今回ご紹介する言葉は、故事成語の「人後に落つ(じんごにおつ)」です。
言葉の意味、例文、使い方、由来、類義語についてわかりやすく解説します。
☆「人後に落つ」をざっくり言うと……
読み方 | 人後に落つ(じんごにおつ) |
---|---|
意味 | 他人より能力が劣る |
由来 | 李白が流刑中に残した詩『流夜郎に流され辛判官に贈る』より |
類義語 | 引けをとる、後塵を拝すなど |
「人後に落つ」の意味をスッキリ理解!
「人後に落つ」の意味を詳しく
「人後に落つ」とは、人に負けることを意味します。同時に、他人より能力が劣っている状態を指します。
「人後」とは、人の後ろや、人よりも下の位であること、という意味です。
「人後に落ちない」という故事成語もよく使用されます。これは「人後に落つ」と反対で、他人にひけをとらないことを意味します。
「人後に落つ」の例文
- コーヒーの知識にかけては、人後に落つ。
- お酒は好きだが、すぐ酔ってしまう。こればかりは人後に落つのも仕方がない。
「~にかけては」を「人後に落つ」の前につけて使用することが多いです。この言葉を使用するときは、何に対して人より劣るのか、を明確にすることが大切です。
「人後に落つ」の使い方
- A「あなたはダンスがとても上手ですね!今まで出会った人の中で一番よ」
B「ありがとうございます。でも、私の恩師には到底及びません」
A「上手なあなたも、ダンスにかけて人後に落つことがあるのですね」
このように、人後に落つは、必ず二人の人を比較して用いられます。優劣をつけるための言葉です。
「人後に落つ」の由来
「人後に落つ」の出典は李白(りはく)の『流夜郎(りゅうやろう)に流され辛判官(しんはんがん)に贈る』という詩です。
757 年に、李白は安禄山(あんろくざん)一味の反乱軍に加わったという罪を着せられました。犯罪者として、中国の夜郎に流された李白は、当時の心境を友人の辛判官に詠いました。
気岸遥かに凌ぐ豪士の前、風流あえて落ちんや他人の後に
これの現代語訳は、「盛んな心意気は豪傑を遥かに凌ぎ、風流さは人後におちなかった」です。
意味は、「かつては王族と酒を酌み交わし、心意気は豪傑をしのいでいた。風流をたしなむことにかけても人後に落ちていただろうか、いやそんなことはなかった。」です。
李白の心情が描かれています。流刑という逆境にありながら、人には劣っていないという強い心意気が現れています。友人に対して、李白が本音を示した詩であるでしょう。
「人後に落つ」の類義語
人後に落つには以下のような類義語があります。
- 引けをとる:負ける、劣る
- 後塵(こうじん)を拝す:後れをとること
まとめ
以上、この記事では「人後に落つ」について解説しました。
読み方 | 人後に落つ(じんごにおつ) |
---|---|
意味 | 他人より能力が劣る |
由来 | 李白が流刑中に残した詩『流夜郎に流され辛判官に贈る』より |
類義語 | 引けをとる、後塵を拝すなど |
人と比べる時に、「人後に落つ」と使うことが分かりました。セットで「人後に落ちない」の意味も覚えておきましょう。
ぜひ日常生活で使ってみてください。