アカウンタビリティとは「説明責任、企業や専門知識を持った人などが報告を行う義務」という意味です。
ビジネスでもよく使用する表現ですが、中には意味が分からない人もいるでしょう。
そこで今回はアカウンタビリティの意味や使い方を丁寧にわかりやすく解説します。
このページの目次
「アカウンタビリティ」の意味
説明責任、企業や専門知識を持った人などが報告を行う義務
例:アカウンタビリティを果たす。
ある人が権限を持って行っている事業などによって、影響を受ける人々に対して説明の責任があることを指します。
たとえば、ある企業の事業が上手くいかなかったとします。
株主は企業の売り上げなどの影響を受けるので、企業が今の経営状況がどうなっているのかを説明することがアカウンタビリティです。
アカウンタビリティは微妙に違う別のニュアンスでも使用することも覚えておきましょう。
細かく分類すると、以下のようになります。
- 情報を速やかに開示して透明さを保つ責任
- 指針や方針を関係者に理解してもらう責任
- 結果について説明・報告する責任
また、分野ごとに意味が異なるのでそれぞれ詳しく見てみましょう。
福祉での意味
社会福祉でアカウンタビリティは、「福祉系のサービスを利用する人に対して、サービスの提供側がサービス内容などを説明する責任があること」を指します。
特にサービスを契約するときに、利用者に対してきちんと説明することを指します。
社会福祉法第76条にも、契約時に説明をきちんと行う努力義務があることが書かれています。
医療や看護での意味
医療や看護分野でアカウンタビリティは、「医者が患者に対して病気の治療法や処置について説明する責任があること」を指します。
医療の分野では、専門的な知識が必要なので一般の人では理解できないことがたくさんあります。
それを専門的知識を持った医者の立場から患者に対してわかりやすく説明するのがアカウンタビリティです。
教育での意味
教育分野でアカウンタビリティは、「学校が、学校のカリキュラムや活動内容を関係者に説明すること」を指します。
学校は通っている学生や保護者だけではなく、地域住民の協力もあって成り立っています。
そこで関係者に対して学校の詳細な情報を公開するのがアカウンタビリティです。
人事での意味
企業の人事ではアカウンタビリティは、「個人の職務を果たす責任で、そのために個人が取った言動を説明する義務」として使用しています。
たとえば、企業では個人ごとに仕事が割り振られて、それぞれのやるべきことが明確になっています。
そのやるべきことの進歩状況や、現在何をしているかを報告することがアカウンタビリティです。
情報セキュリティでの意味
情報セキュリティではアカウンタビリティは、「システムの変更について、誰がいつどのような操作を行ったか調べられること」という意味です。
システムのログや改ざんが不可能な状態にすると、より一層アカウンタビリティの質が向上します。
「アカウンタビリティ」の必要性
各分野でアカウンタビリティが必要な理由は以下の通りです。
分野 | 必要な理由 |
---|---|
福祉 | 福祉サービスの利用者に対して安心して利用してもらうため |
医療や看護 | 医療知識を持たない患者がわかりやすく理解するため |
ビジネス | ①正当に人事を評価するため ②社会的責任を果たし企業のイメージを改善するため |
教育 | 教育関係者から教育方針に対しての理解を得るため |
情報セキュリティ | 不正や改ざんを防止するため |
どの分野でもアカウンタビリティは、誰かに対して何かを説明することです。
そして、相手を納得させて起こっていることを理解してもらいます。
どの分野でも、よりよい結果や相手との関係性を良好にするために、アカウンタビリティが必要です。
「アカウンタビリティ」の使い方
アカウンタビリティは、福祉や医療、ビジネス、教育といった分野で使用します。
その中で「説明責任」と言いたいときに「アカウンタビリティ」を使うことが多いです。
特に以下のように使用します。
- アカウンタビリティを果たす
- アカウンタビリティを求める
実際によく使う分野ごとに使い方の例を見てみましょう。
福祉分野で使う場合
福祉分野でアカウンタビリティを使用する場合、以下のように使用します。
- 介護を受ける人に説明してアカウンタビリティを果たす。
- 福祉のサービスはアカウンタビリティが重要である。
- アカウンタビリティをきちんと果たしているサービスを選ぶ。
医療分野で使う場合
医療分野でアカウンタビリティを使用する場合、以下のように使用します。
- 医者にアカウンタビリティを求める。
- 医者としてのアカウンタビリティを果たすことが重要だ。
