「雨傘(あまがさ)」と「日傘(ひがさ)」は、私たちの生活にとって身近な道具です。
気象の変動が激しい近年では、急に雨が降り始めることが多いですね。いざというときに「雨傘」の用意があると安心です。
また、夏に限らず、紫外線は1年中降り注いでいます。肌を美しく保ちたい方にとっては「日傘」も重要なアイテムといえるでしょう。
ところで、「雨傘」と「日傘」の区別を正確に説明するのは意外にも難しいと感じませんか。そこでこの記事では、「雨傘」と「日傘」の相違点を詳しく解説します。
このページの目次
結論:材質・サイズ・通気性が異なる
- 雨傘:防水機能のある生地。サイズは大きめ。空気を通さない。
- 日傘:紫外線カット機能のある生地。サイズは小さめ。空気を通す。
「雨傘」をもっと詳しく
「雨傘」の材質
「雨傘」は、雨を避けるための傘です。
このため、「雨傘」は水をはじくツルツルとした生地からできています。高感度ナイロン、ビニール、ポリエステルなどが主な材質です。
また、生地の表面はフッ素系の薬剤でコーティングされ、防水加工が施されています。
「雨傘」のサイズ
雨が降っているとき、顔周りだけでなく、衣服や手荷物も雨で濡れないようにしたいですね。
つまり、「雨傘」は体全体をできる限り広く覆う必要のある傘といえます。このため、「雨傘」の傘の部分は大きいのです。
なお、「雨傘」は “石突(いしづき)” のサイズも大きいという特徴があります。
“石突” とは、傘を閉じたときに地面を突くことのできる部分のことです。「雨傘」は、この石突部分が長いのです。
「雨傘」の通気性
「雨傘」は、雨水が漏れないように、水が通らない生地を使用しています。ですから、水だけでなく空気も通さないような仕組みになっているのです。
「日傘」をもっと詳しく
「日傘」の材質
「日傘」は、日差しに含まれる紫外線が皮膚に当たらないようにするための傘です。このため、生地には紫外線をカットする薬剤がついています。
また、「日傘」の生地は「雨傘」の生地のように水をはじく必要はないため、一般的な布が使われています。ポリエステル、シルク、綿、麻が代表的な材質です。
なお、「日傘」はデザイン性を重視するという特徴があるので、フリルなどの飾りがついているものも多くあります。
「日傘」のサイズ
「日傘」は、顔や首、腕といった皮膚が日焼けしないようにするための道具です。荷物や衣服を傘で覆う必要はありませんね。
つまり、「日傘」は全身を覆う傘ではないのです。このため、「日傘」は「雨傘」に比べてサイズが小さいという特徴があります。
また、小ぶりであるということからも分かるように、「日傘」の石突は「雨傘」の石突よりも短いのです。
「日傘」の通気性
「日傘」が最もよく使われる時期は夏です。
夏は紫外線が強いだけでなく、気温も高いですね。暑いなかで「日傘」の中に熱気がたまると、気分が悪くなってしまいます。
このため、「日傘」の生地には肉眼では確認できないほどの小さな穴が空いていて、空気を通すようになっているのです。つまり、「日傘」には通気性が良いという特徴もあります。
補足1:互いに代用することはできるのか
ここまで、「雨傘」と「日傘」の特徴について解説しました。それでは、「雨傘」を「日傘」として、「日傘」を「雨傘」として使うことはできるのでしょうか。
「雨傘」の「日傘」への代用
まず、「雨傘」を「日傘」の代わりに使うことができるのかという点について考えてみましょう。
黒は紫外線をカットすることのできる色です。このため、生地が黒い「雨傘」であれば、「日傘」のように紫外線カット成分が入っていなくても、日差しから皮膚を守ることができます。
つまり、黒色の「雨傘」は「日傘」の代用品になるのです。
ただし、すでに解説したように、「雨傘」の生地は空気を通さないという特徴があります。ですから、「日傘」の代わりとして使っているとき、傘の内部に熱がこもって暑さを感じる恐れがあります。
したがって、「雨傘」は黒いものであれば「日傘」の代わりに使うことができるものの、通気性が悪いというデメリットがあるといえます。
「日傘」の「雨傘」への代用
次に、「日傘」を「雨傘」の代わりに使うことができるのかということについて考えてみましょう。
「日傘」は水をはじくような生地から作られておらず、防水性のある薬剤も使われていません。ですから、「日傘」をそのまま「雨傘」として使うと、生地が水分を含んで傷んでしまいます。
また、「日傘」は空気を通す細かい穴が空いているため、その穴を雨水が通って水漏れを起こす可能性もがあります。さらに、「日傘」は小ぶりな傘なので、覆うことのできる面積が狭く、衣服や手荷物が濡れてしまう恐れもあります。
ただし、「日傘」に撥水(はっすい)スプレーをかければ「雨傘」として使うことができます。
撥水スプレーとは、水をはじく成分を含んだスプレーのことです。市販で売られているため、手軽に入手することができます。
つまり、「日傘」に何も加工をしていない場合は「雨傘」として使うことはできないものの、撥水スプレーで加工すれば「雨傘」としての代用が可能になるのです。
補足2:「晴雨兼用傘」・「雨晴兼用傘」について解説
前項では「雨傘」と「日傘」が互いに代用できるのかどうかについて検討しました。
黒色の「雨傘」は「日傘」の代わりに使うことができるものの、通気性に欠けることがわかりましたね。また、「日傘」は撥水スプレーをかけない限り、「雨傘」としては代用できないということがわかりました。
つまり、あくまでも「雨傘」は「雨傘」として、「日傘」は「日傘」として機能するのです。
しかし、「雨傘」と「日傘」の両方の機能を兼ね備えた傘があるのです。このような傘には、「晴雨兼用傘(せいうけんようかさ)」と「雨晴兼用傘(うせいけんようかさ)」があります。
晴雨兼用傘
「晴雨兼用傘」は、「日傘」に防水加工が施されているものです。生地の内側は防水成分でコーティングされているため、生地が雨を吸って傷んでしまうことがないのです。
雨晴兼用傘
「雨晴兼用傘」は、「雨傘」に紫外線カット加工が施されているものです。
前項で、「日傘」として代用できる「雨傘」は黒いものだけであると解説しました。しかし、「雨晴兼用傘」は、黒以外の色であっても、雨を避けつつ紫外線もカットすることができるのです。
まとめ
以上、この記事では、「雨傘」と「日傘」の違いについて解説しました。あらためて、両者の相違点についておさらいしましょう。
- 雨傘:防水加工のある生地。サイズは大きめ。空気を通さない。
- 日傘:紫外線カット機能のある生地。サイズは小さめ。空気を通す。
また、「雨傘」としか使えないと思っていたものが実は「雨晴兼用傘」で、「日傘」の機能も兼ねている可能性もあります。
普段使っている傘が「雨傘」「日傘」「晴雨兼用傘」「雨晴兼用傘」のうちのどれなのかを理解したうえで、正しく使い分けることが大切ですね。