「足がかり」とは「上に登るために足を掛ける場所」「物事を始める際のきっかけ」という意味です。
「足がかり」は見聞きすることは多くても、自分で使う機会はあまりないのではないでしょうか。
この記事では、「足がかり」の意味や例文、類義語、英語訳などについて解説します。
☆「足がかり」をざっくり言うと……
読み方 | 足(あし)がかり |
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意味 | 上に登るために足を掛ける場所 物事を始める際のきっかけ |
類義語 | 足場 糸口 契機 など |
英語訳 | foothold (足がかり) |
「足がかり」の意味
- 上に登るために足を掛ける場所
- 物事を始める際のきっかけ
「足がかり」には、「上に登るために足を掛ける場所」「物事を始める際のきっかけ」という2つの意味があります。
それぞれの意味を詳しく解説します。
意味①上に登るために足を掛ける場所
「足がかり」の1つ目の意味は、「上に登るために足を掛ける場所」です。
崖を登るとき、岩や石などに足を掛けると、上に登ることができます。
この「足を掛ける場所」を、「足がかり」と呼ぶのです。
また、ボルダリングという競技でも、選手たちは壁に配置された突起に足を掛けて、上に登っていきます。
この突起も「足がかり」と呼ぶことができます。
意味②物事を始める際のきっかけ
「足がかり」の2つ目の意味は、「物事を始める際のきっかけ」です。
この意味は、1つ目の「上に登るために足を掛ける場所」という意味から転じて生まれました。
「岩や石に足を置くと、崖を登ることができる」ということと同じように、何かを始めるには、きっかけとなる物事があるとスムーズに進行することができます。
そのため、「足がかり」には、「物事を始める際のきっかけ」という意味もあるのです。
「足がかり」には、「上に登るために足を掛ける場所」「物事を始める際のきっかけ」という2つの意味があります。
現代では、2つ目の「物事を始める際のきっかけ」という意味で「足がかり」を使うことの方が多いです。
「足がかり」の別表記
「足がかり」は、以下のように表記する場合もあります。
- 足掛かり
- 足掛り
- 足懸かり
- 足懸り
どの表記を用いても、意味に変わりはありません。
「足がかり」の使い方
「足がかり」には、2つの意味があります。
- 上に登るために足を掛ける場所
- 物事を始める際のきっかけ
それぞれの意味に分けて、使い方を紹介します。
使い方①上に登るために足を掛ける場所
「上に登るために足を掛ける場所」という意味の「足がかり」は、文のなかで以下のように使うことができます。
- 彼は岩石を足がかりとして、必死に登った。
- 探検隊の目の前には、足がかりのない崖が立ちはだかっていた。
- ボルダリングの初心者にとっては、足がかりを探すだけでも大変だ。
- 人口的な足がかりを作って、崖登りの練習をした。
使い方②物事を始める際のきっかけ
「物事を始める際のきっかけ」という意味の「足がかり」は、文のなかで以下のように使うことができます。
- 友人の勧めが足がかりとなって、ヨガを始めた。
- あの議員は、地元で出世の足がかりを築いたそうだ。
- 教授からの助言を足がかりに、新たな研究に取り組んだ。
- この勝利を足がかりにして、調子を取り戻したいところだ。
[出典:毎日新聞]
「足がかり」の言い回し
上の例文で紹介した表現以外でも、「足がかり」は様々な言い回しで使うことができます。
言い回しの一覧を見てみましょう。
- 足がかりとなる
- 足がかりである
- 足がかりになる
- 足がかりになる
- 足がかりに、〜
- 足がかりにする
- 足がかりとする
- 足がかりがある
- 足がかりがない
- 足がかりを失う
- 足がかりを探す
- 足がかりを作る
- 足がかりができる
- 足がかりをつかむ
- 足がかりを得る
- 足がかりを与える
- 足がかりを求める
- 足がかりを築く
上記の言い回しは、「上に登るために足を掛ける場所」という意味でも、「物事を始める際のきっかけ」という意味でも使うことができます。
「足がかり」の類義語
「足がかり」の類義語は、3つのパターンに分けることができます。
- 「上に登るために足を掛ける場所」という意味のもの
- 「物事を始める際のきっかけ」という意味のもの
- 両方の意味を表すもの
それぞれのパターンに分けて、「足がかり」の類義語を紹介します。
類義語①「上に登るために足を掛ける場所」という意味のもの
