日本は西洋などとは違った独自の文化を発達させてきましたよね。
しかし、不思議なもので、お互いに存在を知らなかったのにも関わらず、似たようなものが西洋と日本とでそれぞれ生まれてしまう場合もあります。
例えば、日本には「弓道」というものがありますが、これと似た西洋の競技として「アーチェリー」があります。
そして、「弓道」と「アーチェリー」は同じようなものと考えている人も多いと思います。
確かに、弓を引いて的にあてるという点は同じです。
しかし、それ以外の部分は全然違うのです。
そこで、今回は「弓道」と「アーチェリー」の違いについて解説していきたいと思います。
結論:目的が異なる
一方、「アーチェリー」は西洋式の弓を引いて的にあてるスポーツです。
つまり、「弓道」と「アーチェリー」では目的が異なるのです。
「弓道」をもっと詳しく
「弓道」は日本式の弓を引いて的にあてる競技で、武道でもあるので精神を鍛えるという目的があります。
そして、弓道はスポーツというより、精神を鍛えるという側面が大きいでしょう。
ちなみに、弓道の弓は昔から発達しておらず、技術力がないとなかなか的にあたらないので、正しく弓を引くための型を極めるのが重要です。
的への的中率は、3年以上の経験がある人でも、50%~75%程度と言われています。
また、的の前で引けるようになるまでには週に5日練習しても2~3か月かかるのが一般的です。
そして、弓道は的にあたるかどうかを〇×判定で競います。
そのため、中心に近いほど点数が高いというわけではありません。
ここからは弓道の歴史、弓、競技方法、矢の通り道、弓の引き幅、服装について解説していきたいと思います。
弓道の歴史
日本人は縄文時代から狩りに矢を使っていましたが、当時は競技というよりは実用的な意味合いが強かったです。
そして、平安時代になると、弓術という弓を引く技術が発展してきて、これがのちの弓道の土台になりました。
ちなみに、弓は神器としても用いられてきました。
そして、弓道という競技が正式に生まれたのは明治時代のことでした。
弓道の弓
弓道で使う弓は和弓(わきゅう)と呼ばれます。
そして、和弓は長めの弓であり、上の部分が長くて下は短く、上下非対称です。
ちなみに、和弓では下から三分の一程度のところを握ります。
なぜなら、その位置がもっとも弓の反動を抑えることのできる場所だからです。
弓道の競技方法
弓道では一般的には28m先の的に矢を8本引き、当たった矢の本数を競います。
そして、1ターンで4本の矢を引きますが、この4本がすべて当たることを「皆中(かいちゅう)」と呼びます。
ちなみに、「皆中」が起こると拍手が起こったりします。
それほど、弓道で的に矢を的中させるのは難しいのです。
ちなみに、もし8射終わった時点であたった本数が同じだった場合、サドンデス方式で試合が行われます。
つまり、1射ずつ行い、点数に差がついた時点で試合終了になるのです。
ちなみに、弓道はスポーツであるというよりは武道なので、弓を引く時の美しさが重要です。
そのため、弓道の理解や弓を引く一連の動作、矢を射る技術などを見る審査もあり、これに合格すると段位がもらえます。
また、弓道で弓を引く姿は美しいので、結婚式などで演武として行われることもあります。
弓道の矢の通り道
弓道では矢を弓の右側につがえます。
そして、矢は弓の右側を飛んでいきます。
弓道の矢の引き幅
弓道では矢を耳の後ろまで引きます。
ちなみに、引いている途中で矢がこぼれてしまってもやり直すことはできません。
顎を使って矢を乗せなおし、最後まで引かなければなりません。
弓道の服装
弓道には道着があり、これを着用して競技を行います。
また、袴(はかま)や足袋(たび)なども必要です。
そして、女性の場合にはこれに加えて胸当てが必要です。
ちなみに、服装を一式そろえると1万円くらいになります。
「アーチェリー」をもっと詳しく
「アーチェリー」は西洋式の弓を引いて的にあてるスポーツです。
的の中心に近い場所に当たるほど高い点数になる点数制です。
