「思う」と「想う」の違いとは?意味や使い分けまでわかりやすく解説

違いのギモン

突然ですが、例文です。

最近、いろんなことが思い出せなくなってきました。過去の出来事に想いを馳せても、昔は明確に思い出せたことが今ではおぼろげな情景が心に浮かぶ程度です。

さて、この文章の中で使われていた「思い」と「想い」にはどんな違いがあるのでしょうか。字が違うということは、そこに意味の差があるはずです。

「思い出す」と「想い出す」。「思い出」と「想い出」。「思います」と「想います」。

これらにはどんな差があるのでしょうか。この記事では、これらの差について解説していきます。

結論:「心にイメージすること」が強調されているかどうかの違い

「心にイメージすること」を強調したいときに用いられる言葉が「想い」。

そうではなく、もっと広い意味で用いられる言葉が「思い」。

「思う」をもっと詳しく


まずは、「思」(う)という漢字を使う熟語いくつか挙げて、「思う」という言葉が持つ意味を捉えていきましょう。

「思」(う)という漢字を使う熟語として思考、思慮、思惟、思惑、意思、思案などがあります。これらの熟語の全てに共通している意味は「考える」というものです。

また、「思」(う)という漢字は「心」と「田」から成り立っています。そして、「田」の語源は「脳」です。「脳」に「心」が組み合わさって「思」(う)という字は成立しているので「思」(う)は「脳の中にある心」という意味になります。

 

このことからも「思う」という言葉には「頭で考える」というニュアンスが含まれていることが分かります。

そして、この「思」(う)という漢字は常用漢字であるため、公的な文書などで用いることができます。

「想う」をもっと詳しく


まずは、「想」(う)という漢字を使う熟語をいくつか挙げて、「想い」という言葉が持つ意味を捉えていきましょう。

「想」(う)という漢字を使う熟語として想像、妄想、回想、幻想、感想、空想などが挙げられます。これらの熟語の全てに共通しているのは「何かを心に想い描いている」ということです。

「空想」は現実にはないことを「心の中に想い描く」ことですし、「回想」は過去の出来事を「心の中に思い描く」ことです。

また、「想」(う)という漢字は、「相」と「心」が組み合わさって成立しています。「相」は互いに向き合っていることを表す漢字です。そこに「心」が付け加えられているので、「相対するものを心に描く」という意味を「想」(う)という漢字は持つというわけです。

 

これらのことからも「想う」というのは「心」に焦点が置かれた表現であるということがわかります。

また、「想」(う)は常用漢字ではないため、公的な文書で用いることは不適切な表現となります。

まとめ

以上、この記事では「思う」と「想う」の違いについて解説しました。

  • 思う:「頭の中で考える」というニュアンスを持つ表現
  • 想う:「心」に焦点が置かれた表現

この記事では「思う」と「想う」の違いについて解説しましたが、その差はあくまでもわずかなニュアンス的なものに留まります。「思う」と「想う」の使い分けに、何か明確な決まりがあるというわけではありません。

「思う」の方が広い意味を持つので、とりあえず「想う」よりも「思う」を使ったほうが無難だと言えます。

「心」に焦点を置いた、ポエティックな表現がしたいときに限り、「想う」を使うようにしましょう。