- 手術内容が難解であるほど、アカウンタビリティが大切になる。
ビジネスで使う場合
ビジネスでアカウンタビリティを使用する場合、以下のように使用します。
- 経営者にもアカウンタビリティスキルが求められる。
- 経営者は経営状況を説明してアカウンタビリティを果たすべきだ。
- 今回の不祥事について、消費者にアカウンタビリティが必要になる。
教育で使う場合
教育でアカウンタビリティを使用する場合、以下のように使用します。
- 新しいカリキュラムについてのアカウンタビリティを果たす。
- 学校は企業経営と同じくらいアカウンタビリティが重要だ。
- 保護者が学校に対してアカウンタビリティを求める。
「アカウンタビリティ」の語源
アカウンタビリティの語源は英語の“accountability”で、意味は「説明責任」です。
“accountability”は1960年代のアメリカで誕生したと言われており、“accounting”(会計)と“responsibility”(責任)が一緒になってできました。
そのため、経済学用語であり、主に以下のように使われていました。
- 経営者が株主や投資家に経営状況や財務内容を説明する義務
- 企業が利害関係者に対して経営の状況を説明する責任
ここから発展して、経済学以外のさまざまな分野でも使用するようになりました。
「アカウンタビリティ」の方法
アカウンタビリティは以下の手順を踏むと果たしやすくなります。
- 目標を達成してどんな結果を得たいか明確にする
- 満足いく結果のためにどんな目標が必要か明確にする
- 目標を達成するためにどんな行動が必要か考える
- 目標達成の取り組みに必要な財源や資源を考える
- 予想されるトラブルと対策を考える
- 計画と実行のサイクルを見直す期間を設定する
この手順で実行すれば、最終的なゴールや目標、それに対する日々の取り組みなどが明確になります。
説明を求められたときに、こちらの順番で説明を行えばアカウンタビリティを果たせます。
また、何かトラブルが発生した場合には、改善策を一緒に提示するとよいでしょう。
「アカウンタビリティ」の関連語
アカウンタビリティの関連語には以下のようなものがあります。
- ステークホルダー
利害関係者 - コーポレートガバナンス
企業統治 - モニタリング
監視すること - インフォームド・コンセント
治療前に患者や家族の合意をもらうこと - レスポンシビリティ
責任 - ムンテラ
治療方針を患者や家族に説明して納得させること - パターナリズム
医者が治療方針を決定して患者が従って治療を行うこと
「アカウンタビリティ」と「インフォームド・コンセント」の違い
特にアカウンタビリティとインフォームド・コンセントの違いが重要です。
アカウンタビリティは治療の過程と結果をきちんと丁寧に説明することです。
一方で、インフォームド・コンセントは医者が治療方法や方針を患者や家族に説明して、同意をもらうことです。
「アカウンタビリティ」と「レスポンシビリティ」の違い
アカウンタビリティと混同しやすい語にレスポンシビリティがあります。
- アカウンタビリティ:成果責任
物事を実行して、結果がどうなったかについて報告して責任を負うこと - レスポンシビリティ:実行責任
物事を実行する、行動そのものについて責任を負うこと
アカウンタビリティは、プロジェクトなどを実行してそれがどうなったのか、結果を中心に責任が発生することです。
一方で、レスポンシビリティはプロジェクトなどを実行する際、行動をしたかどうかについて責任が発生することです。
「アカウンタビリティ」のまとめ
以上、この記事ではアカウンタビリティについて解説しました。
読み方 | アカウンタビリティ |
---|---|
意味 | 説明責任、企業や専門知識を持った人などが報告を行う義務 |
必要性 | 福祉:福祉サービスの利用者に対して安心して利用してもらうため 看護や医療:医療知識を持たない患者がわかりやすく理解するため ビジネス:①正当に人事を評価するため ②社会的責任を果たし企業のイメージを改善するため など |
語源 | 英語の“accountability” |
方法 | 目標を達成してどんな結果を得たいか明確にする 満足いく結果のためにどんな目標が必要か明確にする 目標を達成するためにどんな行動が必要か考える など |
関連語 | ステークホルダー コーポレートガバナンス モニタリング など |
アカウンタビリティはビジネスでよく使う単語です。
特に企業の透明性が重視される最近では非常によく使います。
ぜひ、この記事を参考にして意味や使い方を覚えましょう。