「自首」と「出頭」の違いとは?どっちがどっち?わかりやすく解説

違いのギモン

事件の犯人がとる行動にはいくつかありますが、場合によっては犯人自ら警察署などに赴き、罪を告白することがあります。

そして、このことを表す言葉としては「自首」と「出頭」があげられます。

ニュースなどを見ていると、これらの言葉を聞くこともあるでしょう。

ところで、「自首」と「出頭」は同じ意味の言葉だと思っている人も多いのではないでしょうか。

 

実は、違うんです。

そこで、今回は「自首」と「出頭」の違いについて解説していきたいと思います。

結論:犯人が判明しているかどうかが違う

「自首」と「出頭」とでは犯人が判明しているかどうかが違います。

まず、「自首」とは犯人が判明していない段階で犯人が警察署に行って罪を告白することを指します。

一方、「出頭」とは犯人が判明しているか、ある程度絞り込めてきた段階で犯人が警察署に行って罪を告白することを指します。

「自首」をもっと詳しく

自首とは犯人が判明していない段階で犯人が警察署に行って罪を告白することを指します。

そして、犯人が自首をする理由は自らが犯した罪を悔いているからだと考えられるため、自首は刑法4条に基づく減刑事由となります。ちなみに、自首による減刑を自首減刑と言います。これはそのままですね。

また、自首により共犯者の情報を得ることができる場合もあるので、これも自首が減刑の理由になる根拠になっています。

そして、自首減刑は誠意がある人に対する処置と言うこともできるでしょう。

 

とはいえ、自首による減刑は約束されているわけではありません。自首減刑は「任意的減刑事由」なのです。わかりやすく言うならば、「この理由ならば減刑する理由にしていいよ」という意味なのです。実際に減刑にするかどうかについては裁判官の判断にゆだねられています。

そして、実際にはどちらかというと、法律に定められているから減刑にするというのではなく、裁判官が「情状酌量の余地あり」だと判断して減刑される場合のが多いでしょう。

 

ちなみに、罪だと自身で認識していればどんなものでも自首と言うことができます。

また、自首は罪が軽くなっても無罪になることはありませんが、少しだけ例外があります。

それは内乱、私戦の予備・陰謀についての罪の自首で、この場合にはそもそも犯罪が起こっていないことになるため、罪は免除になります。

 

そんな自首ですが、ただ自首をすればいいというわけではなく、自首をした人が嘘の申告をしたり、自分の責任を否定したりしている場合には自首であると認められません。

そして、自首と言えば警察署の前で行うイメージが強いと思いますが、別の犯罪で捕まっている犯人が別用件の罪を自ら告白した場合にもそれは自首だと言うことができます。

 

ちなみに、自首による減刑という制度はすでに平安時代には制度化されていました。当時、刑法などさまざまな約束事や規則などを定めていた「律令法」によると、以下の2つのことが定められています。

まず、1つめは自首自体が減刑の理由になるということです。

次に、2つめはある罪で捕まった人がまだ発覚していないさらに重い罪の申告をしたら、その罪は罰則の対象にはならないということです。

これは、現在よりも懐が深い制度だと言うことができるでしょう。

「出頭」をもっと詳しく

出頭とは一般的には犯人が判明しているか、ある程度絞り込めてきた段階で犯人が警察署に行って罪を告白することを指します。そして、厳密に言えば、出頭とは官庁などの呼び出しを受けて出かけることなので、警察署だけでなく、裁判所や役所などに行く場合にも出頭と言うことができます。

 

また、出頭にはさまざまな意味があります。

まず1つめは人の名字です。「出頭」という名字が実在するのです。読み方はそのまま「しゅっとう」です。

次に2つめは行政事務で役職についている人の名称です。

また、3つめは他人より才能が抜きんでている人のことです。才能の面で頭一つ抜けているということですね。

そして、4つめは身分が高い人に可愛がられて有名になる人のことです。

ここでは特に警察署へ罪を告白しに行くという意味の「出頭」についてくわしく解説していきたいと思います。

 

上でも述べた通り、出頭とは犯人がすでに判明していたり、ある程度絞り込めてきた段階で自ら罪を告白しに行くことです。

出頭は法律上、減刑の理由にはなりません。出頭は、逃亡する生活が精神的に苦しくなってきた犯人が自らを楽にするために行うことが多いからです。

つまり、自らの犯罪を悔いているからではないと考えられます。

そして、出頭したからといって罪が軽くなることはほとんどありません。

ただ、量刑判断で出頭した事実が被告人の有利な方向に働く場合はあります。

 

ちなみに、犯人だけでなく、重要参考人として追われていた人が自ら名乗り出た場合にもそれは「出頭」だと言うことができます。

また、日本に不法滞在している外国人にも、出頭はおすすめの方法です。なぜなら、自ら出頭することで、出国命令制度の項目に当てはまり、日本に入国できない期間が本来は5年のところが1年になるからです。

しかも、場合によっては特別在留許可が下りることもあります。

 

ちなみに、出頭する際には弁護士をつけるのも手段の1つです。出頭する時に弁護士をつけると、いくつかのサービスを受けることができます。

まずは出頭に同行してくれるというサービスです。犯罪によって弱い立場になっている犯人にとって、弁護士は頼れる味方になってくれます。

次に、必要な書類を作成してくれるというサービスです。やはり行政に関連する書類は煩雑なので、専門家がついてくれると安心ですよね。

そして、今後の対応やすべきことについてアドバイスを受けることもできます。

まとめ

以上、この記事では、「自首」と「出頭」の違いについて解説しました。

  • 自首:犯人が判明していない段階で犯人が警察署に行って罪を告白すること
  • 出頭:犯人が判明しているか、ある程度絞り込めてきた段階で犯人が警察署に行って罪を告白すること

このように、「自首」と「出頭」は全くの別のものです。使い方を間違えてしまうと教養がない人だと思われてしまうかもしれないので、使い分けには注意していきたいですね。

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和佐 崇史
文章を書くこと、読むことが大好きな大学生です。中学2年生で漢検2級を取得するなど、言葉については詳しい自信があります。Webライターとしてはこれまで累計1,000記事以上を執筆してきました。