとめ

以上、この記事では、「庇護」と「保護」の違いについて解説しました。

  • 庇護:かばい守ること(主に弱い立場にいる人に対して使用)
  • 保護:外部からの危険から守ること(庇護より広い対象に対して使用)

このように、「庇護」と「保護」には違いがあります。庇護は難しい言葉ではありますが、使える機会では積極的に使っていきましょう。

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つつつ
この道10年以上の読書家。 短い言葉で人を惹き付けるコピーが大好きです。 本の帯に書かれたコピーを見て買ってしまうこともしばしば。 読書で得た文章力を活かして、日常生活でよく使う言葉を中心に執筆しています。