目の当たり(まのあたり)は「自分の目で実際に目撃する」という意味です。
いざ「目の当たり」という言葉を使おうとすると、「読み方に自信がない」「どのような場面で使えるのだろう」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、「目の当たり」の意味や読み方、使い方などを丁寧に解説します。
「目の当たり」を完璧に理解し、使いこなしましょう。
- 「目の当たり」は「自分の目で実際に目撃すること」という意味
- 「目の当たり」は「まのあたり」と読む
- 「目の当たり」は「目の当たりにする」の形で用いられることが多い
- 「目の当たり」の類義語は「目撃する」「その目で見る」「遭遇する」など
- 「目の当たり」の英語訳は「witness」「see with one’s own eyes」など
☆「目の当たり」をざっくり言うと……
読み方 | 目の当たり(まのあたり) |
---|---|
意味 | 自分の目で実際に目撃する |
類義語 | 目撃する、その目で見るなど |
英語訳 | witness〜(〜を目撃する)、see with one’s own eyes(その人の目で見る)など |
「目の当たり」の意味
自分の目で実際に目撃すること
「目の当たり」とは、自分の目で実際に見ることです。
「目の当たり」を定義するうえでは、「自分の目で、その場で見たこと」が重要です。
したがって、他人が目撃した内容を口頭で聞いた場合は、「目の当たり」とは言えません。
映像を見た場合「目の当たり」と言えるか
なお、自分が現場にいたわけではなかったとしても、映像を通して状況を見た場合が「目の当たり」に該当することがあります。
では、どのような映像を見た場合でも、「目の当たり」と言えるのでしょうか。この点は、人によって解釈が異なります。
ひとつの考え方として、「リアルタイムの映像を見た場合は「目の当たり」と言えるが、リアルタイムではない場合は「目の当たり」とは言えない」と線引きする人もいます。
しかし、録画した映像を後から見た場合であっても、自分の目で見たという条件を満たしていれば「目の当たりにした」と表現されることもあります。
「目の当たり」の読み方
「目の当たり」は「まのあたり」と読みます。
「目」という漢字には三通りの読み方がありますが、「目の当たり」の「目」は「ま」と読むのです。
- め
(訓読み) - ま
(訓読み) - もく
(音読み)
このため、間違えて「めのあたり」「もくのあたり」と読まないようにしましょう。
なぜ「めのあたり」と読まないのか
「目の当たり」を「めのあたり」ではなく「まのあたり」と読む理由は、明確には存在しません。
ただし、一説では、「目の周辺を表す『目の辺り』と発音の区別をつけるためだ」と言われています。
「目の当たり」と「目の辺り」の両方が「めのあたり」という読み方になると、文字を見ずに発音だけ聞いた際に、「目の当たり」と「目の辺り」のどちらを指しているのか分からなくなってしまいますね。
現在では、「め」という訓読みが使われています。
「目」を「ま」と読むその他の言葉
現代の日本語では、「目の当たり」のほかにも、「目」を「ま」と読む言葉が多くあります。
参考までに覚えておきましょう。
- 目映い(まばゆい)
眩しく、目を開けていられない様子 - 目蓋(まぶた)
目をおおっている薄い皮膚のこと - 目深(まぶか)
帽子などを、目が隠れるほど深くかぶること - 目縁(まぶち)
目のふち。または、まぶたのこと
ちなみに、古語で「目」を「ま」と読む言葉には、以下のようなものがあります。
- 目陰(まかげ)
目に手をかざし、何かを見ること
または、疑いやためらいのある目つき - 目交(まなかひ)
目と目のあいだ。または目の前 - 目見(まみ)
目つき - 目引き(まびき)
目くばせ
「目の当たり」の使い方
「目の当たり」の使い方には、以下のような特徴があります。
- 「目の当たりにする」が基本形
- 良い場面でも使う
- 抽象的な意味で使う場合がある
それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
①「目の当たりにする」が基本形
「目の当たり」は、「目の当たりにする」という表現で使われます。
「目の当たりにする」を過去形にすると、「目の当たりにした」となります。
「目に当たりにする」を未来形で使う場面は少ないです。
なぜなら、「目の当たりにする」という行為は、基本的に「その場で見る」というリアルタイムなものであるからです。
