日本語の「いたむ」には、「痛む」と「傷む」があります。心が「いたむ」、服が「いたむ」などと言う時にどちらを用いればよいか迷う方は多いかもしれませんが、実は両者には明確な違いがあります。
今回は「痛む」と「傷む」の違いについて解説します。
結論:1番の違いは「いたむ」対象
「痛む」は、人間が肉体的な痛さや精神的な苦しみを感じるとき、また金銭的に痛手を被ったときに使われます。一方、「傷む」は、物が傷ついたり、また食べ物が傷ついて腐ったりしたときに使われます。
「痛む」について
「痛む」は、肉体的また精神的に苦しみや打撃を受けた時に使われます。また、金銭的に余裕がなくなって精神的に苦しくなる時も「痛む」を用います。ポイントは、「いたむ」対象が人であるということです。人でないものが主語になる場合は「痛む」を用いません。
「痛む」の使い方の例
- 転んで擦りむいたところが未だに痛い。
- あの出来事を思い起こすと胸が痛む。
- 懐が痛む。
➌は、出費がかさみ、所持金が減ることです。
「傷む」について
「傷む」とは、建物や衣服が傷ついて損なわれたり、食べ物が傷ついて腐ったりすることを言う時に使われます。ポイントは、「いたむ」対象が物であるということです。人が主語の場合は「傷む」とは言いません。
「傷む」の使い方の例
- 靴が傷む。
- 傷んだ食材を捨てる。
- 髪の毛が傷む。
➌は「痛む」と間違えやすい例です。髪の毛は人の身体のものですが、この場合、髪の毛が痛みを感じるということではなく、髪の毛が傷ついた状態のことを言っているため「傷む」を使います。
「傷心」について
「傷心」という言葉は人間に対して使う言葉にもかかわらず「傷」という字を用いていることに疑問を持たれた方がいらっしゃるかもしれません。
ただ、傷心の傷は「傷む」ではなく「傷つく」の意味です。そのため、傷心を言い換えると、「痛められた」心になります。
まとめ
以上、この記事では、「痛む」と「傷む」の違いについて解説しました。
- 痛む:人が肉体的または精神的に苦しみを感じる。また金銭的に痛手を被る。
- 傷む:物が傷つく。食べ物が腐る。