そして、アーチェリーの弓はどんどん進化してきているので、弓道よりも圧倒的に命中精度がいいです。
そのため、的にあたるのは当たり前ですが、集中力と技術力でいかに的の中心近くにあてるかが重要になります。
つまり、アーチェリーはひたすら命中精度を追い求めるスポーツなのです。
ちなみに、アーチェリーは初心者に優しく、素人でもすぐに的の前で引くことができますし、的にもあたります。
そのため、スポーツセンターなどにもアーチェリーができる場所があります。
ただ、命中精度を上げるためには多くの練習が必要になります。
ここからはアーチェリーの歴史、弓、競技、矢の通り道、引き幅、服装について見ていきましょう。
アーチェリーの歴史
日本と同じように、世界各国でも、石器時代から弓矢が用いられてきました。
そして、弓矢は狩りの道具であると同時に武器でもありました。
その後、アーチェリーが競技化されたのは16世紀のことでした。
16世紀のイギリスにおいて、ヘンリー8世がアーチェリーのコンテストを開催したのです。
これがきっかけになってアーチェリーは競技として広まっていきました。
ちなみに、日本でアーチェリーが行われるようになったのは1950年からだと言われています。
アーチェリーは戦後に西洋から入ってきたのです。
アーチェリーの弓
アーチェリーの弓は洋弓(ようきゅう)と呼ばれるタイプの弓です。
そして、洋弓は上下対称であり、弓の中央部分を握ります。
ちなみに、洋弓にはさまざまな種類があります。
例えば、オリンピックで使われる弓はリカーブボウと呼ばれます。
また、洋弓にはそれ以外にもコンパクトボウ、ベアボウなどの種類があります。
そして、洋弓には命中精度を高めるためにさまざまな部品が装備されています。
例えば、スタビライザー、サイト、クリッカーなどです。
このうち、スタビライザーとは、発射時の反動を吸収するための部品です。
これがあるとブレが少なくなり、安定して同じ場所に矢を放つことができるようになります。
また、サイトとは、正確に照準を定めるための補助具です。
そして、クリッカーとは弓を引ききった時の長さを安定させる道具です。
アーチェリーの競技
アーチェリーでは、的との距離が30m,50m,70m,90m(女子は30m,50m,60m,70m)の4種類があり、それぞれの距離で36射、合計144射行い、点数制で勝敗を決めます。
ちなみに、真ん中は10点であり、そこから外に行くにつれて9点、8点と下がっていきます。そして、的から外れると0点になります。
ちなみに、アーチェリーの的は射る人との距離によって大きさが変わります。
30m,50mの時の的の大きさは直径80㎝ですが、60,70,90mの時は直径122㎝なのです。
そして、アーチェリーにはさまざまな競技があります。
例えば、上で解説した競技はもっとも一般的なもので、ターゲットアーチェリーと呼ばれます。
また、そのほかにもフィールドアーチェリー、インドアアーチェリー、スキーアーチェリーなどがあります。
アーチェリーの矢の通り道
アーチェリーでは矢を弓の左側につがえますが、洋弓の中心の矢の通り道はえぐれていて、まっすぐ中心を通ります。
そのため、和弓と比べてずっと狙いやすいです。
アーチェリーの矢の引き幅
アーチェリーでは矢をあごまでしか引きません。
また、矢を落としてしまった場合などは、もう一度引き直すこともできます。
アーチェリーの服装
アーチェリーの服装に決まりはないため、私服で行っても大丈夫です。
ただ、団体戦で競技に出る場合にはチームのユニフォームが必要です。
まとめ
以上、この記事では、「弓道」と「アーチェリー」の違いについて解説しました。
- 弓道:日本式の弓を引いて的にあてる競技で、精神を鍛えるという目的がある
- アーチェリー:西洋式の弓を引いて的にあてるスポーツ
「弓道」と「アーチェリー」では逆に共通点のほうが少なかったんですね。
しかし、どちらも立派な競技であることには変わりありません。
テレビで「弓道」や「アーチェリー」の試合がやっていた時には見てみるのもいいかもしれません。