正しく使おう!「勧める」「奨める」「薦める」の違い

違いのギモン

「勧める」「奨める」「薦める」の3つの言葉を見比べてみましょう。

「すすめる」と読む点が共通していますね。また、一見すると、どれも意味が似ているように感じられます。

あなたはこれらの言葉を正しく区別することができますか。この記事では、「勧める」「奨める」「薦める」の相違点や使い方について解説します。

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結論:「薦める」だけ違う意味をもつ

「勧める」と「奨める」は同じ意味をもちますが、「薦める」は、他の2つの言葉とは異なる意味をもちます。

「勧める」の意味と使い方


「勧める」には3つの意味があります。1つ目は、 “人にはたきかけて、ある行為を促す” という意味です。

春になると、学校の上級生たちは、新入生に「私たちの部活で、ぜひ一緒に活動しませんか?」と話しかけます。入部を促すためにはたきかけていますから、これは、部活に入ることを「勧める」例だといえます。

なお、この意味での「勧める」は、「勧誘」という熟語に置き換えることもできます。熟語にも “勧” という字が入っていますね。

 

2つ目は、 “物を相手に差し出して、その利用を促す” という意味です。この意味を用いた例として、「椅子を勧める」という表現が挙げられます。

これは単に、「どうぞ座ってください」という気持ちで椅子を差し出して、利用を促しています。その椅子がどれだけ高性能であるのかを理解してもらうために相手を座らせるのではありませんね。

ですから、「勧める」がもつ2つ目の意味に当てはまっています。

 

3つ目は、 “指導する立場にある人物や機関が、ある人物の優れた行動などを評価し、励ます” という意味です。例として、「総理大臣が工業を勧める」という文について考えてみましょう。

これは、様々な産業の動きに指示を出す総理大臣が、工業に従事している人々の仕事を評価し、国の工業がより発展していくように励ましていることを意味しています。「勧める」の3つ目の意味に当てはまっていますね。

つまり、「勧める」には次のような意味があるのです。

  • 人にはたらきかけて行為を促す
  • 物を差し出し、その利用を促す
  • 指導者が、ある物事を評価して励ます
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「奨める」の意味と使い方


「奨める」は「勧める」と同じく、以下3つの意味をもちます。

  • 人にはたらきかけて行為を促す
  • 物を差し出し、その利用を促す
  • 指導者が、ある物事を評価して励ます

ですから、「奨める」の意味や使い方は、「勧める」と同じなのです。

 

「勧める」との微妙な相違点として、以下の2点が挙げられます。

まず、 “人にはたらきかけて行為を促す” という意味で使う場合、「奨める」は「勧める」よりも語気が弱いという特徴があります。ですから、その絶妙なニュアンスを表現したいときには、「奨める」と書くと効果的といえます。

また、 “指導者が、ある良い行為を評価して励ます” という意味を熟語で表すと「奨励」となります。

ですから、この意味を表したい場合には、「勧める」よりも「奨める」と書く方が意味が分かりやすくなりますね。読み手がすぐに「奨励」を連想することができるからです。

しかし、 “奨” という字は常用漢字ではないため、基本的には「奨める」ではなく「勧める」と表記するようにしましょう。特に、正式な文書などでは「勧める」を使う必要があります。

「薦める」の意味と使い方


「薦める」には、 “応援している人や物の良さを他人にアピールして、それらが採用されるようにはたきかける” という意味があります

あなたが、Aさんに市長になってもらいたい思っているとしましょう。

あなたは周囲の人に、Aさんがいかに優れた人物であるかということを説明し、市長選挙でAさんに投票するようにはたきかけますね。これを、「Aさんを市長に薦める」といいます。

 

なお、この意味で用いる際には、「薦める」は「推薦」するという熟語に置き換えることもできます。熟語にも “薦” という字が入っていますね。

人や物の良いところを相手に伝えて、相手の行動を促すという点では、「勧める」「奨める」の1つ目の意味に似ています。しかし、「薦める」が「勧める」「奨める」と異なるのは、応援している人や物が “何らかの役職や立場に選ばれること” を最終目的にしているという点なのです。

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補足:「進める」の意味


「すすめる」と読む言葉には、「勧める」「奨める」「薦める」の他にも「進める」というものがあります。「進める」は以下の6つの意味をもちます。

  • 物を前に移動させる
  • 地位をあげる
  • 物事の状態をより良くする
  • 物事をはかどらせる
  • 時計の針を動かして、先の時間を示すようにする
  • 欲望を後押しさせる

「進める」は、他の3つと比べて意味が理解しやすいという印象があります。しかし、意外にもたくさんの意味があり、複雑な言葉であることがわかりますね。

まとめ

以上、この記事では、「勧める」「奨める」「薦める」の違いについて解説しました。最後に、3つの言葉の意味をおさらいしましょう。

  • 勧める(常用漢字):行為を促す・物の利用を促す・評価して励ます
  • 奨める(非常用漢字):行為を促す・物の利用を促す・評価して励ます
  • 薦める:人や物が採用されるように促す

3つとも読み方は同じですが、意味や用途に違いがあるのです。これからは、パソコンやスマートフォンで「すすめる」と入力するとき、「勧める」「奨める」「薦める」の3つが予測変換に登場したとしても、もう迷うことはありませんね。

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