「上に登るために足を掛ける場所」という意味の類義語には、以下のようなものがあります。
- 足場(あしば)
足を掛けるところ
※「足場に」「足場にして」「足場として」と使う
類義語②「物事を始める際のきっかけ」という意味のもの
「物事を始める際のきっかけ」という意味の類義語には、以下のようなものがあります。
- 糸口(いとぐち)
物事を始める際のきっかけ
※「糸口に」などと使う - 契機(けいき)
きっかけとする
※「契機とする」「契機として」などと使う - よすが
解決するためのきっかけ
※「よすがに」などと使う - 引き金(ひきがね)
ある事態が起きる原因
※「引き金に」「引き金となって」と使う - 土台(どだい)
物事の基礎・前提となること
※「土台にして」「土台として」などと使う
「足がかり」と「糸口」の違い
「足がかり」と「糸口」は、「物事を始める際のきっかけ」を表します。
ただし、「糸口」は、以下のような意味を表すこともあります。
- 巻いてある糸の端
- 墨汁の壺に付いている糸
「足がかり」と「よすが」の違い
「足がかり」と「よすが」は、どちらも「問題を解決するためのきっかけ」という意味を表します。
「足がかり」との違いは、以下の2点です。
- 「よすが」は否定的な意味で使うことが多い
「知るよすがもない」など - 「よすが」には「心のよりどころ」「血の繋がった人」という意味もある
ちなみに、「よすが」を漢字で書くと、以下のようになります。
- 寄す処
- 縁
- 因
- 便
類義語③両方の意味を表すもの
「上に登るために足を掛ける場所」と「物事を始める際のきっかけ」の両方を表す類義語には、以下のようなものがあります。
- 手がかり
上に登るときに手をかける場所
問題を解決するためのきっかけ
※「手がかりにして」「手がかりに」などと使う - 踏み台(ふみだい)
上に登るために足を掛ける場所
物事を始める際のきっかけ
※「踏み台に」「踏み台として」「踏み台として」となどと使う - 助け
助けたり補ったりするもの
※「助けにして」「助けに」「助けとして」などと使う - ステップ
物事を進めるうえでの1つの段階
※「ステップに」などと使う
「足がかり」と「手がかり」の違い
「足がかり」と「手がかり」は、ほとんど同じ言葉といえます。
「足」「手」など、体のパーツを表す言葉が含まれている点も、共通していますね。
しかし、厳密には、両者には以下のような違いがあります。
- 足がかり
物事を始める際のきっかけを表す - 手がかり
問題を解決する際のきっかけを表す
「気がかり」や「言いがかり」は、「足がかり」と同じく「がかり」を用いた言葉です。
しかし、これらは「足がかり」と意味が異なるため、類義語とはいえません。
- 気がかり
気にして心配すること - 言いがかり
口実を作って文句を言うこと
「足がかり」の英語訳
「足がかり」を英語に訳すと、“foothold (足がかり)” となります。
“foothold” を使った表現には、以下のようなものがあります。
- a foothold for〜
(〜への足がかり) - gain a foothold for〜
(~への足がかりを得る) - a foothold to 〜
(〜するための足がかり) - establish a foothold in ~
(~での足がかりを築く)
それぞれの表現を用いた例文を見てみましょう。
- This policy was a foothold for the economic growth.
(この政策は、経済成長の足がかりになった。) - We gained a foothold for unity.
(私たちは、団結への足がかりを得た。) - Studying abroad will be definitely as a foothold to be a teacher.
(留学は間違いなく、教師になるための足がかりになるだろう。) - She established a foothold in society.
(彼女は出世の足がかりを築いた。)
「足がかり」のまとめ
以上、この記事では「足がかり」について解説しました。
読み方 | 足(あし)がかり |
---|---|
意味 | 上に登るために足を掛ける場所 物事を始める際のきっかけ |
類義語 | 足場 糸口 契機 など |
英語訳 | foothold (足がかり) |
「足がかり」には2つの意味があるため、その場に応じて正しく使いこなしましょう。