整理と整頓は「整理は不要なものを捨てること、整頓はものをきちんと配置すること」という点が異なります。
整理と整頓は、二語を組み合わせて「整理整頓」と呼ぶことも多いため、「整理と整頓の違いはない」と勘違いしている方も多いでしょう。
しかし、整理と整頓は、「どのような方法で身の回りを整えるか」という点が大きく異なるのです。
そこで、この記事では、整理と整頓の違いを詳しく解説します。
また、関連語として5Sという用語の意味についても紹介します。
「整理」と「整頓」の違い
- 整理
乱れた状態を、無駄なものを捨てて整えること
=「不要なものを捨てる」という点に重点が置かれる - 整頓
ものをきちんと配置して整えること
=「適切な位置に置く」という点に重点が置かれる
整理と整頓はどちらも、身の回りの環境を整えることを表します。
しかし、「どのようにして整えるか」という点が異なります。
整理では不要なものを捨てるのに対して、整頓ではものをきちんと配置して整えるのです。
「整理」の意味
乱れた状態を、無駄なものを捨てて整えること
例:部屋を整理したら、モノが減ってスッキリした。
整理とは、不要なものを破棄することで、乱れた状態を綺麗にしていく作業です。
「ただ綺麗にするだけでなく、そこにあるものを取捨選択する作業が加わる」という点が、整理の特徴です。
また、整理は身の回りの環境を整えるという物理的な場面だけでなく、状況を把握したり、心を整えたりするような抽象的な場面でも使います。
ちなみに、「整」と「理」には、それぞれ下記のような意味があります。
- 整
整える - 理
正す
「整理」の方法
整理は、具体的には下記のような手順で行います。
- 整えたい場所にあるものを全て出す
何があるのかを把握するため - 取捨選択をする
自分なりの基準を決めたうえで、「必要か、不要か」を選別していく - ②で不要と判断したものを捨てる
- ②で必要と判断したものを残す
「必要か、不要か」を判断するのは難しい作業ですが、以下のような点に気をつければスムーズに進みます。
- 「要るもの」「要らないもの」「保留にするもの」を分けて置く
- 「普段使っているか、これからも使うかどうか」を基準に選別する
※1年以上使っていないものは今後使う可能性も低い - 要らないものを捨てたくないときは、メルカリなどで売ってお金に替えるのも1つの方法
「整理」の使い方
整理は、下記のようなときに使います。
- 身の回りを整えるとき
- 状況を把握したり、心を整えたりするとき
それぞれの場面に分けて、例文を見ていきましょう。
①身の回りを整えるとき
身の回りを整えるとき、整理は以下のように使うことができます。
- 部屋を整理したら、物が減ってスッキリした。
- 資料を整理してくれますか?不要になったものはシュレッダーにかけておいてください。
- 祖父は、終活として身辺整理を始めた。
- 君のスマホはアプリが多すぎるから、一度整理したほうがいいよ。
- 我が社では、人員を整理することになった。
- この道路は交通整理が徹底されている。
整理は例文⑤⑥のように、ものに対してだけでなく、人や交通に対して使うこともあります。
②状況を把握したり、心を整えたりするとき
状況を把握したり、心を整えたりするとき、整理は以下のように使うことができます。
- いったん状況を整理させてほしい。
- 忙しいときは、いったん仕事内容を整理してみると冷静になれる。
- 気持ちを整理してから返事をします。
「整頓」の意味
ものをきちんと配置して整えること
例:彼の机の上は、いつも整頓されている。
整頓とは、きちんとした場所に配置することで身の回りを整えることです。
「整」と「頓」の両方に「ととのえる」という意味があります。
整理とは異なり、整頓には「要らないものを捨てる」という作業は含まれません。
「整頓」の方法
整頓をする際には、それぞれのものを置く場所を決めましょう。
よく使うものを一番手の届きやすい場所に置くと取り出しやすいです。
使ったら元の位置に戻し、簡単に収納できるようにすると便利です。
「整頓」の使い方
整頓は以下のように使うことができます。
例文を見てみましょう。
- 彼の机の上は、いつも整頓されている。
- キッチン用品を整頓した。
- 母は整頓が上手だ。
「整理整頓」の意味
整理と整頓を組み合わせた「整理整頓」という言葉があります。
整理整頓とは、整理をしたうえで整頓することです。
つまり、「要るもの・要らないものを選別したうえで、要るものを綺麗に片付ける」という作業です。
「整理整頓」の方法
整理整頓は、具体的には下記のような手順で行います。
- 整えたい場所にあるものを全て出す
何があるのかを把握するため - 取捨選択をする
自分なりの基準を決めたうえで、「必要か、不要か」を選別していく - ②で不要と判断したものを捨てる
- ②で必要と判断したものを残す
↓
「整理整頓」の使い方
整理整頓は文のなかで、下記のように使うことができます。
- 勉強机の周りを整理整頓したら、勉強の効率が上がった。
- 整理整頓を常に心がけよう。
- 整理整頓ができる人は優秀だ。
「整理整頓」を習慣化するメリット
整理整頓を心がけると、身の回りが常に綺麗になるだけでなく、以下のようなメリットもあります。
- 時間に余裕が生まれる
モノを探す時間を省くことができるため - 普段の掃除の手間が減る
いつも身の回りが整っているため - 短時間で決断する力が身につく
「これは要るものか、要らないものか」と習慣的に決断しているため - お金の無駄遣いが減る
持ち物を全て頭に入っており、余計な買い物をしなくなるため
このように、整理整頓にはさまざまな効能があります。
習慣化するのが難しいと感じる場合は、「1日1カ所を10〜15分ほどの短時間で整理整頓する」というところから始めてみましょう。
補足:「5S」の意味
整理や整頓と関連する言葉に、5Sというものがあります。
5Sとは、下記の5つの頭文字をとった言葉です。
- 整理
ものを捨てる - 整頓
ものをきちんと配置する - 清掃
綺麗に掃除する - 清潔
綺麗に保つ - しつけ
ものを綺麗に使うような習慣をつくる
つまり、5Sは、整理整頓に、「掃除」や「清潔に保つ心がけ」なども加わったかたちなのです。
さまざまな会社で、作業効率を上げるために、職場環境における5S活動が取り入れられています。
「整理」と「整頓」の違いのまとめ
以上、この記事では、整理と整頓の違いについて解説しました。
- 整理
乱れた状態を、無駄なものを捨てて整えること - 整頓
ものをきちんと配置して整えること
整理と整頓の違いを意識せずに使ってしまっていた場合は、この機会に明確に使い分けられるようになりましょう。