「先進国」と「発展途上国」という言葉を聞いたことはありますか。どちらも、国の発展度合いを漠然と表していることは分かると思います。
しかし、「先進国」の反対であれば、「後進国」なのではないでしょうか。「後進国」という言葉もありますが、「発展途上国」とはどのような違いがあるのでしょうか。
実はそれぞれの意味や、厳密な定義など、よく理解できていない部分も多いと思います。今回は、そんな「先進国」と「発展途上国」の違いについて、解説します。
結論:「先進国」は経済発展済み、「発展途上国」は経済発展前
「先進国」とは、経済・技術・生活水準が発達している国です。
一方、「発展途上国」とは、経済・技術・生活水準が未発達な国です。
一言で言うと、「先進国」は豊かな国、「発展途上国」は伸びしろがある国です。
「先進国」をもっと詳しく
「先進国」とは、生産力・経済規模・技術等が発展しており、国民の生活水準が高い国です。簡単に言うと、「豊かな国」ということです。
英語では、 “advanced country” といいます。 “advanced” には、「進んだ、進歩的な」という意味があります。つまり「先進国」は、「他の国より進んだ国」ということができます。
具体的に、「先進国」かどうかを明確に分ける基準はありません。しかし、主な国の首相が集まる「主要国首脳会議」に参加するような国は、代表的な「先進国」であるといえます。ちなみに、次にあげる国がG7(ジーセブン)、あるいはG8(ジーエイト)と呼ばれる「先進国首脳会議」参加国です。
- フランス
- アメリカ
- イギリス
- ドイツ
- 日本
- イタリア
- カナダ
- ロシア(現在参加停止中)
また、OECD (経済協力開発機構)加盟国を「先進国」とする場合もあります。OECD とは、「発展途上国」の支援や貿易自由化の推進、経済成長の促進を活動内容とする組織です。
現在では35カ国が加盟しています。加盟国には、比較的裕福な国が集まっているため、「先進国クラブ」と呼ばれることもあります。
「先進国」は、治安が良い、公共サービスが発達している、教育・医療・福祉のレベルが高い、国民の将来の進路の選択肢が広い、などのメリットがあります。また、政治体制や経済状況が安定していることが多いため、比較的暮らしやすい傾向にあります。
一方、都市部への人口集中やそれに伴う諸問題(交通渋滞・ゴミ処理)、公害など、「先進国」だからこそ向き合わなければならない問題も複数あります。また、もう既に高いレベルに発展し終えているため、爆発的な経済成長の可能性は低いです。
「発展途上国」をもっと詳しく
「発展途上国」とは、一言で言うと「貧しい国」です。すなわち、生産力が低く、経済発展・技術等が、比較的遅れている国のことです。先進国の支援を受けていることが多く、国民の生活水準は低いです。
「開発途上国」と呼ぶこともあります。以前は「後進国」「低開発国」と呼ばれていましたが、差別的な呼び名であるとして、改められました。
しかし、一口に「発展途上国」といっても、特に発展が遅れている「後発開発途上国」もあれば、現在経済成長を遂げている「新興国」もあります。「発展途上国」となる厳密な定義もないため、「先進国」同様に曖昧な概念であるといえます。
「発展途上国」の特徴として、一次産業の割合が高いことがあります。例えば、農作物や木材、海産物など、自然で獲れたものをそのまま輸出していることが多いです。この理由として、加工し、付加価値をつける技術が未だないことがあげられます。
「発展途上国」は、具体的にはバングラデシュやエチオピア、ウガンダなどが該当します。
また、「発展途上国」であった国が急速に経済発展をし、「先進国」へと近づく場合があります。このような国を、「中進国」や「新興工業経済地域」といいます。
現状では中国、タイ、ブラジル、インドネシアなどが「中進国」として挙げられます。
まとめ
以上、この記事では、「先進国」と「発展途上国」の違いについて解説しました。
- 先進国:経済・技術・生活水準が発達している国
- 発展途上国:経済・技術・生活水準が未発達な国
「先進国」と「発展途上国」に、厳密な定義はありません。しかし、一般教養として、それぞれの代表的な国名はいくつか挙げられるようにしましょう。