「恐ろしい」と「怖ろしい」の違いとは?意味から使い分けまで解説

違いのギモン

日常生活で「おそろしい」ものの話をすることが多々あると思います。例えば、外国でよく起こるテロがその一つです。「おそろしい」は漢字での表し方が二通りあります。「恐ろしい」と「怖ろしい」です。この二つは、それぞれ適切な使い方があることをご存知ですか?

自信をもって使い分けることが出来る方は少ないと思います。この記事では、「恐ろしい」と「怖ろしい」の違いを説明します。

結論:「恐ろしい」は「怖ろしい」よりも客観性が強い表現方法

どちらも危険を感じた時に使用します。

「恐ろしい」は、客観的な不安感、程度が甚だしいことです。

「怖ろしい」は、主観的な不安感です。

「恐」と「怖」の意味の違い


まず、漢字の意味に着目してみましょう。

  • :おそろしい様子、危害を与えられることをおそれる様子
  • :心配しておびえる様子、危害を加えられそうで不安な様子、不安で避けたい気持ち

「恐」は、神に対し恐れかしこまるという原義を持ちます。おそれる、かしこまるという意味です。「怖」は、おそれおののくという原義を持ちます。感情的なおそろしさや、恐怖感を表します。

「怖」はより主観的な感情を表していることが意味の違いです。

「恐ろしい」と「怖ろしい」の意味の違い

「恐ろしい」は客観的な表現であり、「怖ろしい」は主観的な表現です。一つの文で二つの漢字を使用してみましょう。

関東大震災は恐ろしい災害で、とても怖ろしいと感じた。

→「恐ろしい」は客観的に地震の度合いを示しています。新聞など第三者の視点から報道を伝える場合は「恐ろしい災害」の表現が適切です。

一方で、地震に対する個人の感じ方を示す場合は「怖ろしい災害」の表現が適切です。ある個人が身に危険を感じたり、主観的な感情を示すことが出来るため、「怖ろしいと感じた」と使用します。

彼の恐ろしい殺人計画を知って、怖ろしくなった。

→「恐ろしい」は計画の危険性の高さを客観的に示しています。程度のはなはだしさを表しています。「恐ろしい」計画に対する個人の感情が「怖ろしい」です。恐ろしい計画を知って何を感じるかは人それぞれです。そのため、「怖ろしい」は主観に基づく感情であると言えます。

夜道で恐ろしい痴漢に遭遇し、怖ろしかった

→この場合も「恐ろしい」は痴漢の危険さを客観的に示しています。痴漢に遭遇した個人が感じる思いが「怖ろしい」と表されます。やはり、「怖ろしい」は主観的な表現であることが分かると思います。

「恐ろしい」と「怖ろしい」の適切な使用例

以下では、正しい例と誤りの例を提示していきます。「恐ろしい」と「怖ろしい」の適切な使い分けを確認しましょう。

〇 今年の夏は恐ろしく暑い。
✕ 今年の夏は怖ろしく暑い

→「恐ろしい」は程度のはなはだしさを表しています。。

怖いもの見たさで動画をダウンロードした。
恐いもの見たさで動画をダウンロードした。

→「こわい」と感じるのは個人の感情によるため、「恐い」よりも主観性の強い「怖い」が適切です。

〇 小さい子供は怖いもの知らずだ。
✕ 小さい子供は恐いもの知らずだ。

→二番目の例と同じ道理です。「こわい」物を感じないのは個人であるため、「恐い」よりも主観性の強い「怖い」を使用する方が正しいです。

〇 こんな怖ろしい経験は初めてだ。
✕ こんな恐ろしい経験は初めてだ。

→経験をしたのは個人であるため、主観性を示す「怖ろしい」と表現する方が適切です。

日常生活でよく使用する文節を主に提示しました。比べてみると、「恐ろしい」は客観的に、「怖ろしい」は主観的な場面で使用されていることが明らかです。

まとめ

以上、この記事では「恐ろしい」と「怖ろしい」の違いを説明しました。

  • 恐ろしい:客観的な不安感、危険の程度が甚だしいこと
  • 怖ろしい:主観的な不安感

どちらも危険な状態の時に使用する言葉ですが、違いが存在することが分かりましたね。ぜひ、日常生活から正しく使用しましょう。