神社に行くと、「厄年(やくどし)」が書かれた表がありますよね。年齢と生まれ年が合っていないように感じたことはありませんか。
厄年などの場面で目にする年齢の数え方は、ふだん使っている年齢の数え方と異なっています。それぞれ、「数え年」と「満年齢」といいます。では、これらの違いは何でしょうか。
結論:数え年の方が1~2年多くなる
「満年齢」は、生まれたときを0歳とし、誕生日を迎えるごとに1年歳をとります。
ふだん使っているのは、「満年齢」です。数え年は、満年齢より1~2年多く年を数えることになります。
「数え年」をもっと詳しく
「数え年」は、東アジアで伝統的に使われてきた年齢の数え方です。現在では、東アジアの国でもあまり使われていません。
ただし、伝統的な行事などのときには、今でも数え年を使うことがあります。たとえば、厄年は、数え年で数えます。
- 男性の厄年:25歳、42歳、61歳
- 女性の厄年:19歳、33歳、37歳
また、厄年の前後1年も、前厄・後厄として注意すべきだとされます。
では、数え年はどのように数えるのでしょうか。
- 生まれた年を1歳とする
- 次の年から、正月を迎えるごとに1歳年をとる
12月31日生まれの子どもの場合を例に考えてみましょう。12月31日に生まれたときは1歳です。そして、年が明けて翌日の1月1日には、もう1歳年をとって2歳になります。生まれてから2日しか経っていないのに、数え年では2歳となってしまいます。
このように、数え年では最大で2年近くのズレが生じます。なぜ、数え年が使われてきたのでしょうか。
数え年では、正月に全員一斉に年をとるので、誕生日による年齢の違いを考える必要がありません。4月2日生まれから翌年4月1日生まれまでの人を、同じ学年として扱いますよね。これと似た発想だと考えれば、納得できるでしょう。
また、うるう年生まれの問題も解消されます。誕生日に関係なく、全員正月に年をとるためです。「2月29日生まれの人は、誕生日が4年に1回しか来ないから他の人より老化が遅い」という冗談があります。この問題も、正月に年をとることにすれば解決できます。
なお、現在でも数え年が主流の国があります。韓国では、数え年から満年齢に切り替える動きがゆるやかでした。そのため、今でも数え年で年齢を数える習慣が広く残っています。
「満年齢」をもっと詳しく
「満年齢」は、世界的に広く使われている年齢の数え方です。満年齢の数え方を確認しておきましょう。
- 生まれた年を0歳とする
- 誕生日を迎えるごとに1歳年をとる
この、「誕生日を迎える」という部分で、問題が出てきます。うるう年の2月29日に生まれた人は、誕生日が4年に1回しか来なくなってしまいます。
そこで、「誕生日の前日が終わったタイミングで年をとる」ように法律で決められています。0時になった瞬間に友達に「誕生日おめでとう」とメッセージを送ったことがある人も多いでしょう。厳密に考えると、誕生日を迎えた瞬間に、1歳年をとっているのです。
東アジアの各国で、伝統的な数え年から、満年齢への切り替えが進みました。日本では、戦後すぐに法律が作られています。1949年に定められた「年齢のとなえ方に関する法律」を紹介します。
1 この法律施行の日以後、国民は、年齢を数え年によつて言い表わす従来のならわしを改めて、年齢計算に関する法律の規定により算定した年数によってこれを言い表わすのを常とするように心がけなければならない。2 (省略)附則抄1 (省略)2 政府は、国民一般がこの法律の趣旨を理解し、且つ、これを励行するよう特に積極的な指導を行わなければならない。
まとめ
以上、この記事では、「数え年」「満年齢」の違いについて解説しました。
- 数え年:あまり使わない数え方。満年齢より1~2年増える
- 満年齢:現在使われている年齢の数え方