「答える」と「応える」の違いとは?意味から使い分けまで解説

違いのギモン

「質問にこたえる」「声援にこたえる」など、頻繁に用いる「こたえる」には、「答える」と「応える」の2つがあります。みなさまは、両者の違いをご存知でしょうか。

以下では、「答える」と「応える」の違いについて解説します。

結論:「答える」はとにかく返事をすることで、「応える」は見合う反応をすること

「答える」は、返事をすることを指します。

一方、「応える」は、自分に向けられた行動に対して、それに見合うだけの反応をすることを指します。

「答える」をもっと詳しく


「答える」とは、返事をすることです。英語では answer と言います。

呼びかけに対して「はい」などと返すこと、または質問や問い合わせに対して説明を返すことを指します。この場合は、熟語で「回答」や「返答」とも言えます。

また、テストなどで、問題を解くことも「答える」と言います。この場合は、その答えが正しいかどうかは問いません。問題として聞かれていることに対して、何らかの説明を返していれば、答えていることになります。

「答える」の使い方

  1. 記者からの質問に答える
  2. アンケートに答える
  3. この質問に対する彼の答え方は独特だった。
①~③のすべてに共通しているのは、返事をしていれば「答える」が成立するという点です。

③の「答え方」は、返事の仕方と置き換えればよいでしょう。

「応える」をもっと詳しく


「応える」とは、周囲からの要求や要望に対して、それに見合う形で反応を示すことを意味します。英語では respond と言います。「答える」との違いは、周囲からの期待などを察して、それと釣り合うような何かを返すという点です。結果として、「応え方」はたくさんあります。

たとえば、「ゴールという結果でサポーターの期待に応えた」という使い方があります。この選手ならやってくれるだろうといったサポーターの期待に対して、ゴールという成果を生み出すことが「応える」に当たります。

また、もしゴールを期待されていた試合で、ゴールできなかった時、一生懸命にプレーしていたとしてもそれは期待には応えなかったことになります。求められたことに対して、それに見合う結果を返すことが「応える」なのです。

 

「答える」と「応える」の明確な違いは、そこに一定の熱量があるかどうかです。

「答える」の場合は、知りたいことを聞き、それに対して返事をするといったように、感情の動きが少ないやり取りが行われます。

一方、「応える」の場合は、きっと成し遂げてくれるだろうといった「期待」などに対して、なんとかやってみせるといった「反応」を返すことになります。意気込みのようなものが、「応える」には存在していることがわかります。

「応える」の他の意味

「応える」には、期待に見合う行動をするということ以外にも、2つの意味が存在します。

1つ目は、外部からの衝撃が、痛みとして強く感じられることです。たとえば、「相手の右ストレートパンチが応えている」といった使い方があります。

2つ目の意味は、心に何かが染み渡る様子です。たとえば、「手紙を読み、母親の優しさが心に応える」などの使い方が考えられます。

以上の2つは、外からの刺激に対して、心が反応を示していることを指しています。周囲の働きかけに見合った反応という点では、「期待に応える」ことと似ていますね。

「応える」の使い方

  1. あの選手は、声援に対して、とびきりにまぶしい笑顔で応えた
  2. この新製品は、消費者のニーズにとことん応えている。
  3. 初めて起用されたあの選手は、監督の要求に見事に応えた

①では「歓声」、②では「消費者のニーズ」、そして③では「監督の要求」といった、熱量のこもった感情が存在しています。それらに対して期待通りの行動をしている様子を「応える」と表現しています。

まとめ

以上、この記事では、「答える」と「応える」の違いについて解説しました。

  • 答える:返事をすること。問題に対して説明を返すこと。
  • 応える:期待に対して、それに見合うだけの反応をすること。
「答える」と「応える」は、単なる問答なのか、それとも期待や要求に何かを返さなければいけない場面なのか、この違いでどちらを用いるかが変わってきます。ぜひ、それぞれの使い方を押さえてみてください。