今回ご紹介する言葉は、熟語の「行脚(あんぎゃ)」です。
言葉の意味・使い方・語源・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「行脚」をざっくり言うと……
読み方 | 行脚(あんぎゃ) |
---|---|
意味 | 目的を持って各地を旅すること |
語源 | 仏教用語から。 |
類義語 | 回遊、巡行、周遊など |
英語訳 | pilgrimage(巡礼の旅、名所などへの長距離の旅)など |
「行脚」の意味をスッキリ理解!
「行脚」の意味を詳しく
「行脚」は、「目的を持って各地を旅すること」を意味する熟語です。もともとは仏教用語でしたが、日常生活で転用されることも多くあります。
仏教用語としての「行脚」は、「僧侶が修行のために諸国を歩き回ること」を意味しています。これが転じて、「徒歩で全国を旅すること」を意味するようになりました。しかし、今ではその旅が徒歩であるかは問わず、「各地を目的を持って旅すること」を意味するのに使われています。
「行脚」の使い方
- 旅先で出会ったのが、行脚の法師だったと知ってとても驚いた。
- 母はお遍路を行脚すると意気込んで、四国へ出発した。
- 次の長期休みは、温泉行脚に使うつもりだ。
- 選挙に当選した彼は、お礼行脚に向かった。
③の例文で使われている「温泉行脚」のように、特定の名詞と「行脚」を組み合わせて、「特定のものを目的に複数の地を訪れること」を指す用法があります。例文にある温泉行脚の他にも、釣り行脚や食行脚という言い回しがあります。
④における「お礼行脚」も「温泉行脚」と同じように「行脚」が使われている例です。「お礼行脚」は、「お詫び行脚」や「謝罪行脚」と並んで、ビジネスの場面で使われることがあるものです。
「行脚」の語源
「意味を詳しく」の節でご紹介したように、「行脚」はもともと仏教用語でした。この節では、仏教用語としての「行脚」について詳しく説明します。
仏教用語としての「行脚」は、禅宗の僧侶が布教や修行のために諸国を旅することを指します。僧侶たちは一定の場所にとどまらないものだとされているため、旅に出るのです。同じような意味を指して、「頭陀(ずだ)」や「雲水(うんすい)」といった言葉もあります。
「あんぎゃ」という読み方は、「行脚」を唐宋音(とうそうおん)で読んだものです。唐宋音とは、鎌倉時代に中国から流入した漢字の読み方を指します。
「行脚」の類義語
行脚には以下のような類義語があります。
- 回遊(かいゆう):あちこちを旅行してまわること
- 巡行(じゅんこう):各地を巡ること
- 周遊(しゅうゆう):各地を旅行して回ること
- 巡覧(じゅんらん):各地を見て歩くこと
- 巡歴(じゅんれき):あちこちを巡り歩くこと
どの熟語も「ある目的のためにいろいろな土地を回って歩く」という意味で、「行脚」と類似しています。
「行脚」の英語訳
行脚を英語に訳すと、次のような表現になります。
- pilgrimage
(巡礼の旅、名所などへの長距離の旅) - tour
(周遊旅行、巡業、遠征) - walking tour
(徒歩での周遊)
「行脚する」は、“go on a pilgrimage” や “travel on foot” という形で表現できます。前者は宗教的な意味合いが強く、後者は「徒歩で周遊する」という意味になります。
まとめ
以上、この記事では「行脚」について解説しました。
読み方 | 行脚(あんぎゃ) |
---|---|
意味 | 目的を持って各地を旅すること |
語源 | 仏教用語から。 |
類義語 | 回遊、巡行、周遊など |
英語訳 | pilgrimage(巡礼の旅、名所などへの長距離の旅)など |
仏教用語から意味が転じた熟語の一つが「行脚」です。日常生活でもよく耳にするものであるため、きちんと意味を理解しておきましょう。