ただし、これから起きることが予期できる場合には、「目の当たりにするだろう」などと表現することができます。
「目の当たりにする」を使った例文には、以下のようなものがあります。
- 被災地を訪れるたびに、復興が進まない街並みを目の当たりにする。
- その内科医は、赴任先の病院で医療崩壊を目の当たりにした。
- あなたは今から、衝撃的な景色を目の当たりにするだろう。
なお、まれに「目の前」「確実な事実」といった意味で、「目の当たり」を名詞として単独で使う場合もあります。
②良い場面でも使う
「目の当たりにする」を使うことができるのは、悲惨な状況を見たときだけではありません。
感動的な場面を目にしたときや、楽しいものを見たときにも使うことができます。
たとえば、以下の例文では、ポジティブな場面で「目の当たりにする」が用いられています。
- 今夜のサプライズパーティーで、彼女は、内緒で駆けつけた友人たちを目の当たりにするだろう。
- 山頂に辿り着いたとき、素晴らしい日の出を目の当たりにした。
③抽象的な意味で使う場合がある
「目の当たりにする」は、基本的に、実体のあるものをを見た場合に使われます。
しかし、以下のような慣用的な表現では、「特定の局面に向き合う」という抽象的なニュアンスで、「目の当たり」が使われます。
- 死を目の当たりにする
(死に直面する) - 現実を目の当たりにする
(現実を知る)
具体的な例文を見てみましょう。
- 重い病気にかかって、はじめて死を目の当たりにした。
- 長い旅から帰ってきて、現実を目の当たりにした。
「目の当たり」の類義語
「目の当たり」には以下のような類義語があります。
- 目撃する(もくげきする)
現場にいる状態で、自分の目で見ること - この目で見る
本人の目で見ること - 遭遇する(そうぐうする)
偶然、何かに出会うこと - 居合わせる(いあわせる)
ちょうどその場に現場にいること - 出くわす(でくわす)
たまたま、ばったり何かに出会うこと - 眼前にする(がんぜんにする)
目の前であること - 実際に見る
本当に、確実に見る
「目の当たりにする」と「目撃する」の違い
「目の当たりにする」と「目撃する」は、使うことができる場面について、以下のような違いがあります。
使うことができる場面 | |
---|---|
目の当たりにする | 映像を見た場合などにも使うことができる |
目撃する | その場に自分がいた場合でなければ、使うことができない |
「目撃する」は、自分が現場にいた場合でないと使えない表現なのです。
このため、「テレビのニュースで戦地の様子を目撃した」という使い方はできません。
「目の当たりにする」と「遭遇する」「居合わせる」「出くわす」の違い
「目の当たりにする」は、その場に自分がいるという状態だけでなく、自分の目で見たことまで表します。
一方で、「遭遇する」「居合わせる」「出くわす」は、単にその場にいることだけを表します。
つまり、「遭遇する」「居合わせる」「出くわす」は、「その場の状況を見たかどうか」という点を表さないため、注意しましょう。
「目の当たりにする」と「眼前にする」の違い
「目の当たりにする」は、目の前で起きていることを見るということを表します。
一方で、「眼前にする」は、単に目の前にいることだけを表します。
つまり、「眼前にする」は、「目の前のことを確実に見たかどうか」という点は表さないのです。
「目の当たり」の英語訳
「目の当たり」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- witness〜
(〜を目撃する) - see with one’s own eyes
(その人の目で見る) - before one’s very eyes
(まさにその人の目の前で) - just before one’s eyes
(まさにその人の目の前で) - actually see it
(実際にそれを見る)
「目の当たり」のまとめ
以上、この記事では「目の当たり」について解説しました。
読み方 | 目の当たり(まのあたり) |
---|---|
意味 | 自分の目で実際に目撃する |
類義語 | 目撃する、その目で見るなど |
英語訳 | witness〜(〜を目撃する)、see with one’s own eyes(その人の目で見る)など |
自分の目で、その場で起きていることを直接見ることで、新たな発見や刺激を得ることができます。
「目の当たりにする」ことの大切さを、普段から意識して生活しましょう。