今回ご紹介する言葉は、熟語の「暗喩(あんゆ)」です。
言葉の意味・使い方・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「暗喩」をざっくり言うと……
読み方 | 暗喩(あんゆ) |
---|---|
意味 | 「〜のようだ」「〜みたいだ」などの言葉を使わずにものをたとえる表現技法 |
類義語 | 比喩、隠喩、直喩など |
英語訳 | metaphor(暗喩) |
「暗喩」の意味をスッキリ理解!
「暗喩」の意味を詳しく
「暗喩(あんゆ)」とは、「〜のようだ」「〜みたいだ」などの言葉を使わずにものをたとえる表現技法のことです。
「暗」という字には、「くらい」という意味のほかに、「あんに」「ひそかに」という意味があります。
また、「喩」という字には「たとえる」「たとえ」という意味があります。
これらが組み合わさり、「あんにたとえる」という意味になるのです。
「暗喩」の例
- 君は太陽だ。
- 雪の肌を持つ少女に出会った。
①の例文では、「君」を太陽にたとえています。
当然「君」は人間であり、太陽ではありません。そのため、「太陽」という言葉はたとえであるということがわかります。
「太陽」は一般的に明るく大きいものですから、「君は、太陽のように明るく大きな存在だ」という意味になります。
②の例文でも同様です。
「肌」は「雪」ではないため、「雪の肌」という言葉はたとえであることがわかります。
この場合、「雪のように白い肌」という意味になります。
このように、「ようだ」「ごとし」などの言葉を使わず、遠回しにたとえをする表現技法が「暗喩」です。
「暗喩」の使い方
- 私は、暗喩を多く使う小説が好きだ。
- この子はまだ幼いから、暗喩で表現しても理解できないと思う。
上記の例文のように、「暗喩」は表現技法のひとつとして、なにかしらの文章や発言を評価するときに使われます。
①の例文でも②の例文でも、「暗喩」という表現技法そのものについて語られています。
「これは暗喩だ」と判断することはあっても、「暗喩」という言葉自体は、日常生活の中ではあまり使われません。
「暗喩」の類義語
暗喩には以下のような類義語があります。
- 比喩(ひゆ):たとえを使う表現方法
- 隠喩(いんゆ):「〜ようだ」などの表現を使わずにたとえること
- 直喩(ちょくゆ):「〜ようだ」などの言葉を使ってたとえること
- 明諭(めいゆ):「〜ようだ」などの言葉を使ってたとえること
- 諷喩(ふうゆ):たとえ話をすることで、遠回しに相手をさとすこと
- 引喩(いんゆ):故事や他人の言葉をたとえとして使い、遠回しに相手をさとすこと
「彼女は、アスファルトに咲いた一輪の花だ。」など、「〜ようだ」「〜みたいだ」「〜のごとし」といった言葉を使わずに表現するのが「暗喩」「隠喩」です。
一方、「彼女は、まるでアスファルトに咲いた花のようだ」「彼女は、アスファルトに咲いた一輪の花みたいだ」と表現するのが「直喩」「明喩」です。
「〜ようだ」など、「たとえである」ということを直接的に表す表現の有無によって使い分けられます。
「諷喩」「引喩」は、どちらも本当に言いたいことではなく、異なる話を使うことで間接的に相手をさとす比喩表現です。
「諷喩」は、たとえを使うことで、相手に伝えにくいことを遠回しに伝える方法です。
「引喩」は、人の言葉や故事成語をたとえとして引用し、遠回しに相手に伝えたいことを伝える方法です。
たとえば、「弘法にも筆の誤り」や「猿も木から落ちる」ということわざは、「どんな名人でも失敗することがある」と伝えるための「諷喩」「引喩」になります。
比喩表現にはさまざまなものがありますが、それぞれの違いをつかんで使い分けていきましょう。
「暗喩」の英語訳
暗喩を英語に訳すと、次のような表現になります。
- metaphor
(暗喩)
metaphorは、「暗喩」「隠喩」という意味のある英単語です。
カタカナ語でそのまま「メタファー」と呼ばれることもあります。
まとめ
以上、この記事では「暗喩」について解説しました。
読み方 | 暗喩(あんゆ) |
---|---|
意味 | 「〜のようだ」「〜みたいだ」などの言葉を使わずにものをたとえる表現技法 |
類義語 | 比喩、隠喩、直喩など |
英語訳 | metaphor(暗喩) |
「暗喩」という言葉は一見難しそうに思えますが、日常的に使っている比喩表現のひとつです。「直喩」など、ほかの比喩表現との違いをしっかりと覚えておきましょう。