「英語の成績が、ようやく平均点をこえた」という文の「こえる」は「超える」と「越える」のどちらの単語を使うのか、考えたことはありますか。
どちらの漢字もよく見かけると思いますが、果たしてこの例文の場合、どちらの単語を使うのが正しいのでしょうか。
この記事では、「超える」と「越える」の使い分けについて詳しく解説していきます。「英語の成績が、ようやく平均点をこえた」にはどちらの漢字が当てはまるのか、考えながら読み進めてみてください。
結論:基準を上回るのか、時間や場所が過ぎるのか
まず、この二つの単語は意味がとても似通っていて、一部の辞書には同じ言葉として扱われている場合もあります。しかし、それぞれの単語を使う状況に違いがあるので、その差を説明していきます。
「越える」とは、ある時間や場所を過ぎたり、物体がある境界を過ぎた先へいくことです。
「超える」とは?
超えるは、ある一定の基準値を上回ることです。そもそも、「超」と言う漢字は、一定の範囲を超えた状態を表すことが多いです。わかりやすく言うと、年齢や金額、時間などの数値が限界を上回った時に「超える」という漢字を用いるのです。
その他にも、予想や想像、目標などの枠組みを上回る時にも使われます。
「超える」の使い方の例
- 最高気温が三十度を超える日、街ゆく人々の七割はサンダルを履いている。
- 年収が八百万を超える人でないと、結婚は許さないと父が言った。
- 想定を超える来客数で、お店はてんてこ舞いになった。
「越える」とは?
越えるは、物体が境界の先に行くことや、時間が通り過ぎることです。そもそも、「越」と言う漢字は、時間や場所を過ぎて行くことを表します。そのため、「越える」は移動をともなう状況を表すことが多いです。
「超える」と「越える」の同義語も似通っているのですが、越えるだけが持つ同義語があります。それは、「通り過ぎる」や「通り越す」です。このことからも、「越える」が移動が伴う言葉であることがわかります。
さらに補足の説明になりますが、「国境を越えて仕事を探しに行く」は移動を伴うので「越える」を使いますが、「国境を超える愛を育む」は移動を伴わないので「超える」を使って表現します。
「越える」の使い方の例
- 困難を乗り越えた先に、幸せがあるとは限らない。
- 数々の荒波を越えて、彼らは大人に成長した。
- あの坂道を越えた先に、神をも唸らせる絶品料理屋があるらしい。
まとめ
この記事では「超える」と「越える」の使い分けについて詳しく解説しました。
- 超える:基準や数値を上回ること
- 越える:ある時間や場所を通り過ぎたり、物体が境界の先に行くこと
今まではなんとなく「超える」と「越える」の使い分けをしていた人も、この二つの言葉の違いを理解することで、自信を持って言葉を使いこなせるようになるでしょう。
さて、ここまで読み進めたあなたなら、「英語の成績が、ようやく平均点をこえた」という例文ではどちらの単語を用いるのか、もうお分かりですね。